その日の夕方
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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……………………………
トワ「うゎぁぁぁぁぁ~、すみませんっナギさん!!!」
遠方でトワの悲鳴と謝罪が聞こえてきた。
馬「アワワワ…トワ君、ごめんよごめんよ…」
馬は酷い目にあっているであろうトワを想像しながら、手を合わせて謝罪の祈りを上げている。
ソウシ「フフッ、あんなに怒るナギは珍しいな。」
ナギの激怒によってトワの悲鳴が船内にこだまする非常事態にも関わらず、ソウシは変わらずニコニコとしている。
ソウシ「トワはわかるけど、シンまで一緒になってこの家を作るのに協力してくれたの?」
馬「はい。トワ君が資材運びと組み立てを手伝ってくれて、シンさんが潰れないためのアドバイスをしてくださって…」
ソウシ「そうなんだ、あのシンが。」
ソウシは口では馬に相槌を打ちながらも、
ソウシ『ナギもシンも馬ちゃんと関わるとこんなにも変わるのか。』
と、その実では冷静に分析していた。
馬「あ、そう言えばまだシンさんの悲鳴が聞こえてない!!今なら間に合うかも!!」
ソウシ「間に合う?」
馬「ナギさんに怒られる前に先に行って忠告しないとです!逃げるか隠れるかしてくださいって!」
ソウシ「あ、待って馬ちゃん!」
猛ダッシュでシンの元に向かうために超前傾姿勢を取ろうとしている馬を、ソウシは慌てて引き止めた。
ソウシ「シンは多分大丈夫だよ。」
馬「大丈夫?」
ソウシ「うん、彼は賢いから上手に切り抜けられる。」
賢いからナギに怒られないのか?
それならば怒られた自分やトワは賢くない、つまりはアホであるとソウシに言われていないか?という思いが馬の脳裏を過った。
ソウシ「それよりさ、頑張って作ったところ悪いんだけどそろそろこの家を片付けようか。」
馬「うぅ…」
ソウシ「ほら、このままだとナギはベッドも机も使えないだろう?」
馬「…あ。そうですね、ナギさんが寝られなかったら本末転倒だ…」
まるで幼児を諭すようにソウシは上手に馬をお片付けへと誘導する。
馬を扱う上で、ナギとソウシは北風と太陽のように対応方法が異なる。
馬「わかりました、でも心配だから片付けたらすぐに様子を見に行きます!」
ソウシ「うん、そうしよう。私も片付けるのを手伝うね。」
ソウシはまた微笑みながら紙箱要塞へと手を伸ばした。
ソウシ「…せいっ!!!」
バゴンッッ!!
紙箱要塞の接合部分を効率よく狙い、ソウシは正拳突きを炸裂させた。
馬「!?」
簡単に崩壊する要塞を見て、馬は初めてソウシの腕力の強さを知ることとなった。
……………………………
トワに説教と鉄拳制裁を喰らわし、さらに罰として野菜の皮剥きを命じ終えたナギは、次なる罰則対象者のいるであろう航海室へと向かった。
ナギ「シン!!」
シン「何だ、ナギ?飯か?」
シンは航海室にいきなり入ってきたナギを一瞥するも、すぐに航海図へと視線を戻す。
まるで興味を示していないように見えるシンだが、口元の笑みや含みのある口ぶりから察するに、彼はナギの怒りの原因を知っているのだろう。
ナギ「…馬とトワにしょうもねぇ事を吹き込んだだろ。」
シンはフッと笑った。
シン「ああ、アレか。 立派な家が出来ていただろう。お前もあそこで寝ればいい。」
ナギ「お前、」
その時だった。
バンッ!!!と勢いよく航海室の扉が開き、
馬「やめてぇぇぇぇーー!!私のために争わないでぇぇぇええーーーー!!!」
と、大声で叫びながら馬が入ってきた。
叫びながらも彼女はこんな感想を抱いていた。
馬『長年の夢が叶っちゃった!私を巡って争うイケメン達を仲裁するっていう夢が……』
ナギ・シン「うるさいっ!」
馬「うひゃぁっ////」
イケメン二人から同時に怒鳴られるなんて、これもまた馬からすればご褒美である。
馬に続いてソウシも航海室に入ってくる。
ソウシ「あの素敵な家は私と馬ちゃんで片付けておいたよ。」
シン「何だ、片付けたのか。」
ナギ「………」
シンの発言に苛立つナギ。
ソウシ「ねぇナギ、馬ちゃんも嫌がらせであの家を建てたわけじゃないんだよ。」
馬「ナギさん、ごめんなさい。 私、やっぱりナギさんに床で寝てもらいたくなくて、私が床で寝るためにはどうしたらいいかって考えて…」
ナギ「………」
ソウシ「馬ちゃんが快適に床で寝てたらナギも気にしないだろうと思って、家を作ったそうだよ」
ナギ「……はぁ?」
『床で快適に寝る』という目標が、どうして『家の建築』にまで飛躍するんだ… ナギは理解に苦しんだ。
ナギ「…部屋が元に戻ったのならもういい。」
それに馬に説教をしてもあまり意味がなさそうだ。
ナギは馬への怒りを静めることにした。
シン「フッ…ナギ、お前でも感情を露にするんだな。 面白いモノが見れた。」
ナギ「………」 からかうように言われ、ナギはシンを睨む。
馬『おぉ~! 今のやり取り、イケメン達がやると凄く絵になるなぁ!』
空気を読まない馬は今のシーンを心に刻みつけようと二人をしっかりと凝視する。
ソウシ「さ、夕飯を食べに行こう。皆待ってるよ。」
まるで兄弟喧嘩を宥める母親の如く、ソウシが優しくその場を締めくくった。
(『その日の夜』に続く)