シャハイ島~蝶とファラオの花畑~
こちらで夢小説の名前設定!
本棚全体の夢小説設定このブックはドリーム機能を使用しています。 名前を入れると、登場人物に自動変換します。
名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
馬「あ、そうだ大事な事です!シンさん」
シン「何だ。」
馬「仕送りの件、誰にも言わないでくださいね。二人だけの秘密です。」
仕送りをする馬は偉い、的な同情をされるのは嫌だった。
それに自分は『健気に仕送りをするお姉ちゃん』というキャラクターでもないので、やはりシンだけの胸に留めておいて欲しい…そんな想いを込めての懇願である。
シン「他の奴らもお前の事情を聞くほど暇じゃない。」
冷たく突き返されたように聞こえるセリフだが、これはシンなりの了承の言葉だ。
勿論馬も彼の天の邪鬼っぷりは心得ている。
天の邪鬼なりの優しい気遣いにやはりシリウス海賊団のメンバーは漏れ無く全員が優しいと再認識された。
馬「シンさん、ありがとうございます♪」
シン「忘れない内に渡しておく、これを持っておけ。」
シンは唐突に重みのありそうな袋を馬に手渡した。
ジャラッ…
馬「きゃ、キャッシュ様!!!???」
渡された袋の中身は金銭だった。
ざっと見たところ、さっき弟に仕送りした分はあるように感じられる。
馬「何ですか?この大金!!!私は今日から富豪ですか?」
シン「何を訳のわからないことを言っている?
それは普段オレの部屋を片付けている分の報酬だ。」
馬「ふふん。だったらお菓子を貰っているからいりませんよ! 二重で貰うほど私は給料泥棒ではございませんので!」
馬はしたり顔で受け取りの拒否をした。
シン「お前はアホだな。仕送りをアレだけ送って自分の日用品を買ったら手元に残る金はほとんど無くなるだろ。
今日泊まるホテル代も足りなくなるんじゃないか?」
馬「ぐっっ!」
シンは的確に馬の急所を突いてくる。
何度か要る、要らないのやり取りをした後、最終的にシンに銃口を向けられた状態で馬は不本意ながらも現金を懐にしまった。
……………………………
古着系の店で連なる市場に行きたいところなのに、シンに引き摺られるようにして、セレブ御用達のブティック街まで連れて来られた。
馬「ぎゃーー!!嫌だーーー!!! シンさん離してー!!」
人目も憚らず喚き散らす馬をシンは一喝する。
シン「うるさい!! お前の事だから服なんか買わずにその格好のままディナーに出る気だろう!!」
馬「プフフ!ディナーって大袈裟な。私には晩飯って言葉しか知りませんし、勿論服も市民向けの古着しか着るつもりは無いですよ!!」
馬の意味不明な反論が炸裂する。
シン「それだとオレ達が恥ずかしいんだよ、いいから来い!!」
シンも負けじと声を荒げる。
高級店が建ち並ぶ街頭で二人の男女(しかも一人は眼帯、もう一人は思いっきり田舎服)が揉め事を起こすなんて、目立つことこの上ない。
その頃…
リュウガに「近い内に王宮パーティに潜入する予定があるから準備しておけよ!」
と言い付けられていたナギは一人買い物に来ていた。
すると、先程までは閑静だったブティック街にいきなり男女の喧噪が響き渡る。
何事かと現場の方を見たナギは、
馬「シンさんのドS!!ドS女王様!!」
シン「またお前は意味不明な事をっっ…良いから来い!!」
当事者達がシンと馬だと知って驚愕した。
馬「嫌だ嫌だ嫌だーーー!ドレスなんか無くったってタオル巻いてたら良いじゃないですかー!!」
シン「このバカ女!何処の世界にタオル巻いて外に出歩く女がいるんだ!!!」
ナギは聞こえて来る喧嘩の内容に、思わず溜め息が出そうになった。
しかし、これ以上身内の恥を世間に晒すわけにはいかないので二人の間に入る事にした。
ナギ「お前ら何やってんだ。」
シン「ナギ。」
馬「!!!!」
馬はクルリと後ろを向いた。
ナギ「お前ら目立ち過ぎだ。」
シン「飼い主のお前からもこのバカに言ってやれ」
ナギ「…何を?」
ナギは、後ろを向き全く自分の事を見ようともしない馬の様子が気になった。
シン「コイツは今夜のディナーにタオルを巻いて出るらしいぞ。」
ナギ「馬ならやるだろうな。」
シンには信じられないかもしれないが、彼女にはタオルマワシの前例があるのだ。
タオルで公の場に出る事くらい簡単にやってのけそうである。
シン「本当か?」
ナギの回答を聞いたシンは呆れ返り、馬の顔を見ようとしたが……先程までいた場所には彼女の姿は無かった。
いつの間にか馬はシンの背後に隠れていた。
やはりナギはコソコソと隠れようとする馬の様子が気になってしまう。
シン「何だお前ら。まだ喧嘩してんのか?」
シンも馬の様子に気が付いたようだ。
ナギ「………いや。」
確かに昨日は気まずい雰囲気になったが夜中には和解したはずだ。
それに出発前にも部屋で馬とは…と、ナギは過去を遡って避けられる理由を思い返そうとしたが、やはり該当するものが無かった。
馬「シンさん!ドレス買いに行きましょう、ドレス! パーティドレスもウェディングドレスも全部買っちゃいましょう!!!!」
急に言ってることを180度変えて、シンの手を引っ張って行こうとする馬。
シン「はぁ?」
ナギ「…?」
イケメン二人の気持ちは置いてけぼりだったが、それでも馬はナギの事を一度も見ることなく、シンと手を繋ぐような形で近くの店舗まで入って行った。
ナギはそんな馬を見て呆気にとられた。
しかし、それ以上に変な感情もじわじわと沸いてきた。
怒りと哀しみの境目のような感情…それは馬に無視されたからなのか、シンと二人で恋人同士のように手を繋いで店に入った姿を目撃したからなのか… その理由まではナギにはわからなかった。