ほぼ無人島~脱出SOS!~
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬がナギの身体に触れると氷のように冷たかった。
先程までは濡れた衣服を身に着けていたせいだと思っていたが、長時間海水に浸かっていた事によって彼自身の体温が下がり切っていたのだった。
馬は急いで肌を合わせる。
馬『うぅ、冷たい……』
馬の体力は島に泳ぎ着いた時点で極限まで達していたのだが、今意識を失うと二人とも死んでしまうと予感した。
馬『私が寝てしまったら体温も下がっちゃうからダメだ、ナギさんを温めないと…』
馬は自分の手の甲を血が滲むまで強く噛んで眠気を取り払う。
睡魔に襲われる度に馬は甲を噛み、痛みで目が覚めるとナギの身体に触れて、体温を確認する。
これらの動作を繰り返す。
馬『大丈夫!海にいた時よりも怖くない、梅さんもどこかにいる、意識を失わないことは簡単!』
馬は眠らないように何度も自分に言い聞かせた。
そうやって誤魔化し続けていても、本当に気力だけで精神を保っている状態だったので、少しでも気を抜いたら睡魔が容赦なく襲ってくる。
馬は何度も何度も自分の手を噛み耐え抜いた。
ナギさん………… ナギさ……ん 起きて……………
願いが通じたのか、ナギの眉が微かに動いた。
ナギ「………っ……」
馬の苦労が報われた瞬間だった。
ナギの目が開かれた時、馬は役目を果たせたような気がしてそのまま意識を失ってしまった。
……………………………
長い………長い夢を見ていた気がする……
ナギが目を覚ました瞬間に馬は意識を失い、そのまま身体の上に倒れ込んできた。
ナギの意識は朦朧としながらも、彼女を反射的にしっかりと抱き止めた。
ナギ「………………」
ボーッとする頭を必死に働かせる。
あぁ、助かったのか、まず最初にわかったことがそれだった。
ナギ『……泳げねぇのにどうして助かった…?』
まだナギの頭は正常に働いていない。
ナギ「………?」
抱き止める馬の身体が異様に冷たく、何も衣服を身に付けていないことに気が付いた。
ナギ『……!!!』
状況を把握したナギは気だるい身体を無理矢理起こし、自分よりも馬の状態を確認する。
初めてじっくりと眺める彼女の裸体はとても肌が白くて綺麗だった…綺麗だったが、その姿は見ていて酷く痛々しいものでもあった。
馬の弛緩した腕と足腰には無数の打撲傷と擦り傷が出来ていた。
何よりも目が行ったのは手だった。
その手の甲にはたくさんの歯形がついており、彼女の意識が無い今でも出血は続いているようだった。
ナギ「馬っっ!!!おい、馬!!!」
馬の無惨な有り様から全てを理解したナギは慌てて馬の名前を叫んだ。
しかし、血の気を失った彼女は全く反応しなかった。
ナギは馬を静かに下ろし、毛布を掛けてやった。
次に、辺りを見渡すと浜辺に自分達の衣服が並べられているのがわかり、すぐに回収しに行った。
触って確かめてみる。
良かった、自分の分も馬の分も乾いている。
並べられた衣服をかき集め、再び彼女が眠る場所へと戻った。
ナギは素早く服を着替えてから、意識のない馬にも服を着させた…とは言っても、自分のシャツを羽織らせただけだが、無いよりかは幾分もマシだろう。
日の高さから見て時刻は夕刻位だろう。
まだ馬は目覚めそうにない。
完全に闇に包まれる前に、ナギにはやらなければならない事が沢山あった。
ナギ『…水の確保と火だな。』
万が一満潮になるといけないので、馬を抱き抱えて移動することにした。
数時間漂流した身体は馬を抱えて歩き出そうとする時にフラついてしまったが、彼女のこれまでの頑張りを考えるとそんな情けないことは言ってられない。
ナギは今一度馬を見やり、気合いを入れてから島の内部を目指して歩いた。
馬「…ん……」
移動の振動のせいか、微かに声が上がった。
良かった、馬は生きている。
腕の中にいる彼女はまだ冷たいけれども、久しぶりに声が聞けてナギはとても安堵した。