モルドー帝国・後編~死刑囚と純白の花嫁~(その6)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬「ナギさんに……会いに行きます。」
それだけ告げると馬は再び窓際へと向かっていく。
ゲオルグ「奴は死んだ、会うなんて物理的に不可能な話だ。」
ナギの死はゲオルグの嘘である。
本当は既に脱獄され、いつ馬を奪い返しに来るのかわからない状況にある。
だからこそ彼女をバルコニーの無い部屋で過ごさせ、ゲオルグの同伴無しでの外出を禁じていたのだ。
馬「あの軍の基地にナギさんは……いるんでしょう…?
ナギさん、1人で暇かもしれないから……ジェフさんのレシピを届けるんです……」
最後はニッコリと微笑んだ馬だったが、その瞳からは涙が溢れ出ている。
アベコベな言動と表情、そして今まで見たことのない馬の雰囲気に、病院の医師の言葉を思い出したゲオルグは焦りを感じる。
ゲオルグ「……レシピ?
馬嬢はジェフと仲が良かったのか。」
本件と関係の無い話をしながら、ゲオルグは馬との間合いをジリジリと詰めている。
馬「ジェフさんの料理はとっても美味しかったです。
たくさん味を盗ませてくれてありがとうと……お伝えください。」
そう告げるやいなや、馬は窓枠に手と足を掛けた。
ゲオルグ「あぁ、伝えておこう!」
「う」と言ったタイミングで、ゲオルグは馬の腕を掴んだ。
いくら回避が得意な彼女でも、何かのモーション中では動きが鈍くなる。
ましてや窓枠に足を掛けた状態だったので簡単に捕らえられてしまった。
馬「…やっ!」
馬は腕を引かれたまま、身体ごとゲオルグの方に引き寄せられた。
馬「……離して、」
馬は哀願した。
ゲオルグ「離さない。」
馬「離してっっ!!」
今度は叫ぶように訴えた。
ゲオルグ「ダメだ!」
ゲオルグは足掻き始めた馬の腕を強い力で抑え込んだ。
馬「ナギさんのところに行かせてくださいっっ!!お願いします!!」
ゲオルグ「そんな事は絶対に許可出来ない!!」
ジェイガン「どうなさいましたか、ゲオルグ様!?」
ここでジェイガン達複数の使用人が2人を止めに部屋まで入って来た。
ゲオルグ「お前達は下がっていろ、我々2人の問題だ。」
ジェイガン「しかし……」
馬「…………」
ゲオルグとジェイガンが話をしている間に、馬は再び改造ポケットを漁っていた。
すぐに目当てであるソウシ作の『加減知らずの煙幕』を見付けると、そのまま静かに作動させた。
ジェイガン「とにかくゲオルグ様、窓ガラスが割れてしまっている以上、この部屋は使えません。
すぐに別の部屋に移り…おや?」
ジェイガンの足下からもくもくと煙が上がって来たかと思えば、
「な、なんだ?火事か!?」
尋常じゃない速度で部屋に煙が立ち込めていく。
「早く消火活動を…!!」
まさかの緊急事態に、使用人達が慌てふためいている。
しかし、ゲオルグだけは冷静だった。
ゲオルグ『馬嬢がやったのか?』
すぐに馬の仕業だと気付き、腕を掴んでいる先の彼女を見下ろした。
馬「……………」
煙のせいで視界は最悪だったが、辛うじて馬が改造ポケットを漁っている様子が確認出来た。
ゲオルグ『今度は何をする気だ?』
ゲオルグが訝しく思っていると、
グッ…
ゲオルグ「!?」
ゲオルグが掴んでいた馬の手が呆気なく解けてしまった。
力の弱い馬がどうやってゲオルグの手から逃れられたのか、
ゲオルグ『合気道か何かの使い手だったのか!?』
彼が気付いた時には既に遅く、馬は窓まで一気に駆け出していた。
馬「…………」
馬は最後に振り向き、ポケットから取り出した物を地面にばら撒いた。
ゲオルグ『……鉄の、棘?』
ばら撒かれた物の正体は小型マキビシだった。
続けて馬は液体も床に撒いた。
ゲオルグ「………?」
次から次に出てくる奇妙な道具群に、ゲオルグは戸惑いを隠せなかったが、事態は一刻を争っていた。
馬が窓枠から躊躇なく外に飛び出そうとした瞬間に、
ゲオルグ「……っ!」
運動神経に長けているゲオルグがすぐに反応し、馬の服を掴む事に成功した。
ゲオルグ「……っ、」
小型マキビシが彼の靴を貫通している。
さらに床に撒かれた液体がぬるつき、足下が非常に滑りやすくなっている。
ゲオルグ「…くっ……」
窓枠に残っていたガラスの破片で腕を切ってしまったが、ゲオルグは決して馬を離そうとはしなかった。
馬「離して!!」
ゲオルグ「ここは2階だ!落ちたら怪我をする!!
ジェイガンッ!!お前達も手伝え!!
窓際に全員来い!!」
こうして馬の逃走劇は失敗に終わった。