廃墟島~滅びの女王と二刀流の剣士~(その5)
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地図上に存在しない街が一瞬にして廃墟になり、シリウス号が動かなくなるという衝撃的な出来事が立て続けにあった翌日……シリウス海賊団一行は島脱出の糸口を掴めないかと再び街のあった場所へと足を運んでいた。
時間帯にして昨日と同じ昼下がりの訪問だ。
「おや、珍しい。旅団が来たぞ。」
「あらまぁ、皆とっても綺麗な顔立ちだこと。
衣服も立派だし、外国のお偉いさんかしらね。」
昨日と同じように、街の人々がシリウス海賊団の到着に一斉に注目した。
リュウガ「これは……見事に街が復活してるな。」
昨日、唯一街の崩壊の瞬間を目撃していたリュウガが感心するように呟いた。
ソウシ「夜は廃墟、朝は街、夕方前に崩壊する… このサイクルを繰り返してるんでしょうか。」
リュウガ「そうかもな。
まぁ、油断しねぇに越したこたぁねぇな。」
リュウガは島の女王ルサについての情報を得るべく、昨日話し掛けた露店の店主に再び質問する事にした。
リュウガ「まずは闇の核心部から調べるか。
あのおっちゃん店主なら教えてくれそうだ。」
昨日の人当たりの良い店主ならば、リュウガの質問にも快く答えてくれるだろう。
例の露店を見付け、リュウガは店主に気さくに話し掛けた。
リュウガ「よう、また会ったな!」
しかし、
「えっと、誰かと間違えてないかい?」
店主は怪訝な顔をしながらリュウガの顔を確認している。
リュウガ「?」
店主から初対面の体で話され、リュウガも眉を顰めるが、すぐに機転を利かせて店主の話に合わせる事にした。
リュウガ「あー、悪ぃ悪ぃ!
知人と似てたから、つい間違えちまった。
すまねぇが少し聞きたい事があるんだが…」
「おう、何でも聞いてくれ。 俺達は旅人を歓迎するぜ!」
店主は昨日と全く同じ言葉を返しながらリュウガの質問を聞き入れた。
「……………………」
リュウガと店主のやり取りを後方で窺っているシリウスメンバー達は、奇妙な既視感に肌寒いものを感じている。
リュウガが昨日と全く同じ質問をすると、店主も全く同じ回答をした。
この街の名前は『ルー』ということ。
ルサ女王によって統治されているということ。
女王は崖沿いに見える城に住んでいるということ。
「以前のルサ様だったらあんた達のために歓迎の宴を開いてくれてたんだがな…」
またもや顔色を曇らせる店主に、やはり1人の中年男性が近付いてきた。
「だめだめ!今のルサ様はすっげーおっかねぇもん。 」
そして当然の如く、こちらの男性も全く同じ台詞を喋るのだった。
「あんちゃん達、観光で来たんなら城には行かねぇで街で留まっとくべきだわ。」
しかし、昨日とは異なり、ここでリュウガはさらに掘り下げた質問をする事にした。
リュウガ「王配のア・ルーって人物についても尋ねたいんだが、」
「……!!」
ア•ルーの名前を出した途端に、店主と男性の顔色が2人同時に変わってしまう。
「お客さん、絶対にその名前を出しちゃ駄目だ!!」
リュウガ「え…?」
「そうそう、特にあんちゃん達のような島の外の人間はな!!」
リュウガ「…………」
2人のあまりにも真剣な様子に、リュウガはこれ以上口を開く事が出来なかった。
ア・ルーという人物の詮索はそれほどまでに禁忌とされているようだ。
「さ、この話はここで終わりだ!!
ルーにはたくさんの特産品があるし、まずはリンドラやマゴー料理を食べに行ってみたらどうだい?
俺が作ったエイラを買ってくれても良いんだが!」
「あぁ、こいつの作るエイラは丈夫で長持ちするからオススメだよ!」
『エイラ』というのは島の伝統的な帽子の名称らしく、店主は独特な形をした帽子を自ら被ってリュウガにアピールし、男性も同調するように勧めてきた。
しかし、彼らの明白な様子からして、話題を早急に変えたいようにしか思えなかった。