おにいちゃんといっしょ~プチタイムスリップ~
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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歩幅の狭いチビ馬が必死にナギに合わせようとする姿に焦れ、ナギは彼女に手を差し伸べた。
馬「……?」
ナギ「………ほら、手。」
馬「………手?」
ナギ「……手繋いだことも無いのか?普通、」
『親がいたら繋いだことくらいあるだろう』と言おうとしたが、すんでのところで飲み込んだ。
孤児だったナギは、親のいる子どもを妬んだことがある。
それだけ『親』という存在に強く憧れを抱いていた。
しかし、親がいるにも関わらず酷い待遇を受けているチビ馬の存在を知り、ショックを受けた。
これなら、山賊仲間に色々な事を教えてもらい、同期の奴らと気ままに生きてきた自分の方が恵まれている気がした。
ナギ「………っと。」
ナギはチビ馬を片手で抱っこしてやる。
馬「わゎっ……」
チビ馬の見えていた世界が一気に変わった。
初めて背の高い大人に抱き上げてもらい、いつもよりも高い目線で物事が見えている…!
馬「高いッッ!凄い!!おにいちゃんっっ!!」
ナギ「……そうか。」
チビ馬が物凄く興奮している様子を見て、抱き上げてやって良かったとナギは思った。
ナギ「家まで誘導…案内してくれ。」
馬「…うん!」
チビ馬は落ちないようにナギにギュッとしがみついた。
彼女は、今まで味わったことのない『大人に守られている安心感』というものを体感しているのだ。
そして、
馬「…わぁ…!」
この時にナギに抱き上げられながら見た夕陽はいつもより大きく見え、手を伸ばせば自分の手が届きそうな気がした。
試しに手を伸ばしてみると、
ナギ「……落ちるぞ。」
と、注意されてしまったが、自分の身を案じてくれた事が却って嬉しく感じたため、ナギに強く抱き着いた。
ナギ「……………」
孤独な馬の気持ちが分かるのか、ナギも彼女の背中をポンポンと叩いてやった。
いつもより赤い夕焼けを見ながら歩く、そんな2人の帰路だった。
……………………………
馬「………やっぱり帰ってないや。」
鍵の開かない自宅の扉を押しながら馬は呟いた。
ナギ「……いないのか?」
馬「うん、昨日いたから今日はいないみたい。」
ナギ「……家に入れなかったらどうするんだ?」
馬「………丘の公園に、」
ナギ「…あ?」
ビクッ!!
と、チビ馬は身体を強張らせる。
馬「ごめんなさいっ、で、でもそこしか寝る場所が……」
泣きそうになりながら答える彼女を見て、
ナギ『……あぁ、またやっちまった。』
すぐに反省したナギは再び意識して優しく話し掛ける。
ナギ「…わかった、そこまで送ってやる。」
チビ馬はナギが怒っていないとわかり、胸を撫で下ろしたようだった。
再び2人で先程通ったばかりの路次に着く。
ナギの後ろをとぼとぼとチビ馬が付いてくるのだが…
ナギ「………おい。」
ナギは再度手を伸ばしてやる。
その意味を既に知っている彼女は、パァッと目を輝かせた。
馬「良いの?……おにいちゃんは疲れない?」
内心はかなり嬉しいくせに、ナギの心配をするチビ馬を見ると、やはりどこかの誰かを思い出してしまう。
ナギ「……お前は軽いから全く疲れねぇよ。 それに俺には場所がわかんねぇしな。」
ナギはチビ馬を再び抱き上げ、彼女に指示された道を歩き出す。
あまり他人に気を許さないナギだが、ギュッとしがみ付くこの幼女には不思議と親近感がわいた。
それはこの小さな馬がルームメイトの馬に似ているからか、それとも幼児に頼られてナギの父性が反応したからなのか、あるいは両方なのか…
ナギには詳しくわからなかったが、とにかくチビ馬と一緒にいてやりたいと思ったことは確かだった。