モルドー帝国·前編~花と涙のファーストキッス~(その3)
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……………………………
ソリア「それでね、お父様が亡くなった直後に、『爵位返上が決定される前に自分と結婚しろ』ってアイツが迫ってきたの!」
ナギ「……………」
ソリア「『家を断絶させないためにも早急に婿養子の手続きを取らないといけない』とも言ってたわ。
何よそれ!?って感じでしょう!」
興奮気味に語るソリアの顔は赤く、瞳は潤んでいた。
ナギ「……ちょっと飲み過ぎじゃねぇか?」
酔いのせいもあってか、明らかに取り乱しているソリアをナギが心配し、忠告するが、
ソリア「良いの良いの。
これは飲まずには話せないんだから!
マスター、もう一杯!!」
彼女の方は聞く耳を持たず、それどころかさらに酒を追加注文するのだった。
マスター「ソリアちゃん、今日は飛ばすねぇ…はい、どうぞ。」
店のマスターが、やや苦笑しながら注文された酒を提供する。
ソリア「ありがとう、マスター。
今夜はね、大切な人と再会出来た記念に飲んでるのよ。」
マスター「そうなんだ……もしかしてお2人さんは良い仲ってやつかい?」
ソリア「やだっ、違う違う!
ただの友達よ、本当に旧い馴染みの…」
マスターの質問に慌てて否定するソリアだが、彼女の顔はより一層赤くなった気がする。
その理由は酒のせいなのか、はたまた……
ソリア「ごめんね、ナギ。
私の家のいざこざにあなたを巻き込んでしまって…」
当時の出来事に対して、ソリアは改めてナギに謝罪したが、
ナギ「……気にしてねぇよ。」
もう昔の事だから、と、ナギの方は極力気にしていない体を強調して返した。
ソリア「ううん、そのせいでナギは村から出ていかなければならなくなったじゃない。」
ナギ「…………」
それでも、至極申し訳なさそうに話すソリアを見て、ナギは当時の事を思い返していた。
「またあの少年と会ってたのか?」
領主の娘ソリアと山賊少年のナギが仲良くなることをソリアの父親はいつも心配していた。
「あの少年についてはあまり良い噂を聞かないが、本当に大丈夫なのか?」
ソリア「もう、お父様ったら心配症ね、ナギは大事な友達なの!
私に勉強以外の事を教えてくれるのよ?
例えば食べられる木の実とか、季節の動物とか……とにかく危害を加えるような人じゃないわ。」
「そうか…」
温和で理知的なソリアの父はそれ以上の追求はしなかったが、やはり娘の身は常に案じていた。
それ故に、
「娘も困ったものだな……自らあの山賊少年と懇意にしたがっている。
後々危険が及ばなければ良いが……」
と、ナギとの事を執事のアーバンにこぼしていた。
そして、結果的にこの発言がソリアの人生を大きく変える事となるのだった。
ある日のこと……
夜も更けた時間帯に、ソリアは日課の日誌を綴っていた。
本日の勉強内容についての感想を記し終えた直後に、
……ガチャンッ!!
ソリア「……あら?」
遠くでガラスの割れるような音が聞こえた気がした。
しかし、
ソリア『誰かがお皿でも割ったのかしら?』
と、ソリアは特に気に止めなかったが、しばらくして部屋にメイド長が血相を変えて飛び込んできた。
「大変ですっっ、お嬢様!!」
ソリア「どうしたの?」
「火事です!早くお逃げください!!」
ソリアはメイド長に誘導されながら、命からがら屋外へ逃げ出す事が出来た。
「おい、西部屋の方がかなり燃えてるぞー。」
「お嬢さんは無事だったみたいだぞ、良かった良かった!」
屋敷の外には既に沢山の野次馬達が集まっていた。
ソリア『お父様とお母様は大丈夫かしら……?』
その後、領主を慕う有志の村人達が消火活動を手伝ってくれたため、屋敷の全焼は免れる事が出来た。
ソリア『あぁ、村の人達に感謝しないと……火が消えて本当に良かった。』
ほっと胸を撫で下ろしたソリアだったが、この小火騒動の結末は非常に悲しいものとなる。
焼けてしまったいくつかの部屋のうち、最も損傷が激しかったのはソリアの両親の部屋だった。
火事の翌日、その焼け跡から2人の男女の、ソリアの両親のものと思われる遺体が発見されたのだ。