つぎの日
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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……………………………
トワ「すいませんっっ、寝坊しました!!」
馬を除いたメンバーの中で一番下っ端のトワが一番遅くに食堂までやってきた。
起床してからそのまま慌てて来たらしく、彼の栗色の髪は昨日見た時よりも何箇所かハネていた。
トワ「あ、馬さん!おはようございます。」
この時、食卓にはハヤテとソウシの姿は無く、馬だけが席に着いて食事を取っていた。
しかしながら、彼女の食べている朝食はトワから見てもなんとも奇天烈なものだった。
トワ「あれっ、おにぎりとジャムの組み合わせで食べてるんですか?斬新ですね…」
ジャムおにぎりの他にも馬の皿の上に乗っているおかずをよく見ると、レタスにジャム、ソーセージにもジャムと、全てにおいて斬新な組み合わせで置かれている。
馬「うん、これは皆の優しさで出来てるご飯なんだよ。 私、感動しちゃって、全部一緒に食べないといけない気がして。」
トワ「優しさで出来てる…ですか。」
よくわからないが、とりあえず馬が感動しているという事は理解出来た。
トワ「僕も朝食受け取って来ますね。」
急ぎ厨房まで顔を出したトワはナギから自分用の朝食を受け取り、さらに馬の謎メニューについて話題を出してみた。
トワ「ありがとうございます、ナギさん。
あ、馬さんの朝食は珍しいですね!
おにぎりとジャムで食べるってヤマト流の食べ方なんですかね?」
ナギ「……………」
しかし、ジロッと睨まれただけでナギからの返答は無かった。
トワ『あれっ、ナギさんご機嫌ナナメだ。』
……………………………
再び食堂に戻ってきたトワはナギの不機嫌な理由を馬に聞いてみた。
彼女がナギの怒りの原因だとトワは直感的に感じ取っていた。
トワ「ナギさん機嫌が悪かったですね。
馬さん、理由を知ってたら僕に教えてくれませんか?」
馬「オーケー!!トワ君とは家を一緒に作った仲だもんね。 実はね……………」
すっかりトワに気を許している馬は事のあらまし、朝からナギにやらかした自分の過失を説明した。
トワ「あぁ、馬さん、よく無事でしたね。 料理中のナギさんを怒らせてご飯抜きだけで済んで良かったです。 …じゃあ僕からもこれをどうぞ。」
全ての事情を理解したトワも先輩達に倣って馬におかずを一つ提供する。
今回の騒動の元凶、ゆで玉子である。
馬「え!!トワ君…こんな立派なゆで玉子…いいの?」
譲渡してもらったゆで玉子を前にして、馬の目にはうっすらと涙が浮かんだ。
トワ「はい!これで軽い定食の出来上がりですね。」
ジャム・おにぎり・レタス一枚・ソーセージ、そしてトワからのゆで玉子。
このゆで玉子にも漏れなくジャムを塗る。
断食を覚悟していた彼女の前には立派な定食が出来上がっていた。
馬「凄い!!皆の愛のジャム定食の完成だわ!!」
トワ「……………はい!」
トワは馬のネーミングセンスに引っ掛かりを覚えたが、爽やかな笑顔で誤魔化した。
馬「…よーし!!」
馬はジャムゆで玉子をパクッと一口食べてみた。
馬「…うぇっ」
当然ながら、あまり美味しくはなかったようだ。
……………………………
トワ「じゃあ馬さん、僕行きますね。」
朝食を終えたトワが席を立つ。
馬「トワ君、私が片付けとくよ。 ついでにナギさんに食器洗いをやらせてもらえるよう頼んでみる!!」
馬はガッツポーズをしながら仕事を求めて張り切っている。
飢えが満たされて、再びナギと対峙するやる気が出てきたらしい。
トワ「片付けありがとうございます。 ナギさんは手強いですから頑張ってくださいね!!」
馬に応えてガッツポーズで応援してくれるトワ。
彼は何をしても前向きかつ友好的に映るので周りから可愛がられるタイプの人間だ。
馬『トワキュンのフレッシュさ、すっっごく良いわぁ~////』
馬も例に漏れず、オバチャン下心を炸裂させてトワの可愛さを堪能していた。
……………………………
馬「さて、片付けますか!」
トワの他にも請け負っていたシン、ソウシ、ハヤテの食器類と、自分のジャム定食の食器類も食卓には残っている。
それらを手際よく一つにまとめていく。
カチャカチャ…
馬「ほっ、よっ、…それぇー…」
馬は酒場でバイトをしていたから食器の引き下げには慣れている…が!食器類を積み重ねている内に彼女の中で欲が沸き上がってきた。
馬『…自分の限界に挑戦したい!』 とさらなる高みを求めて。
ナギ『…遅ぇな。』
いつまで経っても食器が返却されない事を訝しく思ったナギが食堂までやって来た。
そこで彼が見たものは…
馬「おっとっと……」
頭・両肩・両腕に、一度に5人分のお皿を乗せた馬の姿だった。
ナギ「……!!!」
奇抜な大道芸を見たナギは思わず怒鳴りそうになったが、今の彼女にちょっとでも刺激を与えると食器類が全滅する恐れがある。
一瞬の内に的確な判断をし、アホな挑戦に挑んでいる馬の元へ急いで行き、頭と肩の食器を取り上げた。
馬「あ!」
ナギ「…………」
般若顔のナギを見て、
馬「す、すみません…調子に乗りました。」
馬は酷く反省をしつつ、唯一持っていた両手の食器を厨房まで下げるため、怒りのオーラを隠しきれていないナギの後へと続いた。
……………………………
馬「あの…ナギさん?」
ナギ「……………」
食器を洗うナギは完全無視を貫いている。
馬「私が洗いますよ…?」
ナギ「………」
無視。
馬「ねぇ、ナ・ギ・さ・ん☆」
ナギの背中を指でツーーっとしてみた。
ナギ「……………」
ゾワゾワと虫酸が走るような感覚が襲ってきたが、それでも彼は無視の姿勢を改めない。
馬「…うぅ。」
ションボリとする馬。
無視され続ける事に比べたら怒鳴られる方が幾分かマシだった。
馬「…ナギさん、ホモって言ってごめんなさい。 …ナギさんはちゃんと女性が好きなんですよね、聞きました。
…嫌な思いをさせてすみません…無類の女好きのナギさん…」
馬なりに真剣な謝罪をするも、彼女のそれは『ナギ=スケコマシ野郎』だと言っているような諸刃の謝罪だった。
ナギ「…ここじゃなくて何処か別の場所を手伝ってこい。」
馬「……はい。」
今はナギの言うことを素直に聞いておくべきだ、シュンとしたまま馬は厨房を後にした。