モルドー帝国·前編~花と涙のファーストキッス~(その3)
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……………………………
ソウシ「すみませーん、もう1杯~♪」
店員「はーい、『神殺し』ですねー。」
何杯目だろうか……ソウシが銘酒『神殺し』を頼むのは。
ソウシ「フフフ、『神殺し』と言えども、水割りだから全然酔えないね。
ところで、シン、私と一緒にコンビを結成しないか?
私達の歌で世界を救うんだ!」
ソウシはすっかり出来上がってしまっていた。
一方、
馬『あー、吐きそうだ……ここで吐いたら洒落にならない……』
馬の方は羽目を外してアルコールを飲んだせいで嘔吐感に苛まれていた。
今一言でも話したら彼女の口からは飲み食いした物全てがリバースされてしまうだろう。
それは年頃の乙女としてあってはならない事である。
シン「おい、大丈夫か?」
馬「……………」
シンは机に突っ伏したまま黙りこくっている馬を心配し、声を掛けた。
シンだけは、お調子者の馬やソウシとは異なり、自分のペースでワインを飲み続けているので普段通りの姿勢を崩していない。
シン「ドクター、馬の調子が悪そうだから見てやってく、」
店員「はい、『神殺し』になりまーす。」
ソウシ「待ってたよ、店員さん!!
私はこれがないと生きていけない身体になってしまってるんだ、フゥーッ!!」
医者であるソウシの方が重症だった。
シン「……チッ、」
自分は医者だから介抱してやると言っていたのはどこの誰だ?……と、心の中だけで毒づいたシンはソウシの無責任さに思わず舌打ちした。
それと同時に、ソウシの代わりに馬を介抱してやらなければならない、という使命感も渋々発生していた。
シン「馬、起きろ、水だ。」
店員に水を頼んでから、シンは馬の肩を揺すり起こした。
すると、
馬「……ハァ…………ハァ………ちょっと、待って…………ハァ……」
顔を上げた馬は、酔いのせいで息が荒く、頬も朱色に上気していた。
まさに酔っ払って身動きの取れない状態の彼女の姿がそこにあった。
シン「……………」
馬「……ハァ……ハァ……今喋るのは無理……です……ハァ……」
泥酔状態で息も絶え絶えな馬は、アホとしか言えない通常時とは異なり、色香までまとっている……そんな彼女の艶容をシンは初めて目の当たりにした。
シン『これは……アリだな。』
どうやらシンも、ナギが通った道、『ギャップの差にやられる王道』を歩んでしまっているようだ。
シン「水も飲めなさそうか?」
馬「…………」
シンの問い掛けに馬は小さく頷いた。
今話すと確実に吐き戻してしまいそうな馬は、ひたすら黙って堪えていた。
馬『あぁー、もう2度と酒は飲まないぃぃぃ……』
泥酔する度に考える事は禁酒への決意である。
しかし、それでも時間が立てば忘れてしまう、そんな馬は懲りないタイプの人間だった。
シン「…………」
シンはチラリとソウシの方を盗み見た。
ソウシ「証明は、n=4のときとnが素数のときのみを考えて……例えば、n=6のときは (x2)3+(y2)3=(z2)3と書き直せるからね。
nが具体的な値を取るいくつかの場合についてはさまざまな証明が与えられてるんだけど、君はどう思う?」
ソウシは見えない誰かに向かって、難解な定理について問いかけていた。
彼もまだまだ酩酊状態が続いているようだ。
シン「…………」
シンはソッと馬の手を握ってみた。
実は彼も少し酔っている。
同じシリウス海賊団メンバーの想い人とは言え、今は自分が馬を介抱してやっている。
少しくらい触れても罰は当たらないだろう、シンはそう考えていた。
普段は抱かない下心を抱くシンは見た目は美しい女性のようだが、やはり中身は男性なので、
シン『ちょっと縛って啼かせてみるのも良いだろうな。』
と、心の中で立派なアブノーマル縄師としての考えを巡らせていた。
一方、
馬「ナギさん、ありがとーごぜーます…」
馬は激しく勘違いをしていた。
自身の手を握ってくれている人物はナギだと思い込んでいる。
馬『あぁ、今日のナギさんの手は冷たくてマイルドな触り心地だわ……悔しいっっ…酔ってさえなければすぐにでも舐めて味わうのに……』
泥酔中とは言えども、馬も根っからの変態的な性格は変わっていなかった。