おにいちゃんといっしょ~プチタイムスリップ~
こちらで夢小説の名前設定!
本棚全体の夢小説設定このブックはドリーム機能を使用しています。 名前を入れると、登場人物に自動変換します。
名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
人気の全く無い丘の上に、チビ馬の言う公園のような場所があった。
周囲は手入れのされていない木々が鬱蒼と生えており、全体的に薄暗い。
そのような場所に無理矢理切り拓かれた広場があり、そこに子どもが遊ぶであろう大きな遊具と、憩いのベンチ、 それら2つだけがポツンと置かれていた。
馬「いつもはこのベンチ、雨の日はあの屋根のとこ。」
チビ馬はそう言いながら遊具の屋根付きのスペースを指差した。
ナギ「……そこで寝てるのか?」
馬「うん、お家に入れない時はね。」
馬は笑いながら答えたが、陰りのある笑みだった。
ナギ「……一人だと寂しくねぇか?」
馬「木の音とか、虫の声とか…そんなに寂しくないよ。」
ナギ「………お前は女だし、危ねぇだろ。」
馬「……何で?ベンチから落ちても平気だよ?」
そうじゃなくて…と、ナギは少し頭を抱えた。
ナギ「……次にお前のねえちゃんが帰ってきた時、鍵を渡してもらえ。」
馬「……で、でもおかあさんに怒られるから、」
ナギ「……ならこっそりねえちゃんに合鍵を作ってもらえ。
普段はどこかに隠しておいて、閉め出された時はその鍵を使えば良い。」
馬「わかった、ウナギのおにいちゃんの言う通りにする。」
いつの間にか馬の中では、石を川に走らせて、魚を捕まえる事が出来て、何も無いところから火を着けられて、夕陽にまで近付けてくれたナギの事を神様のような存在として見ていた。
普段は臆病で失敗ばかりする自分だが、彼の言うことを聞けば何でも上手くいく気がした。
ナギ「……それがお前のためだからな。」
ナギに頭を撫でてもらい、チビ馬はまたもや嬉しくなった。
……………………………
馬「…………」
現在、チビ馬は座って待っている。
ナギが何か食べる物を探してくると言って去っていったからだが、彼女の知る食べ物とはパンや米、そして水、たまにミルクといった質素な物しか知らない。
しかし、今日食べた焼きたての川魚は凄く美味しかった。
馬『ウナギのおにいちゃんは魔法使いだから、きっと美味しい物を出してくれるんだ…』
そう信じて止まなかった。
ナギ「……待たせたな。近くの民家にも寄ってきた。」
ナギの手には幾つかの食べ物が抱えられていた。
馬はナギの傍まで駆け寄り、
馬「おかえりなさい。」
と、告げた。
ナギ「………あぁ、ただいま。」
ナギも優しく返してやると、輝くような笑顔でナギの事を見返してきた。
ナギ『……やっぱアイツに似てるな。』
ナギの脳裏にふとルームメイトの顔が浮かんだ。
馬「……ヤマモモ…」
ナギ「……こっちがスモモだ。」
馬「……スモモ……」
見た目は違うが、両方ともバラ科のモモである。
酸味が強いがとても美味しい野性のモモをナギは見付けてきたのだった。
ナギ「……あとはキノコ類。」
馬「……何これ?」
ナギ「……キノコも知らないのか?」
馬「………」
馬は恥ずかしそうに頷いた。
ナギ「……このキノコ類は香りが良くて美味い物が多い。」
ナギはキノコ類を並べて説明する。
香りが良いキノコの匂いも馬に嗅がせてやっている。
ナギ「……ただ、中には毒がある物もあるから、絶対にお前1人の時は食べたりすんなよ?」
馬「……わ、わかった。」
神妙な顔でナギの話を聞く馬。
彼女の中でキノコは怖い物だと認識した。