モルディ市国~貴族と軍人と海賊~(その3)
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬とシンのクイックステップは、全ての待機中の人間の視線を独占していた。
他にも数組のペアがダンスを踊っているが、ターンのキレやステップの正確さは馬達の比ではない。
馬がクルリと身体を回転させる度、彼女の薄桃色のレースのリボンの先がフワリと舞い上がる。
「まるで女神がダンスをしているみたいだ……」
観客達はその様子を見て、神聖なものと触れ合えたかのような錯覚まで覚えていた。
周囲の追随を許さない程、馬とシンが順調に踊りこなしている時に事件は起こった。
馬『ん?何か落ちてる?』
馬はシンの足下に落ちている黄色い物体に気が付いた。
意識して見てみると……
馬『えぇっ、バナナの皮!?』
そう、何故だかフロア内に、それもシンが足を踏み下ろす射程圏内にバナナの皮が落ちているのだ。
バナナの皮と言えば、踏んで転倒するまでが王道の展開だが、今は真剣勝負のダンス中。
そんな失態は絶対にあってはならない。
馬『あぁっ、シンコーチはまだ気付いてないみたい……あっっ、危ないっっっ!!』
厄介なことにシンは未だ気付いておらず、知らず知らずのうちに皮の上に足を下ろそうとしていた。
馬『だ、ダメッッ!!!』
シンの爪先がバナナの皮に触れるまで後3センチ、
2センチ、
1センチ……
馬『神様、シンコーチを助けてっっ!!』
馬は心の中で神に祈った。
すると、
シン『!?』
シンの爪先がバナナの皮に触れるまで後数ミリといったところだろうか、ここにきて本人が違和感を感じ、咄嗟に足の動きを止めた。
シン「………!」
しかし、彼が驚いて目を見開いたのは一瞬だけで、その後は何事も無かったかのような涼しい顔をしてバナナの皮のすぐ横に足を置き直した。
そして馬の手をやや強めに引きながら、何も無い場所へと実にスマートに誘導していく。
この間も2人のダンスは止まる事は無かった。
その結果、
馬『さ、流石シンコーチだわ!!
あんなピンチを顔色1つ変えずに乗り越えてしまうなんて……私もコーチのパートナーとして最後まで最高のダンスを踊らなければ!!』
シンの神懸かった臨機応変な身のこなしを目の当たりにした馬は、ますますダンスへの想いを募らせる事になった。
「ご覧になりましたか、会長?」
「ふむ、あの若者は困難をものともせんかったのう…あやつの名前は?」
「申し訳ありません、存じ上げません。
あまり社交場では見掛けない顔ですので…」
「ほっほっほ、急に現れた新星というわけか、面白い。
あの娘の方もダンス初心者なのだろうが、勢いとキレがあって才能がある。
今後の成長が楽しみじゃのう…」
と、何処からか湧いて出てきたベストカップル賞の決定権を握っていそうな会長とその付き人らしき人間も馬とシンのペアを絶賛していた。
※バナナの皮は曲の終了後、会場スタッフが速やかに回収しました。