廃墟島~滅びの女王と二刀流の剣士~
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今宵は見事な満月だった。
新婚夫婦がイチャつく幾分か前には甲板で恒例の宴が開催されていた。
馬を取り戻し、彼女とナギが想いを伝えあってから初めての宴は、2人が主役の祝宴として大いに盛り上がった。
目立つ事が苦手なナギ夫妻をメンバー達は上手にひやかし、新婚夫婦の共同作業としてケーキ入刀ならぬチキン(※ピヨ美ではない)の丸焼き入刀をさせたり、 飲めない馬の代わりに夫のナギにしこたま酒を飲ませた後は、キスコールを2人に浴びせて煽ったりした。
キーース!
キーース!
キーース…
リュウガ「ほらほらあっつーいキスを1発ぶちゅーっとやっちまえよ!!」
キーース!
キーース!
キーース…
馬「ちょっ、何言ってんですか!
シンさんまでコールするのはやめてくだ、」
グィッッ!
馬が話している最中なのに、腕を強引に引っ張られてしまった。
馬「へ?」
ナギ「……………」
振り向くとそこにはいつもより頬を紅くしたナギが真顔で立っており、いきなり、
チュ…
馬「………!!」
と、キスをかました。
「おぉーー!!」
メンバー達のテンションが鰻登りに上がっていく。
リュウガ「見せつけるじゃねぇか、ナギ!!」
ハヤテ「ナギ兄にキスしてもらえて本当に良かったなぁ、馬!!」
シン「フン、どうせならキス以外の事もしろ!」
ソウシ「あぁ…カメラ持ってくれば良かった。」
トワ「す、凄いです、2人とも…////」
メンバー達が好き放題言ってる中、
馬『ナギさん酒くさっっ!!
ダメだ、完全に酔っ払ってるわ……けど素敵!!
でも酔っ払うって相当飲んでるんじゃ……それでも素敵!!』
酒豪のナギの酔う姿を見て、馬はハラハラしつつも、胸もときめかせていた。
とにかく、珍しく泥酔しているナギは人前でのスキンシップが激しかった。
ガシッ!
馬「セイセイセーイッッ(※ちょっと待ったの意)!!
ナギさん、今ハヤテさんの肉焼いてるから危ないですよー、ステイ!!」
酩酊中の料理人に代わり、馬が率先してバーベキュー串を焼いているのだが、ナギの前にあるハヤテの肉をひっくり返そうとした途端、腕を掴まれてしまった。
ナギ「…………」
馬「……ん?」
そのまま手を引かれ、人目があるにも関わらず、
ギュ…
と、抱きすくめられた。
「ヒューヒュー♪ 」
たちまち他のメンバーが口笛を吹くなどしてからかい始める。
馬「と、殿!
皆が見てます、お戯れはお止めください!!」
馬は主人の乱心ぶりに慌てふためいているのだが、当のナギは全く気にしない様子で彼女の耳元で囁く。
ナギ「……ハヤテのために動かなくていい、なんか腹立つ。」
馬「ッッ!!! ファーーーッ////!!」
最愛の旦那様から吐息まじりの嫉妬発言を受け、馬は某大御所芸人(※3まさん)の笑い方と同じ声で絶叫した。
旦那様にヤキモチを妬かれて非常に嬉しかったのだ。
ソウシ「何?何か面白い事でも言われたの?」
馬の奇声を聞き付けたソウシが尋ねるのだが、
ナギ「……ドクター、馬にあまり近付かないでください、俺のなんで。」
普段、ナギが絶対に言わないようなセリフを酔っ払った勢いでぽんぽんと吐いていく。
馬「ッッファーーーッ////!!」
自分を愛するが故のナギの辛口発言を聞いて、馬は再び某お笑い芸人のように叫ぶのだった。
早々に宴を切り上げ、自室に戻ろうと提案したのもナギの方からだった。
ナギ「……馬、部屋に戻るぞ。」
馬「え、もうですか?
まだハヤテさんの肉を焼いてるんですけど…」
今度は網の上で分厚いステーキ肉を焼いている。
ナギ「……んなもん自分で焼かせりゃ良いだろ、行くぞ。」
馬「えぇっっ… でもこの前、自分で焼く!って気合い入れたハヤテさんが焼いた結果、消し炭にしちゃって泣いてましたよね?
最後までこちら側で焼いてあげないと、」
ナギ「……後は任せたぞ、トワ。」
ナギは馬の(※正確にはハヤテの)事情を無視して、後の始末を適任者に依頼した。
トワ「はい、お休みなさーい。」
馬「ひ、ひぇぇ……」
こうして馬は引き摺られるようにして船内に戻されたのだった。
ちなみに、この時焼きかけだったハヤテの肉は、後に真っ黒な炭と化してから発見された。