シャハイ島~蝶とファラオの花畑~(その6)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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拘束した女をトワとサラの2人で警邏の人間に引き渡しに行っている最中に、ナギとソウシは急ぎ馬の治療に当たっていた。
ナギ「ドクター、水です!!」
ソウシから指示を受けていたナギが、漁港組合所から衛生的な水を調達して戻って来た。
この時、ソウシは医療用手袋を装着し、馬の着ている血塗れの服をハサミで切っている途中だった。
シャハイ島で購入したばかりの医療品をこんなにも早く使う事になるとはソウシ自身も思ってもみなかった。
ソウシ「すぐに切られたところを洗い流して!」
馬「あ、あのー…」
ソウシ「大丈夫だよ、馬ちゃん。ちょっと静かにしていてね。」
ソウシはこんな時でも馬を安心させるため、優しい笑みを絶やさずに話している。
それでも迅速に処置を施そうとしている彼の口調はいつもより早口だった。
ナギ「…流すぞ、」
ナギは馬の腹部に付いた血を洗い流すため、手にしているトレイを傾けたその時、
馬「あ、ちょっと待ってくださいね、これ汚しちゃ駄目だから…よいしょ。」
ナギの腕を軽く押さえて、馬は胸元をゴソゴソと弄り、懐中時計を取り出した。
ナギ「こんな時に何やってんだ!!」
身の心配よりも貴金属の心配をする彼女の態度にナギは本気で叱咤する。
馬「ご、ごめんなさい…」
怒られてしょげてしまった馬とは裏腹に、
ソウシ「良かった、傷一つ無い!!」
安堵したソウシが嬉々とした声を上げた。
ナギ「……ドクター、馬は大丈夫なんですか?」
ソウシ「うん、大丈夫。傷口からの感染の心配は無さそう!
多分これと、あれのおかげじゃないかな。」
ソウシの言う『これ』はソウシから預かった懐中時計、『あれ』は何やら黒い布の事を指していて…『あれ』は馬が切りつけられた場所に落ちていた。
ナギ「………!」
ナギは黒い布を見て察した、自分がいつも愛用しているバンダナだということを。
ナギ「……お前また!!」
馬「す、すみません!暴漢対策として腹部強化の腹巻き兼お守りにしてました!!」
ナギ「………」
いつもは鬱陶しくてたまらない馬のバンダナ盗癖が、結果的に彼女の身を守ってしまったのでナギは何も言えなくなった。
傷害(未遂)事件の被害者かつ、窃盗事件の容疑者である当の本人はと言うと…
馬『さっきからナギさんの尊い御手が!!御手がぁぁぁ!!!こ、これはっっ、かなり心配してくれてるのではっっ!?』
傷付いた様子や反省の色も無く、ただただ興奮していた。
しかし、馬の心の中がエキサイティング状態になっているのも当然だった。
彼女のことが心配でならなかったナギが、人前にも関わらずずっと手を握ってくれていたからだ。
……………………………
サラ「良かった、馬ちゃんに何ともなくて…」
馬「サラさん、申し訳ないです。
折角挨拶に来てくれたのに、最後の最後で体液ぶっかけられ事件に巻き込んでしまって…」
馬はサラに最後まで迷惑を掛け続けたことを詫びた。
サラ「事件のネーミングセンスが酷いわ(笑)
良いのよ、それが馬ちゃんらしいもの。」
トワ「馬さん、そろそろ…」
船出の時刻が迫って来たので、トワが馬の元まで声を掛けに来た。
サラ「もうすぐ出航ね!また近くまで来たら顔を出してね♪」
馬「もちろんです、本当にお世話になりました!」
直前に事件が起きてしまったが、カズトに続いてサラとも笑顔で別れの挨拶をする事が出来た。
おかげで、シャハイ島での思い出は良いものとして終わりそうだ。
トワ「さぁ、今度こそ船に戻りましょうか。」
馬「うん!」
アンダーシャツ姿のトワと、その彼のインナーシャツを借りて着ている馬。
ナギに付けられたキスマークの存在はまだトワにはバレていないため、馬は意識して首元を隠し続けている。
ソウシ「さぁ、ナギも戻ろう。船長に怒られるよ。」
ナギ「………はい。」
ナギは馬の荷物を持ってやり、彼女のすぐ前を歩いた。
馬「荷物ありがとうございます!!」
ナギ「………」
黙って先を行くナギだったが、その背中からは馬達を守るために周囲を警戒している様子が伝わってくる。
馬『護衛が逆転しちゃった……けど、もう大丈夫!』
既にナギの瞳から赤い蝶は消え去っており、馬も安心して彼の後に続いた。