モルドー帝国・後編~死刑囚と純白の花嫁~(最終章)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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ナギの目的は馬の奪取、ただそれだけだった。
しかし、彼女の前には、
ゲオルグ「……………」
ナギの鎖鎌の鎖部分を腕に巻き付け、逆に武器を奪い取ろうとしているゲオルグが立ちはだかっていた。
ナギの使用する鎖鎌という武器は鎖部分の先に重石がついており、それを相手に当てる事によって打撃攻撃が出来る。
敵を殺傷したくない場合はこの攻撃法で戦うのだが、今は肝心の鎖部分を封じられている。
ナギ「……チッ、」
武器を持たないゲオルグ相手に不本意だが鎌部分を使うしかない。
ナギ「……死んでも知らねぇから…なっ!」
短時間で馬を取り戻すためには手段を選んでいる暇は無い。
ナギは鎖鎌の柄の部分をゲオルグの首筋狙いで振り下ろした。
だが、
ゲオルグ「元山賊風情に殺られる程では……軍の大将は務まらない。」
ゲオルグはその攻撃を寸でのところで避ける。
馬「……………」
眼前で行われている男達の戦いを、馬は静かに見つめているだけだった。
何の感情も表さずに眺めるその表情は、本物の人形の如く冷たく無機質なものだった。
リュウガ「おい、おっさん!
いい歳なんだから無茶すんなって…!」
リュウガは梅の拳と蹴りを全て避けながら諭そうとしていた。
梅「勝手に老いぼれ扱いすんな!
鶏みてぇに締め上げるぞ!」
しかし、リュウガの言葉に耳を貸す気のない梅は尚も重たい蹴りを放つ。
リュウガ「おっと!」
やはりリュウガは難なくかわし、行き場の無くなった梅の足はチャペルの装飾品にぶつかった。
バキッ!
装飾品は鈍い音を立てて見事に壊れてしまった。
リュウガ「危ねぇなっ!!」
梅「避けてばっかいねぇでおめぇも攻撃してこい!!」
ニヤリと笑う梅は指をクィと動かしてリュウガを挑発する。
リュウガ「ったく、しょうがねぇな。」
戦闘を楽しんでいる様子の梅を見て、リュウガは溜め息を吐きながら腰に携えている自身の剣に手を伸ばした。
ハヤテ「馬の弟にしては……やるじゃねぇか!!」
ハヤテはタケルを相手に2本の剣で鋭く切りつけていた。
ところが、ハヤテの剣筋は全てシシマイの頭によって止められていた。
タケル「それはどうも…っ!」
ガキンッッッ!!
ハヤテの剣とシシマイの歯の部分(鉄製)がぶつかり、辺りに金属音が響く。
ハヤテ「その鬼の着ぐるみ……頑丈なんだな!」
タケル「俺も驚いてる!」
ガキンッッッ!!!
個性が似ている2人は真面目に会話をしながら真面目に剣の取り組みをしている。
チャペル内で3組の戦闘が行われていたその時、
バンッッ!!
シン「お前らッ、退散するぞ!!」
珍しく髪の毛を振り乱したシンがチャペルの中に勢いよく入ってきた。
ソウシ「着火!!」
シンが扉を開けたタイミングと、ソウシがトワに合図を送ったタイミングはほぼ同時だった。
トワ「はい!」
ソウシの合図を受け、トワは導火線に火を点けた。
ソウシ「よしっ……」
トワ「………っ、」
2人は着火を確認してからすぐに耳を塞ぎ、身体を小さく屈めた。
ドカーーンッッッ!!!
ゲオルグ「……!?」
梅「……あん!?」
タケル「何だ!?」
ゲオルグが爆発音のした方向を見た一瞬の隙をつき、ナギは鎖鎌から手を放した。
ナギ「……っ……」
その勢いで、馬の前に立ちはだかっていたゲオルグの肩を踏み越え、驚異的な跳躍を披露したのだった。
ゲオルグ「……くっ!」
ダンッッッ!!
ナギは馬の元まで一足跳びで着地する事に成功した。
馬「…………」
ナギ「馬!!」
ナギはやっと近付く事が出来た馬の手を掴み、ソウシ達の元へと誘おうとした。
しかし、
馬「痺れて走れそうにない…」
馬は静かに告げるだけだった。
馬は意識はあるものの、その身体は催眠ガス(正確には筋肉を弛緩させるガス)の影響をもろに受けてしまっているようだ。
ナギ「……わかった、」
状況を把握したナギが馬を抱き抱えようとした時、
ゲオルグ「馬から離れろ!!」
ゲオルグが阻止しようと手を伸ばしてきた。
パンッッ!!
ゲオルグ「!?」
しかし、ゲオルグの手の甲を一発の弾丸がかすった。
シン「ナギの邪魔はさせない。」
発砲した犯人はシンだった。
彼は乱れた髪を整えながらゲオルグに向かって銃口を向けている。
ゲオルグ「……………」
流石のゲオルグでも銃が相手では分が悪く、身動きが取れなくなってしまう。
その間にナギが馬を横抱きに抱える。
「チャペルの方に一頭、行ったぞー!!!」
ふいに、シンが入ってきた扉の外から警備の者と思われる叫び声が聞こえてきた。
シン「……チッ、ここまで来たか。
ナギ、急げ!!」
シンは慌てた様子でナギを急かした。