馬「………クカー…………コケー……カキー……」
馬が奇妙な寝息を立てて眠りだした頃、
ハヤテ「ん……?」
シリウス海賊団のメンバーたるもの、敵襲などに敏感なため、聞き慣れない物音が聞こえたらすぐに目を覚ます。
ハヤテも例外では無いようで、違和感を察知して目を開けた。
ハヤテ「……何だ、うわぁぁぁっっっっ!!」
部屋にいないはずの人間がいる。
その事に気付いたハヤテは驚き過ぎたせいで心臓が跳ね上がった。
例えるならば、暗闇の中でGブリを発見した時の衝撃と似ている。
馬「……んあ?」
全ての元凶である
馬もハヤテの叫び声で目を覚ました。
ハヤテ「んあ、じゃねーよ!何でここに居るんだよ、アホ!」
馬「……あ、アホです、ありがとうございます……だから寝かせてください、グゥ……」
ハヤテ「褒めてねーし、そんなすぐ寝てんじゃねーよ!!」
ピュアな剣士は1つ1つ丁寧にツッコミを入れていく。
ピュアな剣士でもあり、実は繊細なツッコミ職人でもあるのだ。
馬「はい、起きます……起きますから、ムニャムニャ。」
ハヤテ「まだ寝てやがる…ったく、変な場所で寝るなよ……」
馬「ムニャムニャ、わかりました、違う場所で寝ます……」
ハヤテの寝ているベッドのすぐ下の床で寝ていた
馬はのそのそと立ち上がり……
馬「はい、移動しましたー…」
ハヤテ「アホかー!!!」
ハヤテの寝ているベッドへと潜り込んだ。
馬「ムニャムニャ……」
ハヤテ「寝るな!寝ーるーなぁぁぁぁ!!」
ハヤテは懸命に
馬を揺り動かして起こそうとする。
馬「あがが、あがががが…………」
ガクガクと頭を揺さぶられている
馬だが、その意識は既に夢の中にある。
馬「わかった、わかったよタケル君……姉ちゃんが添い寝してあげるから……ぐぅ…」
ハヤテ「は……?………っっ/////!!!」
ギュゥゥゥゥゥ………
それはそれは熱い抱擁だった。
馬がハヤテに親しみを感じるのは、反応が自分の弟と似ているのが大きいのかもしれない。
それ故、寝惚けた彼女はハヤテの事を幼き頃のタケルと勘違いした上での抱擁なのだが、そんな理由など微塵も知らない彼の心中は穏やかでは無かった。
女気の無い船上生活を送っている健全な男性が、寝惚けてる人間とは言え、女性から熱烈な抱擁を受けると、次に考える事はこうである。
ハヤテ『もう我慢できねー…!!』

(※S様作画)
ハヤテは良くも悪くもピュアな剣士である。
ハヤテ「
馬っっ!!」
意を決したハヤテが、抱き付く
馬を引き剥がした。
馬「ふぁッ!?」
ハヤテ「い、いや…あのー、」
ハヤテが次に紡ぐ言葉を考えていると、
ガチャッ!と、扉が開けられた。
ソウシ「ハヤテ、何騒いでるんだ。
静かに寝てなさ……えっっ!?
馬ちゃん!?」
昨晩浴びるように『神殺し』を飲んでいたソウシは案の定二日酔いに陥っていた。
ソウシ「体調が悪過ぎて目が覚めちゃってね。」
ソウシはニッコリと微笑みながら、自分が廊下を歩いていた経緯を
馬とハヤテに説明する。
ソウシ「
馬ちゃんは何でここに居るの?
やっぱりナギと気まずくなっちゃった?」
馬「……グゥ、」
ソウシの質問に対して、
馬はコクリコクリと船を漕いでいるだけだ。
これは9割方眠っている状態だろう。
ソウシ「でもどうしてハヤテの部屋なんだい? 私のとこに来れば良いのに…」
馬「…ムニャリ、」
ソウシ「え?抱き枕になるのが嫌だって?
うーん、そんな事したかなぁ…」
馬「………カー、」
ソウシ「あー、ごめんごめん、それは悪かったね。
うん、うん。」
その後も
馬とソウシの謎のやりとりは続いた。
ソウシは寝惚けている
馬の言い分を理解しているようだが、それでも端から見ればずっと彼1人で会話を続けているという危ない光景だった。
しかし、隣で黙って見ているハヤテは、
ハヤテ『ソウシさんスゲー!!
医者にもなれば寝てる奴の言いたいことまで分かるのか…』
と、ありのままの出来事を受け入れ、感動していた。
彼は非常にピュア(略)なのだ。