廃墟島~滅びの女王と二刀流の剣士~(その4)
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……………………………
リュウガ「何だって?」
船の事柄に精通しているシンからシリウス号の不具合箇所を複数報告され、リュウガは思わず声を上げた。
シン「他にもエンジンの周辺機器が全く動きません。」
リュウガ「何で今に限ってこんなに問題が生じるんだ!?」
それほどシリウス号は全く動いてくれなかった。
シン「故障原因は皆目検討がつきません。」
リュウガ「うーん、どうしたもんか……」
こんなトラブルはシリウス海賊団結成以来の初めての出来事だった。
……………………………
リュウガが頭を悩ませている頃、厨房では、
馬「やっぱり船、動いてませんねぇ。」
馬がナギの横で夕飯の下拵えを手伝っていた。
ナギ「……シンとドクターが相当焦ってたから何かあったのかもしれねぇな。」
出航準備の際、ナギは大抵肉体労働系の仕事を任される。
そのためエンジン稼動装置周辺の詳細は全くわからないのだが、ソウシとシンが2人で深刻に話し合っている様子を横目で確認していた。
現在、荷物運びや帆の設置等を終えた肉体労働班(※ナギ、ハヤテ、トワ)は、船内の仕事に戻っている。
各々仕事をこなしつつ、船の出航を待っているのだが、それでもシリウス号は一向に動く気配が感じられない。
馬「島が出してくれないのかも…」
馬がポツリと呟いた。
ナギ「……島が?」
ナギは野菜を切っている手を止めて、馬を見下ろした。
馬「ソウシさんから借りてた本に出てきたんですよ♪」
馬は不思議と楽しそうに答えた、ナギから小口切りにするよう言われていたウィンナーにたくさんの切り込みを入れながら。
馬「脱出不可能なゾンビだらけの島の本を読んでまして、その内容が今の私達の境遇と似てるんです!」
馬は2個目のウィンナーにまたもや多くの切り込みを入れだした。
馬「本の主人公達は叡知と機転で危機を乗り越えて行くんですが、これがまた凄くワクワクするんですよね~♪」
ナギ「……船長の話を聞いて、俺の背中に隠れてたくせに。」
意外と元気そうな彼女に安心したナギは、からかうように指摘した。
馬「あの時は本当に怖かったんです。
昔教わった超危険なヤツだ!って… でも、」
馬は持っていた包丁をまな板の上に置いた。
ナギ「………?」
馬「ナギさんと一緒なら怖くないですね!」
馬はイタズラに笑いながらナギの顔を見つめた。
馬「よく考えてみると、ゲオルグさんの屋敷でナギさんが処刑されたって聞かされた時の方が怖かったです。
だから、ナギさんが生きてて一緒にいられる今は……わっ、」
ふいに、横にいたナギに抱きすくめられてしまった。
ナギ「……アイツの事は言うな。」
と、耳元で囁かれ、馬の胸は一気に高鳴ってしまう。
馬「は、はひ…////」
馬はナギの手に自分の手を重ねてみると、カツンと指輪同士がぶつかる感覚がした。
馬『ナギさんと2人だったら遭難した時みたいに何とかなる気がするんだよなぁ…』
馬はナギの存在を尊く思う傍らで、漠然とした希望も抱いている。