シャハイ島~蝶とファラオの花畑~(その2)
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馬「うっひょ〜〜、ナギさんナギさんナギさーん♪」
馬はナギの胸に頭をグリグリと押し付けた。
ナギ「……うるせぇ。」
確かにうるさかった、が、嬉しくもあるのが正直な気持ちだった。
馬『あぁ、いつもと違う匂いどすぇ…何これ香水?ナギさんは香水のチョイスもお見事なんて…私のルームメイトはすっっごいなぁ〜♪』
よそ行きのナギの香りを沢山吸い込んだ馬は満足したみたいで、不意にパッと離れる。
馬「よしっっ!!」
ナギ「……………もう良いのか?」
ナギはイタズラに笑いかける。
彼はリュウガやハヤテのように豪快に笑う事は無いがクールにニッとした笑い方をする。
その仕草がイケメン過ぎて馬の視界が滲む。
馬『あぁ…男前の目薬どころか……… 男前ダムの決壊だわ!!! 溢れ出るイケメン水に我々人類は太刀打ち出来ないっっっ!!!!』
馬はナギに笑い掛けられただけで即座にイケメン評論家へと成り果ててしまった。
馬『イケメン水…水…?そう言えば、』
そんなアホな理由で水の事を考えていたら、限界まで近付いてきた尿意の存在を思い出す事が出来た。 今、人としての尊厳が危ない。
馬「あのー、ナギさん。」
ナギ「……何だよ。」
馬「おトイレどこですか?」
ナギ「……………」
ナギは本日数十回目の呆れタイムに突入した。
……………………………
方向音痴クイーンの馬の代わりにレストルームを探してやり、外で待っててやるナギ。
そこに真っ赤なドレスを身に纏った一人の女が話しかけてきた。
女「こんばんは、今日着港したのはあなた方のお船でしょう? 素敵なムッシュー。」
馬とは真逆のタイプの、妖艶な色気を纏う綺麗な女だった。
女「私、船乗りの殿方にとって欠かせない職業をしてますの。」
小さな紙を取り出しナギに握らす。
紙には店名とその建物の場所、最後に女の名前が書かれていた。
女「率直に申しますと、私、あなたの事がとても気になりましたの。
よろしければいらしてね、素敵な夜を過ごしましょう。」
ニッコリ微笑む女の姿は娼婦だということを感じさせないくらい気品に満ちて美しかった。
以前のナギなら迷うことなく彼女を選んでいただろう。
でも今は…
馬「ナギさんダメっっっ!!」
二人の間に急に馬が割り込んできた。
女「あら、可愛らしい。ムッシューの恋人かしら?」
女は馬に向かって余裕のある微笑みを向ける。
馬「恋人じゃないです!!! ルームメイト兼、雑用係です!!!!」
そこはこだわらなくていいだろう… ナギは冷静に思った。
女「面白いことをおっしゃるのね。 あなたは夜の方の雑用係もなさってるの?」
馬「それはもう色々と(※毛布かけてもらったり、仮面かぶせたり)!!だからお構いなく!!」
普段は喜楽以外の感情なんか滅多に見せない馬が精一杯怒気を含んで言い返している。
最終的に、そんな彼女を見兼ねたナギが助け船を出してやる形で話を纏めに入った。
ナギ「……俺は行くか分かんねぇけど、他のヤツらにも伝えておくから。」
女「そうですか。よろしくお願いしますわね。 私はあなたが良いのだけれど…もしも雑用係さんに満足していらっしゃらなければ、私をいつでもご指名なさってくださいね。」
少しだけトゲのある言い方をして、ブロンドの髪をたなびかせながら赤いドレスの女は颯爽と去っていった。
静けさが戻った廊下。
白い蝶の馬とタキシード姿のナギだけがいる。
ナギ「……おい。」
馬「いやー、トイレスッキリしました。」
ナギ「……それは良かったな。」
再びやって来る静寂…
ナギ「……………おい。」
馬「……何でしょう?」
ナギ「……お前は夜の雑用なんてやってたか?」
馬「私に毛布かけてくださったり、逆に仮面を被せてあげたり。 こんな感じのマニアックなプレイをこなす仲じゃないですか。」
ナギ「……俺も男だ。店を利用す、」
馬「あの人はダメですぜ、ナギの兄貴!」
珍しくナギの話を遮り、断言する。
ナギ「…はぁ?」
馬「あの人は危ないクスリと同じくらい、ダメ、ゼッタイ、なんです。」
リュウガ「なんでそんなにダメなんだよ。」
馬・ナギ「船長!」
我らが船長、リュウガはよくこういう場面で出てくるなぁ…と、初日のことを思い出してしまった馬だった。
話しは聞かせてもらったぜ調に突如現れたリュウガ。
ナギ「……船長いつからいたんです?」
リュウガ「えっ!?あー、多分馬とさっきの女が揉めてる辺りだな…うん、そうだ!!」
本当はナギと馬が抱き合ってるシーンからいましたー!!なんて口が裂けても言えないリュウガである。
それよりも、
リュウガ「何が引っ掛かるんだ、馬。」
馬「えっと……」
普段の酔っ払いリュウガではなく、海賊王リュウガに詰問されている。
彼から放たれる威圧感に圧され、恐れをなした馬はゆっくりとナギの後ろに隠れてしまった。
ナギ「………船長にはちゃんと話せ。」
馬にとって、ナギの命令は絶対である。
彼に言われたからには正直に話すしかない。
渋々2人の前に出て説明する。
馬「……ダメなのはダメなんですよ。」
リュウガ「あの女にナギを盗られるって思ったからダメなのか?」
馬「…いえ、ナギさんがあの人と関わったら危ないことが起きると思います。かなりの高確率…いや100%って言ってもいいくらい…」
リュウガ「危ないこと上等じゃねぇか!海賊なんだしな!ワハハ!」
馬「あ、船長!こっち向いてください!」
ナギ「?」
リュウガ「あ?」
ナギの時と同じく、馬はガシッとリュウガの頬を両手で挟みこんで、彼の顔をじーーっと見つめる。
馬「………」
リュウガ「…いきなりどうした?」
少しして、
馬「うん、船長なら大丈夫です。代わりにあの人のところに行っても危なくなさそうです♪
さぁ、素敵な夜を過ごしてきてください!」
ナギ「…?」
リュウガ「…?」
馬「あ!信じてくれなくても良いですよ。何なら船長が面倒ならお店に行かなくても大丈夫です。」
リュウガ「そこまで言われちゃぁなぁ…ナギ、紙!」
ナギ「……どうぞ。」
リュウガ「発散目的で後で行ってくるわ!!」
ニヤリと笑うリュウガだった。