シャハイ島~蝶とファラオの花畑~(その3)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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……………………………
馬「……無いなぁ。」
ナギのベッドの下をガサゴソと漁る馬。
ナギ「………何が無いんだ?」
馬「ぎゃっっっ!」
ゴンッ!!
悲鳴と共に、ベッドの下で馬が頭を打つ音が聞こえた。
しかし、ベッドから出て来る気配は無い。
馬「もうナギさん!!部屋に入る時はノックしてくださいよー。プンスカプンスカ。」
自分で擬態語を発しながら、馬は言葉通りにプンスカ怒って抗議する。
それでもベッドの下から出て来る気配は一向に無い。
ナギ「……俺の部屋だし良いだろ。それより早く出てこい。」
馬「はーい…」
ずりずりずり…
ナギに言われてやっと馬が這い出てきた。
馬「さっきぶりですね、ナギさん! ははーん?私に会いたくなってお前のために駆け抜けて来たゼ!ってやつですね!! 」
ナギ「……まぁそんなところだ。」
馬「えぇっ?いつもなら軽く罵倒するか、軽蔑されるか、暴力を振るわれるか、無視を貫き通されるか、なのに!?あ、第三者に対応を任せるパターンもありますね!」
ナギ「………」
普段の自分はなかなか酷い奴だな、とナギは錯覚しそうになったが、それに至らせる馬の行動の方が酷過ぎる事をすぐに思い出した。
馬「とにかくぞんざいな扱いをされるのに、今日に限っては肯定ときましたか!!
これはきっと最初は持ち上げておいて、後から下げに来るという時間差罵りですね♪ナギさんの作戦、見破ったり〜!!」
馬は凄い勢いで上記の発言をした。
ナギは聞いていて呆れはしたものの、やはり怒りはしなかった。
ナギ「……よく喋る奴。」
馬「……やっぱりナギさん変ですよ?いつもより優しさ5割り増ししてません…?」
馬は心配そうにナギの顔を覗き込み、そして躊躇なく彼の額に手を伸ばした。
馬「うん、熱でもなーし。」
忙しなくすぐに離れたかと思うと、今度は腕を取ってペタペタと触りながら、
馬「目立つ外傷もなーし………やっぱりあなたは…」
またナギの顔を見て言う。
馬「ナギさんのニセモノね!!」
ビシッと指を差して指摘する馬は何故か自信に満ち溢れている。
ここで初めてナギはツッコミという名のデコピンを入れた。
馬「アタッッッ!そう、これこれ!!」
痛がりながらもどこか嬉しそうな馬だった。
そんな茶番劇をこなしてから、ナギは唐突に本題を語った。
ナギ「……船長が、お前の言うこと当たってたって言ってたぞ。」
馬「え!?うそ…そんなっっっ!!」
ナギの言葉を聞いた馬は大袈裟なくらいに嘆き始めた。
ナギ「……どうした?」
急な悲劇のヒロイン馬を不思議に思いながらも気遣ってやろうとしたが、
馬「当たってたって、ナギさんの男性好きが…確定ってこと?」
ナギ「……………」
ソウシに諭され、出来るだけ優しく彼女に接してやろうと思っていたナギだったが、すぐに我慢の限界が来てしまいそうだ。
馬「ナギさんは私を手籠めにしようとするのに、実は男の方が好きだなんて、何という節操なしなのか…」
ナギ「……それは悪かった…けど、」
ガシッ!と馬の頭を鷲掴んだ。
ナギ「男のくだりは違うって言っただろ?
…お前こそさっきはベッドの下で何してたんだ?」
一瞬で我慢の限界を超えてしまったナギは結構な本気具合で怒りを露わにした。
この姿こそ本来のナギである、と馬が安堵したのも束の間、これはこれでかなり恐ろしいことを思い出した。
馬「ナギさんの…嗜好を調べようとその……お、お許しを〜。」
ナギ「……はぁ?」
馬「…せ、船長のベッドの下からは巨乳特集の本があったので…ナギさんもあるかと思って探してました…でも、ゲイの本は無かったです。」
リュウガの性癖まで巻き添えにして、馬の口からは勝手な内容ばかり出てくる。
もうナギの中ではソウシの言葉は完全に風化してしまっていた。
ナギ「当たり前だ、アホ!!」
俺の趣味は、と勢いでナギはカミングアウトしそうになったのだが、それをグッと堪えた。
ナギの心の中にはいつもあの幼馴染みがいる…はずなのに、今はよくわからなくなってきている。
幼馴染みがいたスペースに馬がズカズカと土足で入ってきて、挙句の果てにはお茶まで飲んで寛がれているような心境にいるのだ。
馬に説教をするだけ時間の無駄だということを思い出したナギはドカッとベッドに腰かけて対話を続ける。
ナギ「……とにかく助かったってことだ。」
馬「はぁ、とりあえずナギさんはノーマルに女好きってことで良いんですよね?」
ナギ「………もうそれで良い。」
馬「なら、良かったです!」
ニコニコと笑う馬だが、何が良かったのか… ナギはいつも振り回されてばかりだ。
ナギ「今日の夜はどうすんだ?」
馬「はい!サラさんと食事した後は昨日の広場で野宿の予定、」
ナギ「ちょっと待て。」
馬「はい?」
ナギは再び馬の予想外の返答に困惑させられる。
ナギ「…お前はホテルの取り方も知らねぇのか?」
馬「ここだけの話、……節約ですよ。」
誰を意識してるのか全くわからないが、馬が声を潜めて話す割には、ナギからすればどうでも良い内容だった。
ナギ「……そこで節約するとか、本物のアホじゃねぇか。そんなの、」
サラのところに泊めてもらえ、と言おうとしたが、彼女が男だと知った今は馬を泊まらせるのはマズい気がする。
ナギ「……部屋はそのままにしてあるから、今日も同じ俺のホテルに泊まれば良い。」
馬「えっ、良いんですか!?ありがとうございます!! 今日もあの大きなベッドで眠れるんですね、よっしゃぁぁ〜〜!!」
馬はナギの申し出がとても嬉しかったのだろう、普段以上に喜び礼を述べた。
ナギ「あぁ。」
ナギも釣られてはにかんだ笑いを返した。
嫌なはずなのに実はナギ自身も馬と泊まれる事になって悪い気はしなかったのだ。