モルドー帝国・後編~死刑囚と純白の花嫁~(その7)
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午後からは、以前馬を診察した医師が様子を見にやってきた。
医師「食事が食べられない?」
馬に優しく尋ねてくれる医師の顔を見ているとソウシを思い出してしまう。
馬「……っ、…」
返事をするよりも早く、涙の方が先に込み上げて来た。
楽しかったシリウス号での日々を思い出し、馬はホームシックならぬ、シリウスシックになってしまっているらしい。
しかし、馬の涙を見た医師は逆に安心していた。
医師『泣けるのなら、まだ大丈夫か…』
精神的に死の縁まで来てしまっている人間は泣こうとすらしない、いや、泣く事が出来ない。
そんな気力すら残ってないのだ。
その点、泣いている馬は、涙を流すことで少しでもストレスを発散させようという彼女の防衛本能が働いている証拠だった。
医師「少し顔色が悪いかな、栄養剤を打っておこうか。」
医師は食事を強要する事なく、栄養失調の予防として点滴を打つことを提案した。
帝国中が期待している結婚式を、花嫁の体調不良という理由で中止にさせるわけにはいかない、と医師も心得ている。
馬「先生、人が死んだ時の悲しみってどうやったら乗り越えられますか…?」
馬が弱々しく尋ねた。
彼女なりに前を向こうとはしているのだが、ナギを失った喪失感がとてつもなく大きくて、この苦しみが一生続いていくように感じるのだ。
出来るならば、すぐにでもナギの元に行きたい、これが彼女の本音だった。
医師 「………………」
馬の方から意気消沈している理由を聞かされた医師は慎重に答えを考えていた。
医師「……うん、たくさん寝て、しっかりご飯を食べて…が理想だね。」
考えた結果、無難な言葉で返した。
1番の薬は、本人の努力よりも、周囲からのサポートと時間の経過に頼るべきだ。
日中、故人の死を深く考えさせないよう、周りの者が話し相手になったり共に過ごしたりと、決して孤独にさせない事が肝心だと医師は考えている。
医師『ゲオルグ様は自傷が激しいと言っていたが、一過性のものだったのだろう。
今の馬様なら付き人がしっかりとサポートしてくれそうだし、大丈夫そうだ。』
医師は馬の横で控えているルイーズの存在を確認しながら考えていた。
……………………………
ソリア「貴方が馬ちゃんの弟さんなの…?」
タケル『び、美人だっっっ!!』
突然のソリアの来訪に、タケルは顔を真っ赤にして固まっていた。
ソリア「馬ちゃんは小柄で可愛らしい印象があったから弟さんも同じ感じだと思ってたんだけど…凄く逞しい軍人さんだったのね。」
ソリアはしげしげとタケルを眺めながら感想を述べた。
タケル「う、うす…////」
女性に対してあまり免疫のないタケルは、ましてやソリア程の美しい女性と話す機会なんて滅多になく、極度に緊張してしまっている。
ソリア「でも、綺麗な瞳はお姉さんとそっくりね!」
対するソリアは、図体の大きいタケルに臆すること無く彼の眼を見つめながらニッコリと笑った。
タケル「………////」
ソリアの笑顔を見たタケルは完全にノックアウトされていた。
少し話は遡る……
馬の鞄を預かったままだったソリアは、彼女の結婚に関する号外新聞を読んで酷く驚いていた。
ソリア『な、何で馬ちゃんが!?
ナギが迎えに行ったんじゃ…』
とにかく、馬が帝国軍の軍人の元に嫁ぐのなら、まだ軍部周辺にいるだろう……そう見越したソリアはわざわざ駐屯地まで足を運んだのだった。
そして、彼女の読みは当たっていたようで、運良く馬の弟のタケルに繋いでもらえたという経緯があった。
ソリア「じゃあ、馬ちゃんの鞄、渡してあげてね。
あ!それと、モルドーに定住するんだったらいつでもお店に遊びに来てって伝えて欲しいわ。」
タケル「そ、ソリアさんはどっかの店で働いてるんすか?」
シャイなタケルだが、勇気を振り絞ってソリアについて尋ねてみた。
ソリア「えぇ、昼は花屋、夜は酒場で。
どちらも南通りのお店よ。」
タケル「絶対に遊びに行きます!!」
ソリア「え?」
馬ではなくタケルが遊びに来るのか? と、ソリアは疑問に思ったが、
ソリア「フフッ、ありがとう。」
彼女お得意の癒やしスマイル浮かべながら爽やかに礼を述べた。