モルドー帝国・後編~死刑囚と純白の花嫁~(その6)
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事の発端は、少し前に遡る。
ゲオルグの腕の中で眠っているはずの馬が、急に起き上がった。
ゲオルグ「……?」
その気配を感じたゲオルグも同時に目を覚ます。
暫くして、
馬「…グスッ………グスッ…」
馬が鼻を啜る音が聞こえた。
暗闇の中、背中を向けて座る彼女の顔は見えなかったが、手で顔を拭う仕草からして泣いているように窺えた。
ゲオルグ『……馬嬢?』
ゲオルグは声を掛けようか迷ったが、そうこうしている内に馬はベッドから下り、彼女の荷物が置いてあるスペースまで移動してしまった。
カチャ……カチャ、
馬は改造ポケットに入れているある物を探していた。
馬『うぅ……ナギさん……ナギさん…』
また幼少時代の夢を見た馬は、精神安定剤ならぬ精神安定物を探しているのだ。
馬『あった…!』
彼女が取り出したのはナギの黒いバンダナだった。
これは、スタンレー侯爵邸で再会した時に、ナギのズボンのポケットに入っていた物を頼み込んでそのまま渡してもらっていたバンダナだった。
馬『あぁ…ナギさんの匂い…』
バンダナを抱き抱えるようにして、馬は床の寝床の上に横になった。
不安定な時はいつもナギに抱き締めてもらっていた。
彼がいない時は彼の私物に顔を埋めて眠っていた。
今もナギのバンダナを抱き締めて、このまま気持ちを落ち着かせようとしていた馬だったが…
ゲオルグ「……馬嬢、どうした?」
急に姿が見えなくなった馬を心配したゲオルグが部屋の明かりを点けた。
ゲオルグ「……何をしている?」
明かりを点けた先には馬が黒い布を抱えて床で寝ている姿が見えた。
馬「ひぇっ……え、えーと…」
馬のこの行為はゲオルグに対して疚しく思える行為だった。
自分の夫(予定)以外の男性の持ち物を大事に抱え込み、さらには匂いを嗅ぐといった行動は背徳と変態の入り交じった悪態だと自負していた。
それをゲオルグに見られてしまったのだから、由々しき事態である。
ゲオルグ「その黒い布は?」
ゲオルグも馬が大事そうに抱える黒い布の正体が気になるようだ。
馬「あわわわわ………こ、これは…その……ナギさんの……あっ!」
極度の焦りのせいでつい真実を溢してしまった。
昔飼っていた愛犬の愛用布です!等、適当な嘘を吐けば良かった、と今更ながら後悔する。
ゲオルグ「……ナギの?」
また馬の口から忌々しい海賊の名前を聞く事になるとは。
そのナギの脱獄のせいで帝国軍は大変な混乱に陥っていると言うのに。
現在、ゲオルグを始めとする軍の幹部達は不祥事を隠蔽するために朝から晩まで書類整理に追われている。
臨時会議ではナギの名前が常に飛び交い、今では聞くだけでもうんざりする程だ。
自宅でのプライベートな時間だけは奴の事を考えたく無いというのがゲオルグの本音だった。
それと同時に、馬が未だにナギを想っている事実に憤りも感じた。
ゲオルグ「……………」
馬と出会ってから初めて知った感情が再びゲオルグに襲い掛かる。
馬「何でもないです、これはただの布です!!」
頭をブンブンと横に振りながら、馬は背中に腕を回してバンダナを隠した。
ゲオルグ「……………」
必死に隠そうとする彼女の姿を見ていると、ゲオルグの嫉妬心はどんどん燃え上がっていった。
ゲオルグ「そんなにナギの事が忘れられないのか?」
ゲオルグの声はとても冷たく低かった。
馬「……………」
明らかに怒っている雰囲気のゲオルグに、馬は何も言い返せなくなる。
ゲオルグ「あいつは処刑されてしまったのに?」
馬「え………?」
その言葉を聞いた馬は、息が止まってしまったかのような感覚に陥った。