昼食の仕込みを粗方終えたナギが
馬達の様子を見にきた時、思わず目を疑ってしまった。
ナギ「……………」
ナギが呆然と立ち竦む先には……
シン「ほら、まだ全てのステップに辿り着けてないぞ!?早く立て、雌チキン!!」
シンの罵声も酷いが、
馬「はい、シン先生っっ!!」
立ち上がる
馬の装いも酷かった。
衣服の上からではあるが、彼女はどう見てもロープで亀甲縛りをされているではないか。
ナギ「シン、お前何やってるんだ!」
とんでもない事をされている
馬の本来の飼い主がシンにクレームを入れた。
シン「邪魔をするな!これも全て
馬のためだからな。」
ナギ「……はぁ?」
シンに言われて、ナギが
馬を見てみると…
馬「ハァハァ……もっと、もっと罵声を浴びせてください!!」
苦しむどころか、むしろ喜んでいるようだ。
ナギ「アホ、お前も興奮すんな!!」
ナギは気付けのためのデコピンを
馬に入れた。
馬「アダッッ!」
ナギ「ドクターはどうした?何でこの状況を止めに入らないんだ…」
シン「ドクターならあそこだ。」
ナギ「……?」
シンの指差した方を見てみると、
ナギ「………何してんだ?」
ソウシが積み荷の物陰から白眼でこちらの様子を窺っている。
シン「ドクターは影ながら見守っているんだ。」
ナギ「……はぁ?」
ますますナギは混乱した。
馬「あ、外しちゃいやん、ナギさん!」
ナギにロープを解かれ、
馬は不満の声を漏らした。
ナギ「……お前らがここまでアホだとは思わなかった。」
馬「お?ナギさんも協力してくださるのですか!?もっと罵ってください!!さぁさぁ!!」
ナギの嘆きはご褒美だと捉えられてしまったらしい。
ナギ「……アホ。」
ナギが
馬の拘束を全て解き終えると、
シン「何だ、外したのか。」
船内に飲み水を取りに行っていたシンが戻ってきた。
ナギ「……あまり
馬に変な事するなよ。」
ナギは溜め息を吐きながらシンに苦言する。
シン「フン。お前は気付いてないだろうが、こいつにはいや、この雌犬には素質がある。」
馬「いやん////」
雌犬と言う言葉を聞いた
馬は恍惚の表情を浮かべる。
シンは
馬の顎を掴んで自分の方へと顔を向かせた。
シン「トップダンサーとしての素質がな。」
馬「あぁん…シン先生////」
そう、マゾヒストではなく、あくまでもダンサーとしての才能の話をしているのだ。
ナギ「…………」
ナギは2人の師弟関係に完全に引いている。
シン「さっきの拘束にも意味があってだな。」
シンは
馬の腰に手を回し、
シン「……手の反動を使うのではなく、足のみの動きでステップを確実に踏むための練習になっていた。」
2人してクルンと綺麗な回転ステップを踏み、ポージングを取りながらナギに告げた。
ナギ「……そ、そうか。」
ナギも段々とシンの気迫に圧倒されている。
そして、
ソウシ『な……!!初心者の
馬ちゃんをパートナーに、あれだけ見事なターンをやってのけるなんて……流石シン!!!!(白眼)』

やはり物陰から白眼を剥いて驚愕しているソウシがいた。