モルドー帝国・後編~死刑囚と純白の花嫁~(その3)
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ナギは現在、木陰に隠れながら裏門の警備員の動きを窺っている。
ナギ「……………」
2人の警備員が依然として裏門前に立ち続けている。
ナギ単独ならば強行手段で切り抜けられるかもしれないが、今はか弱い女性の馬がいる。
いくら彼女の足が速いとは言え、筋力的に柵を乗り越えるには多少の時間が掛かってしまうだろう。
難しい顔をしながら裏門の様子を窺い続けるナギに向かって馬は、
馬「逃げるタイミングを図ってるんですかな?」
と、声を掛けた。
ナギ「……あぁ。」
馬「ならば私が囮になりましょう!」
馬は真面目な顔をして提案した。
ナギ「……はぁ?」
ナギからすれば素っ頓狂な提案過ぎて、かなり渋い顔をせざるを得ない。
馬を助けに来たのに、彼女を囮にするなんて本末転倒ではなかろうか。
馬「私が警備員さんに話し掛けるので、その隙にナギさんは柵を乗り越えてくださいね。」
それだけ言うと馬は、よし!と気合いを入れた。
そして隠れていた木陰から1人で出て行こうとした。
だが、勿論ナギが手を引いて止めた。
ナギ「ちょっと待て。」
馬「……アダッ、」
勢いよく腕を引かれたので、馬はバランスを崩してその場でつんのめる。
ナギ「……お前が囮になってる間に俺が柵を越えるのか?」
馬「うぃ。」
ナギ「……その後、お前はどうすんだよ?」
馬「あ、はい、ここのメイドになります。」
馬は答えた。
ナギ「アホだろ。」
それに対してナギが素早く、そして、鋭く指摘した。
寡黙で有名だった彼なのに、今では馬のツッコミ役がすっかり板に付いている。
馬「えぇ!?私の体を張った作戦なのに、アホと言われちゃいます?」
馬は心底納得いかないという様子で驚いている。
ナギ「……お前がここのメイドになっちまったら、俺が来た意味無くなるだろ。」
馬「はっ!!
確かに……ナギさん、名乗るだけ名乗って1人だけ帰っていったら、ただの自己紹介しに来た人になっちゃいますね(笑)」
馬は自分の言った事が可笑しかったようで、小さく笑っている。
ナギ「……真面目に考えろ。」
溜め息を吐きながら、ナギは馬の頭を軽く突いた。
馬「アテッッ!」
実のところ、未だ馬の胸騒ぎは続いていた。
ナギが危険な目に遭うかもしれないという予感が治まらないので、馬なりに何とか出来ないかと考えた結果が、『私が囮に』作戦に繋がったのだが……
馬『うーん、どうしよう…』
その時、事態が急変する。
ナギ「……今だ、行くぞ!」
馬「へぃっ!?」
屋内外の門番を交替するのだろう、外にいる警備員2人が監視室に入っていった。
その一瞬を見計らって、ナギは馬の手を引いて走り出す。
柵までは無事に2人で到着した。
ザッッ!!
ナギ「……っ、…」
ナギが時間にして2テンポ、あっという間に柵を乗り越え、向こう側に着地した。
馬『は、速ぇぇぇぇー!』
馬がナギの身の軽さに感心している間に、
ナギ「来い!」
馬が乗り越える番が来た。
馬「あ、はい…」
馬も急いで柵に足を掛けた瞬間、
馬「ナギさん、蹄の音がしません!?」
微かに馬が駆けてくる音を感じ、慌てて声を上げた。
ナギ「……そんなの聞こえねぇ、早く来い!」
馬「は、はい……(で、でも嫌な予感が尋常じゃないんだけど…)」
柵を上りながら馬はとても怯え始めた。
心なしか彼女の足下も覚束なくなっている気がする。
ナギ「……大丈夫か?」
その様子がとても大丈夫そうには見えなかったので、ナギは馬に声を掛けた。
その時、
ナギ「……!?」
複数の馬の蹄の音がナギにも聞こえた気がした。