モルディ市国~貴族と軍人と海賊~(その6)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬「…………」
馬はナギの腰に手を回して抱き付いている。
ナギ「……………」
ナギは、馬に抱き付く理由を尋ねたくなったが、今声を発するべきではないと本能で感じ取っていた。
言葉を掛ける代わりに、
ギュ……
馬の身体を抱き締め返した。
馬「…………」
馬の小さな身体が微かに震えている。
泣き顔に見えたのは事実のようで、彼女は静かに泣いているようだ。
ナギ「…………」
先程まで楽しそうに石投げに行じていた馬が、急に泣き出した理由をナギは考えていた。
だが、皆目見当が付かなかったので彼女が落ち着くまで待つことにした。
馬「失礼しました……」
暫くして一言謝罪の言葉を漏らした馬はナギから身体を離そうとしたが、
ナギ「……このままでいい。」
ナギの方が馬の身体を強く抱き締めたまま、それを拒否した。
馬「…………」
馬も静かに今の状況を受け入れる事にしたようだ。
今度こそ、綺麗な景色の下で1組のカップルが川辺で抱き合う美しい絵が完成していた。
今の馬からは決してふざけた雰囲気は感じられず、大人しくナギに身を任せている。
少しして、
ナギ「……城主に襲われそうになったのが怖かったのか?」
唯一考えられる理由を尋ねてみた。
すると、
馬「いいえ。」
馬は僅かに顔を逸らして返事をした。
ナギ「……落ち着いたか?」
彼女の涙が収まったのを確認し、少しだけ腕の力を緩めてやった。
馬「はい。」
ナギを見上げるだけのゆとりが出来た馬は、その瞳を潤ませながら微笑んだ。
ナギ「……………」
本来の彼女の笑顔を見れたナギは堪らなくなり、再び腕に力を入れる。
ギュ…
再び2人の間に静寂が訪れるのだった。
どれくらいの時間が経ったのだろう……
馬「上衣は反則だと思います!」
ナギ「……何が。」
2人は抱き合いながらも会話を続けていた。
シャイなナギが屋外でこんなことが出来たのは、周辺に人の気配が全く感じられないことと、川辺の景色があまりにも綺麗だったからだろう。
馬「上衣は……何だかナギさんに守られてる気がして、マイハートがノックアウト!されちゃいました。」
少し照れ臭いのか、馬は片言の英語を交えて説明する。
ナギ「……………」
そんな理由で泣いたのか?と、ナギは少し疑問に感じた。
しかし、すぐに馬の口から答えが告げられた。
馬「私、小さい時に1日だけ最高にハッピーだった日があったんです。」
ナギ「…………」
馬「それが、山桃と石投げ……あと上衣を貸してくれたナギさんの優しさで思い出したんです。」
ナギ「…………」
ナギは最後まで馬の話を聞いてやるべく、黙秘を貫いている。
馬「やっぱり、私にとってのナギさんはすっごく尊敬出来る人で、信頼出来る大人ですね!」
馬はゆっくりと顔を上げた。
その顔はいつもの道化顔ではなく、真剣な表情そのものだった。
彼女の懸命さを見たナギは腕を解放し、面と向かって顔を見据えた。
馬「これからも…ナギさんの近くにいても良いですか?」
意外にも彼女から告げられたのはプロポーズの言葉では無かった。
ナギ「…………」
想定外の控えめなお願いに、ナギはやや返答に困っていると、
馬「やっぱり迷惑ですか?」
彼の戸惑いをすぐに察した馬が悲しそうな顔をして尋ねてきた。
彼女は人の顔色を伺う傾向があると、数ヶ月一緒に過ごしてきてわかったことだった。
ナギ「迷惑じゃねぇよ。」
ナギは安心させるためにも小さく微笑んでから馬の頭を撫でてやった。