おにいちゃんといっしょ~プチタイムスリップ~
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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次に、ナギは枯木、枯草、枝を集めてきた。
その次に、捕まえた川魚を出来る範囲で下処理をして枝に突き刺してまとめておいた。
そして、最後の作業として、ナギは集めた枯木同士を激しく擦り合わせ始めた。
かなりの労力を要する作業なのだが、力業で擦り続けるとほんの少しだけ煙が出てきた。
その後、この作業を根気よく続けていると、僅かな煙が次第に大きくなり、赤い火元が見え始め…最終的にナギは見事に火おこしを成功させた。
馬「……!!」
ナギは一連の行動に慣れているので何とも思わないが、チビ馬からすると天変地異が起こったかのような衝撃を受けていた。
何も無いところから火を着ける魔法使いのようなナギを彼女はますます尊敬の念を強めて見つめるのだった。
魚を焼いてる間、チビ馬はナギの隣でじっとしていた。
馬「…………」
ナギ『………大人しいもんだな。』
2人がともに無言の間、色んな疑問がナギの頭をよぎっていた。
ここはどこなのか。
どうしたらシリウス号まで戻れるのか。
この小さい馬は自分の知っている馬と同一人物なのか。
ナギ『……まぁ、何も考えずにここに来れたってことは、また知らねぇ内に戻れるのかもな。』
この非現実的な出来事をあまり深く考えないように決めたナギは、今ある目の前の事だけを考えることにした。
今ある目の前のことと言えば…
馬「…?」
チビ馬と目が合った。
ナギ「……たいして上手くねぇけど、お前も食うか?」
馬「……いいの?」
ナギ「……あぁ。だが……勝手に食わせたらお前の親に怒られるかもしれねぇな。」
ナギは自然な流れで親の話題を出してみた。
馬「…おかあさんは今日はいない。おとうとのタケルくんとオトーサンと……お出かけ。」
チビ馬はたどたどしく説明した。
ナギ「…なんだ、お前置いてかれたのか。」
馬「…『家族ごっこ』の時は、わたしとおねえちゃんはお留守番。」
ナギ『………複雑そうだな。』
察して余りある意味合いの単語が馬の口から出て来たので、ナギは顔をしかめた。
ナギ「お前のおねえちゃんとやらは?」
馬「……今日は帰ってくるかなぁ。
おねえちゃんあんまり家にいないから、わたしがお留守番なの知らないと思う。」
ナギ「……お前、飯とかどうしてるんだ?」
馬「…………」
沈黙。
ナギは馬の体が年齢よりも小柄な理由を理解した。
ナギ「……お前の母親は飯とか用意してねぇのかよ?」
馬「……おねえちゃんがしてくれる……おとうともお菓子分けてくれるよ。」
ナギ『…姉弟がこいつを支えてるのか。』
複雑な家庭の事情があるのだろう、チビ馬が両親から良い待遇を受けていない事はわかった。
これ以上話を聞くのは酷な気がしたので、ナギは話題を変えた。
ナギ「焼けたぞ。川魚は骨が多いからな、気を付けて食べろよ。」
串刺しの枝ごと馬に渡してやる。
馬「…………」
しかし馬は枝を持ったまま動かない。
ナギ「どうした?」
馬「どうやって食べるの?……魚、初めて。」
ナギ「……………」
ナギはチビ馬に食べ方を丁寧に教えてやった。
……………………………
馬「魚って美味しいんだね。」
ナギ「……あぁ。」
共に食事をしたからか、チビ馬との距離がさらに縮まった気がする。
縮まった事は良いのだが、気付けば辺りは日が沈みかけており、もうすぐ夜になろうとしていた。
一応ナギはチビ馬に声を掛けてやる。
ナギ「……暗くなるぞ。家に帰らなくて良いのか?」
馬「…………」
ナギ『……夜とかこいつはどうしてるんだ?』
馬「おにいちゃんついてきてくれる?」
ナギ「……あ?あぁ…」
馬「……おねえちゃんが帰ってるかもしれない。」
馬は『おねえちゃん』について話す時は少し笑う。
彼女にとって『おねえちゃん』が唯一の庇護してくれる存在なのだろうと既にナギは理解していた。