モルドー帝国・後編~死刑囚と純白の花嫁~(その7)
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ゲオルグの寝支度が終わった頃、彼は床に座って黙々と作業をしている馬に声を掛けた。
ゲオルグ「手の怪我は?」
馬「あ……多分大丈夫です…」
今宵も床に寝床を作ろうとしている彼女は、バスタオルで枕を作りながら答えにくい質問を軽く受け流した。
言葉ではぼかしているが、決して大丈夫ではないのだ。
彼女の拳には式までには到底治らなさそうな裂傷が出来てしまっている。
式本番では手袋で誤魔化す予定だが、指輪交換の際に怪我は公になるだろう。
あれだけ料理人達が馬の手に傷を負わせないよう注意を払ってくれていたのに、今となっては元も子もなかった。
ゲオルグ「……………」
馬「………わ。」
馬が寝床を作る背後でゲオルグが気配を殺して立っていた。
いつもの馬ならばすぐに気付くのだが、ナギが死んだと聞かされてからは彼女の意識は霞がかかったかのようにぼんやりとしている。
ゲオルグ「…………」
ゲオルグは馬の瞳をジッと見つめている。
馬「……?」
よくわからぬままに馬も見つめ返した。
すると、
馬「あれ……雪?」
自分を見つめているゲオルグの瞳に、雪景色が映って見えた。
ゲオルグ「雪?」
馬の口から突如出てきた全く関係のない単語に疑問を抱きつつ、ゲオルグは彼女の手を引いて立たせ、すぐ横のベッドにまで誘導した。
ゲオルグ「また何か見えたのか?」
馬をベッドに座らせ、ゲオルグはその横に座った。
馬「えーっと、ちょっと失礼しますね…」
昔の癖なのだろう、馬は躊躇う事なくゲオルグの頭を両手で抑え、ジッと瞳を凝視した。
ゲオルグ「……………」
馬の顔を間近に眺めながらゲオルグは思い起こしていた。
あの日の舞踏会で、初めて馬と話した瞬間から気になる存在になっていた。
彼女の首飾りにはヴァイカート家の紋章が刻まれており、かつて尊敬していた破天荒な上官ヴァイカート氏や、義理堅く最も信頼のおける部下タケルの親戚だと知るとさらに興味が湧いた。
何よりも、後日、馬には人を救える能力があると知った時…
ゲオルグ『使えるな。』
彼女がいれば死亡事故等を未然に防ぐ事が出来る、それは帝国の未来において非常に輝かしいものになるだろうと考えたゲオルグは是が非でも馬を手に入れたくなった。
この時はまだ恋愛感情よりも損得感情の方が勝っていた。
しかし…
馬「今の季節、雪は降らないですよね?
んー…何で見えるんだろ…」
馬は瞳に映るものの正体が何か、首を傾げて悩んでいる。
ゲオルグ「……………」
今のゲオルグには彼女の一挙手一投足、全てにおいてが見逃せないものとなっている。
馬「ん〜?」
眉を顰める仕草ですら可愛らしく感じてしまう。
同棲生活を経て、馬の事を知れば知るほどゲオルグの恋愛感情は強くなっていった。
それは、孤独に生きてきた彼にとって『初恋』と言うに相応しい感情だった。