シャハイ島~蝶とファラオの花畑~
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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サラ「もう宿は取ったの?まだだったら今夜はうちに来ない?」
話の流れで本日の宿泊場所についての話題になった。
実のところ、ホテルを取らずに野宿をしようと企んでいた馬にとっては渡りに船である。
馬「良いんですか!?」
サラ「えぇ。あなた達のディナーが終わったら待ち合わせして私とも飲みに行きましょう♪」
馬「やったー!」
それまでディナーの時間が迫って来るのが憂鬱だった馬だが、それを乗り越えればサラと過ごせる、そう考えると夜が待ち遠しくなった。
……………………………
シン「出来たか。」
ナギ「……」
シンは面白いもの見たさもあって、あろうことか馬が今一番会いたくない人物のナギを連れて戻って来た。
やはりシンの天の邪鬼ぶりはなかなかのものだ。
サラ「お帰りなさいませお客様…あら、お連れのお客様もいらっしゃいませ。
馬ちゃーん、帰っていらっしゃったわよー。」
ナギがいるとはつゆ知らず、シンにクレームを入れようと馬は飛び出して行った。
馬「ちょっとシンさん!!!こんな…オジャレ゙な場所に……私一人置いて行……エグッ……ぐな゙ん゙て……エグッ」
最後の方は本気で泣きが入ってしまっている。
馬はいつぞやの航海室前で迷子になった時のように、戻ってきてくれたシンに縋りついた。
シン「化けるもんだな。」
馬「…はい?タヌキとキツネの化かし合いの話ですか?」
ポカンとしているシンを不思議そうに見つめる馬。
シン「……」
馬「……?」
見つめ合うこと数秒間、
シン「この話の流れでどうして獣が出てくるんだ。」
先にシンの方から目を反らした。
その顔はいつもより赤い気がする。
馬「化けるとか言い出すから、キツネかタヌキに化かされたのかと。ヤマトの昔話では定番なんですよ!」
シン「お前はいつも唐突過ぎる。」
シンと馬のこれらのやり取りを見せ付けられて、一人面白くない思いをしている人物がいた。
ナギ「…………」
そう、ナギである。
数時間ぶりに見た馬は驚くほど変貌していた。
ヤマト女性の本気と言うべきか。
漆黒の髪が艶やかに輝き、その効果も相成って白い肌がより際立って見える。
頬と唇に差してある紅色の化粧が、まるでおとぎ話に出てくる姫のように愛らしい。
シンに向かって飛び込んで行った馬を一目見て、 まるで真っ白な蝶が羽ばたいている… ナギはそのような感想を抱いてしまった。
いつもなら 、
馬「ナギさん見て見てー!」
と、鬱陶しいくらい自分に近寄って来るクセに、こういう時に限って先程から一度も目を合わせようとしない。
ゆっくりと馬の愛らしい姿を拝みたいところなのに、何故か自分よりもシンの方とジャレ合っている…そんな二人の姿を見るのは非常に面白く無い。
……………………………
シン「顔が怖いぞ、ナギ。」
シンがニヤリと笑うその先には不機嫌オーラを醸し出しているナギがいた。
馬『げっっっ!!!ナギさんがいる!?
しかも不機嫌モード…うへぇ…』
馬はシンに一刻も早くこのセレブ街から連れ出して貰おうと必死に頼み込んでいたので、ナギの存在には全く気付いていなかった。
馬『それにしても…さっき見たときはスーツ姿だったのに…今はタキシード…ゴクリ。
これは目の保養の完全体だわっっ!!今日のナギさんはタダのイケメンじゃない。 イケメン目薬よ!!!
できることなら今すぐナギさん目薬を体験したい…けどダメ。
島にいる間は私はナギさん断ちをしないといけない…ぐぬぬぬぬ。』
激しく葛藤する馬の気持ちを知ってか知らずか、シンがコソッと耳打ちをする。
シン「ナギのところに行きたくて仕方ないって顔だな。
オレが支払いを済ませてる間に話して来たらどうだ? 少しくらいなら鬱陶しくないだろ。」
なんと、あのシンが珍しくデレた提案をしてくれている!!
馬「良いと思います?ナギさんに私の相手をほんの少しだけでもしてもらっても…」
シン「別に大丈夫だろ。」
馬「イェスッ!!イェスッ!!!」
馬はガッツポーズを2回取り、ニヤける顔を隠せないまま、ナギの方を向いた。
(ナギ視点)
シンは馬に顔を近付け、何かを囁いてから店の奥へと去っていった。
馬が何を言われたのかはわからないが、シンの言葉を聞いて急に笑顔になった事は間違い無かった。
ナギ『………面白くねぇ。』
理由はわからないがそう思ってしまった。
馬「ナギさーん♪」
笑顔のままの馬が小さな声で話しかけてきた。
白いスカートをヒラヒラとさせながらこちらに近付く様子は、やはり本物の白いチョウのように見えた。
馬「タキシード姿!!凄くカッコよくて私、失神しそうです!!!」
ナギ「…あぁ。」
言ってることはいつもの馬と変わらないのに何分外見が違い過ぎる。
毎日一緒の部屋で寝ている馬と話しているはずが、何故だか緊張してしまう。
馬「でも、シンさんも酷いですよね。急にこんな高級な場所に連れて来られて私、」
グイッ!!
ナギは馬の口からシンの話をこれ以上聞きたくなくてつい自分の方へと抱き寄せてしまった。
馬「うわぉっっ!」
ナギ「……!!」
第三者から見たら馬を熱く抱擁しているように見えるかもしれない。
ナギはハッと気が付いてすぐに馬の身体を自由にした。
ナギ「……悪ぃ。」
馬「お気になさらず!!私にとってはご褒美でございますぅぅぅ~♪」
ニコニコと笑う馬がこれ以上にたまらなく可愛く見える。
馬「ご褒美もらえたんで、これでまたナギさん断ちを頑張れます♪」
ナギ「…は?」
ガッツポーズをした後に再び羽ばたくようにしてシンの元へと戻る馬。
ナギ『……俺断ちって何だよ…』
後味の悪い疑問だけを残して去る馬に憤りを感じた。