モルドー帝国・後編~死刑囚と純白の花嫁~(その4)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬の方からキスをしてくるなんて一体どういった心境だろうか、と、ナギがぼんやりと考えながら口付けに応じていると、
ナギ「……?」
拘束されて身動きの取れない手に、何かを忍ばされた。
運良くタケルが目を逸らした一瞬の隙に、馬が手渡してきたのだ。
ナギ「…………」
手触りだけで確認すると、それはとても小さくて鋭利なモノのだった。
馬は唇を離し、
馬「ナギさんにフラれてばっかりだったけど……あの結婚指輪、渡したかったです。」
と、呟いた。
この言葉でナギは何を渡されたか理解した。
ナギ「……あぁ、次はちゃんと受け取る。」
そのまま、自然な装いで第三者が聞いてもおかしくないような言葉で返した。
タケル「馬、そろそろ時間だ。」
馬「……うん。」
タケルの言葉を聞いた馬は最後にナギの胸元にソッと顔を埋め、
馬「ナギさん…ずっとずっと、愛してます…」
ナギにしか聞こえない声で、もう1度自分の想いを告げた。
ナギ「……俺も……愛してる。」
ナギも小さく返したが、何よりも、彼女を抱き締めてやれない事に対して非常にもどかしさを感じた。
タケル「……出るぞ。」
タケルに促され、馬は名残惜しそうに身体を離す。
そして、
馬「さよなら、ナギさん…」
振り絞るような声で別れを告げてから牢の外へと出ていった。
ギィ……ガシャンッッ!!
再び牢に鍵が掛けられた。
タケル「ナギ、馬に感謝しろよ。」
去り際にタケルはナギに告げた。
ナギ「……?」
タケルの言い分がわからないナギは眉を顰めるだけだったが、彼にこの意味がわかるようになるのは後々の話だった。
……………………………
ゲオルグ「ヴァイカート、姉御殿を私の屋敷に連れ帰っても良いか?」
本日の業務を終えたゲオルグが再び戻ってきた時、彼はタケルに承諾を求めてきた。
馬「えーっと、ゲオルグさん、私のことはお気になさらず。
近くに家がありますので。」
ここの駐屯地にはナギが捕縛されている。
出来ればこの場から離れたくないので、馬は近隣の空きスペースで野宿でもしようと思っていた。
ゲオルグ「調べさせてもらったが、貴女は現在、住まいと呼べる住まいは無いのだろう?」
馬「っっ…!」
海賊船が住まいでした!なんて大きな声で言えるわけもなく、しかもその海賊船は本日付で下船してしまっている。
ゲオルグにそれを知られているとなると馬はぐうの音も出なかった。
そんな姉に代わってタケルが答える。
タケル「大将、馬なら俺の寮で一緒に暮らす予定ですが。」
タケルも軍から提供されている住まいがある。
彼は行き場のない姉をそこで受け入れるつもりでいた。
ゲオルグ「すぐに婚礼の儀を挙げたい。」
タケル「えぇっ!?」
馬「ぎょっ!?」
ゲオルグの発言に、姉弟は揃って仰天した。
モルドー帝国の上流階級の人間が婚礼の儀を挙げるには数カ月かけて準備をするというのに、すぐにというのはあまりにも急過ぎる。
ゲオルグ「馬嬢の衣装合わせや式の打ち合わせ等を早急にこなしたい。
ヴァイカート、自分の我が儘を許してくれないか?」
まるで馬の父親に頼み込むような勢いで、ゲオルグはタケルに頭を下げた。
タケル「た、大将!頭を上げてください!」
馬「そ、そうですよ、ゲオルグさん!!」
ゲオルグ「許しが出るまでは止めない。」
タケル「…………」
馬「…………」
絶対に譲ろうとはしないゲオルグを前に、タケルと馬は視線を合わせ、お互いの困った顔を見合うのだった。