シャハイ島~蝶とファラオの花畑~
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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ハヤテ「おーい、ナギ兄と馬ー! シンがもうすぐ行くってよー。」
扉の向こうでハヤテの声が聞こえると二人はすぐに離れた。
二人の感覚からすると抱擁は軽いスキンシップである。
馬は姉弟間やバイト先のオネエサン達とよくしていたし、ナギも幼少期の集団生活の中で寂しがる年下の子をあやすためによくやっていた。
二人ともその時の感覚であって、互いに恋愛感情の自覚が無いのが今の現況だ。
そして冒頭の、
ナギ「馬、用意出来たか?」
に至る。
馬「はい!!」
ナギ「………………………………おい。」
準備が完了した馬の姿を見たナギは、戸惑い·呆れ·嘆き·怒り…これらの感情が一気に押し寄せてきた。
そんな中、自室の扉が不意に開かれた。
ガチャッ!!
ハヤテ「おーい…うぉっっっ!!!」
こちらも身バレ防止の為にそれなりに変装したハヤテが部屋に入ってきたが、馬の仮面のインパクトのせいで即座に言葉を失った。
馬「さぁ参りましょう!シャハイ島へ!!!!」
そーれ、明日に向かって駆け抜けろ…と、言わんばかりに元気に叫んだ馬なのに、ナギもハヤテも全くノッてくれない。
ナギ「………」
ハヤテ「………」
馬「二人ともどうしました? 急に恥ずかしくなっちゃいました?思春期のお年頃?」
二人の沈黙に疑問を感じる馬。
ハヤテ「あのさぁ、首が掛かってる俺らより目立ってどうするんだよ。 むしろ変質者として馬の方が先に捕まるぞ?」
白い目で見てくるハヤテにはこれでも悪気はなく、本気で心配して馬に注意をしている。
馬「えぇぇぇ、これしか私の正装は無いのにぃ…」
挙動不審な女が怪しげな仮面を被り、その手に持つガラス瓶の中では巨大に成長した青虫達がうごめいている…そんな物を持ち歩く人物は世間一般的に近寄りたくないとされる存在でしかない。
ナギ「はぁ…仮面は置いていけ。瓶は持ってる袋の中に入れて見えないようにしろ。」
ここまで言わないと伝わらないのかと呆れ返るナギは仕方なしに助言する。
馬「ナギさんが言うなら仕方ないな…」
モタモタと言われた通りにする馬を、ナギも手伝ってやる。
ハヤテ「ハハッ、今のナギ兄、馬の親みたいだな!」
ナギ「はぁ?」
馬「え!?それって最高ですね////」
二人の反応は全く異なっていた。
……………………………
シャハイ島には3泊4日で滞在するという。
眼鏡を掛けてプチ変装をしているソウシから上陸の際の注意事項を教えてもらっている。
ソウシ「最初の日だけは皆で揃って夕飯を食べに行く事にしてるよ。 そこからは朝晩と交代して誰か一人は船で留守番だね。」
馬「なるほど。」
確かに船を空っぽにして外に行くのは物騒である。
馬『よし、私も頑張って寝ずの番を、』
ソウシ「馬ちゃんには何かあったら困るから船の番はしなくていいからね。」
しなくても良いらしい。
馬「はーい。」
ソウシ「宿は3泊で取るんだよ。見張り番じゃない馬ちゃんは夜に船には戻って来れないからね。」
Q.馬「どうして戻れないんです?部屋に戻ってこっそり隠しておきたい物とか買っちゃったらどうすれば良いんですか?」
教えてソウシ先生!
A. ソウシ「防犯だけじゃなく、万が一、夜にこっそり戻ってきた人が誤って海に落ちても気付けないよね?だから、思い切って夜間はシリウス号を完全施錠してしまうんだ。昼間なら入って隠せるよ。」
馬「なるほど、合点承知です!」
納得のいくアンサーだった。
ソウシ「ホテルは一人部屋にするのかな?」
馬「……………………ハイ!ヒトリベヤデトリマス!」
馬の答え方の妙な間と、いきなりの棒読みにソウシは引っ掛かる。
ソウシ「馬ちゃん、ここは大きな街だけどその分危険なことも多いんだよ?特に女の子は…」
馬「はい、自重します…」
しょぼくれてしまった馬を慌ててソウシはフォローする。
ソウシ「別に怒ってるわけじゃないからね。ただ、取り返しがつかない事はしないようにね。」
馬「はい!!ソウシさんの御言葉、しっかりと胸に刻んでおきます!!」
自分の為を思って言ってくれているソウシの優しさはじゅうぶんに伝わっているので、馬は肝に銘じておくことにした。
ソウシ「4日目の16時には出港するって。はい、これ。」
ソウシから懐中時計を手渡された。
高価そうな真鍮製の懐中時計は馬の手の中でズッシリとした重みと存在感を放っている。
馬「ひぇー、ご立派な時計ですね。失くしたり壊したりしないように気を付けます。」
ソウシ「フフッ、それ見て時間厳守でね♪」
馬「ラジャーっ!!」
大体のことは理解した、後はまぁなんとかなるだろう、と適当に脳内で締めくくった馬は敬礼をソウシに返した。
ソウシ「じゃあ、トワが来たら私達は出発しよう。」
馬「はい!」
二人はもうすぐ来るであろうトワを待つことにした。
……………………………
トワ「ごめんなさい、遅くなりました!」
船内のゴミを掻き集めた袋を両手一杯に抱えたトワがやって来た。
トワは見習いと言えども力もあるし素早くも動ける。
ちゃんと船の見張り番も出来るし、溜まった大量のゴミを船外まで捨てに行くことも簡単にこなせる…そんな彼はかなりシリウス海賊団に貢献している。
対する馬はと言うと…見張り番も出来ないし、荷物持ちどころか虫入りの瓶を入れた袋を持ち歩くのみ。
シリウス海賊団に居座るとんだ奇人である。
馬『うぅ……トワ君、めっちゃ働かせちゃってすみません…』
申し訳なくなってしまった奇人の馬は心の中でトワに謝罪しておいた。
……………………………
ソウシ「じゃあ、三人揃ったことだし行こうか。」
馬・トワ「はーい!!」
ソウシ先生が引率するシャハイ島買い出しツアーの始まりである…そんなノリでおっとり(一部変人)組は買い出しに出掛けた。