モルドー帝国·前編~花と涙のファーストキッス~(その3)
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……………………………
ソリア「へぇー、ナギって飲んでも全く変わらないのね。」
ナギ「……あぁ。」
こちらの2人は大人のお酒を嗜んでいた。
現在、2人が訪れている店はソリアの馴染みのバーである。
シックな造りの店内は薄暗く、しかし、ジャズ調の曲の生演奏が微かに聴こえてくるので、気分良く、落ち着いて飲食が出来るようになっている。
ナギ「……なぁ、あの事件の後、何があったんだ?」
一通り世間話を済ませてからナギは本題を持ち出した。
ソリア「………………」
ソリアは間を開けるようにして、グラスに入っているワインを一口飲む。
ソリア「……うん、」
何やら憂いのある表情をした彼女は遠くを見つめながらゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
ソリア「父が亡くなってしまったから、家の爵位が返上になったのよ。
そこから笑っちゃう程大変だったんだから…」
思い出を語る彼女は少し自虐気味に笑っていた。
ナギは山に遺棄された捨て子だった。
ふらふらと行く宛もなく山道をさ迷っていたところを、偶然山賊の頭に拾われてそのまま山賊になったという生い立ちがある。
元々ナギが暮らしていた村には貧困層が多く住み、口減らしのために親が子どもを捨てる事も珍しくない土地柄だった。
建ち並ぶ家屋も老朽化が進み、そのまま放置された、一見瓦礫と見紛うような廃屋ばかりで村全体の雰囲気はとても鬱々としていた。
そんな中、唯一豪奢な屋敷が山の麓に建っていた。
村周辺の領土を治めていた領主、ソリアの父親が所有する屋敷だった。
ソリア「あの屋敷ね、アーバンに乗っ取られちゃったの……やっぱりあの人が犯人だったみたい。」
ナギ「………………」
ナギとソリアは当時の執事だった男の顔を思い出していた。
アーバンとは……ソリアの父を殺害し、全ての罪をナギに被せた忌々しい人物の名前である。
ソリア「どうして木の上なんかに上ってるの?」
これが、初めてソリアがナギに向けて発した言葉だった。
当時のナギは10代にして山賊業に明け暮れていた頃で、そんな荒くれ者の彼がふと気紛れに果実を採ろうと木に上ったタイミングでソリアが声を掛けてきたのだ。
ナギ「……………」
ソリア「あ!ちょっと待って!!」
その時は一言も言葉を交わすことなくナギの方から立ち去ったのだが、山賊のアジトに帰ってからも彼は何となくソリアの事を考えるようになっていた。
村一番の富裕家庭の娘ソリアは、村の女性達と異なり、身なりも仕草も洗練されていた。
初対面にして『美しい』と思える女性に遭ったのは彼女が初めてだった。
もう一度あの娘と会って話してみたい、そんな感情がナギには芽生えていた。
ソリアと初めて会えた時間と場所に、再びナギが訪れてみると、幸運な事にも、また彼女の姿を見付ける事が出来た。
ナギ「………あの、」
今度はナギの方から勇気を出して話し掛けてみると、
ソリア「……あ!この前の!!」
ソリアの方もすぐに反応してくれた。
ナギの好奇心と人懐っこいソリアの性格も相まって、そこから2人は打ち解けることが出来たのだった。
それからというもの、ナギは何度も屋敷近くまで足を運び、ソリアの散歩の時間を見計らっては姿を現すようになった。
ソリア「今考えると、あの頃からアーバンはうるさかったわね。」
ナギ「……俺の事、面と向かってドブネズミって言ってたしな。」
ナギは過去の出来事を思い出して小さく笑った。
ソリア「本当、失礼しちゃうわよね。
ナギは大人になってこんなに立派になったのに、アーバンには先見の明が無かったんだわ。」
ナギ「………………」
山賊を辞めた現在は海賊をしているなんて事はソリアには言えなかった。
表向きは船の専属料理人だと言っているのだが、彼女に純粋に褒められるとナギの良心がチクチクと痛む。
ソリア「あ、もう無くなってるじゃない。まだ飲むわよね?」
ナギ「………あぁ。」
ソリア「そうこなくっちゃ!
すいませーん、マスター!」
ソリアはバーのマスターに追加の酒を注文した。