おにいちゃんといっしょ~プチタイムスリップ~
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名前を入れないと『馬』になるので、あなたの脳内で馬が大暴れするでしょう…お気をつけください。
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馬「…………」
ナギ「……………」
2人の間で会話が全く続かない。
ナギのよく知る馬と顔も似ていて名前まで同じなのに、性格が異なり過ぎている。
それ以前に、この小さな馬(※以降チビ馬)にはどこか普通の子どもよりも暗く影があるように思えた。
馬「……ウナギのおにいちゃん、」
ナギ「誰がウナギだ。」
ビクッッ!!
ナギの反射的鋭利なツッコミを受けたチビ馬は身体を強張らせた。
馬「ご、ごめんなさいっっ、ごめんなさいっっ!」
ナギ「…あ、いや、悪ぃ。いつもの癖で…」
ついつい大人の方の馬に対する態度と同じようにしてしまったのだ。
それにしても、怯えるチビ馬の謝る様子が尋常では無かったことにナギは違和感を覚えた。
ナギ「俺は怒ってないぞ?逆に驚かせて悪かったな。」
ナギは意識して出来るだけ優しく話してやる。
馬「………うん。」
普段のナギならこんな子どもなんて気にせずにすぐにでも立ち去るのだが… 馬と同じ名前、似た顔で訳ありの子どもを放っておくことは出来なかった。
ナギ「………お前、家は?」
馬「…………」
質問ばかりしてくるナギを警戒しているのか、チビ馬は答えようとしない。
ナギ「………」
困った。
言葉数の少ない子どもとの接し方がわからない。
ナギ『そういえばアイツはシャハイ島ですぐに子どもらと打ち解けてたが… どうやってた…?』
ナギはおもむろに平たくて丸い小石を拾った。
そして、拾った小石を身体のサイドから思いきり川に向けて投げた。
パシャシャシャシャ…
投げられた石はすぐ川に沈むことなく何度も水面を跳ねては遠くまで飛んでいった。
馬「………!」
ナギに刺激されてか、チビ馬も小石を1つ拾った。
そして、すぐに川に向かって投げてみる。
馬「ていっ!!」
ぽちゃんっ!
しかし、石は1度も跳ねること無く、すぐに沈んでしまった。
馬「…………」
チビ馬は、何で?という顔でナギを見上げた。
ナギ「……………」
ナギは黙ってもう1つ小石を手に取った。
ナギ「……次は反対岸まで当てるからな。」
ビュッッ!!
ナギは腕をしならせて思い切り石を投げた。
パシャシャシャシャシャシャ………カツンッ!
予告通り、ナギの小石は見事に向こう岸まで辿り着いた。
馬「…凄い……!」
声は小さいものの、チビ馬は感嘆の声を上げた。
彼女の目はガラス玉みたいにキラキラと輝いている。
ナギ「馬、次は石を積み上げるから沢山拾ってこい。」
馬「…うん!」
暗い影のあるチビ馬でもナギとの交流を楽しく思い始めたようだ。
とても生き生きとしながら指示通り石を集めていく。
ナギ『………やっぱ子どもは子どもだな。』
チビ馬の様子に少し安心したところで、ナギは次にやる事を考えなければならなかった。
ナギは川の流れと共にたまに目にする魚影の動きを観察する。
ナギ『………あの辺か。』
ナギが目測していると、
馬「…ウナギのおにいちゃん、石。」
チビ馬が言われた通りに石を掻き集めて来た。
ナギ「…あぁ、ここに並べろ。」
チビ馬には『ウナギのおにいちゃん』と認識されてしまったが、ナギは気にしないことにした。
そんなことよりも彼女の心を開かせることに集中したい。
ナギ「…まだまだ足りねぇからもっと集めて来い。」
馬「……わかった!」
再びチビ馬は張り切って石を集めに行った。
暫くして……
ナギの指示で積み上げられた石が泳ぐ魚群の流れを乱し、複数の魚が馬と共に作った人工ダムの中に閉じ込められていた。
馬「……凄い凄い!!魚、いるよ!」
ナギ「…………」
はしゃぐチビ馬を横目に、ナギは魚の動きを見極め、手で直接なぎ払った。
バシャンッッ!!
打撃の衝撃を受けて、複数の魚はそのまま岸へと吹き飛んだ。
そう、熊が川で魚を獲る方法と同じやり方である。
ほんの数匹程は陸地へは届かなかったが、それでも岸には複数の魚がピチピチと飛び跳ねている。
馬「…………!!」
達人めいたナギの動きを見たチビ馬は感動のあまり言葉が出ていない。
しかし、無言の代わりに彼女は尊敬の眼差しでナギを見つめている。
ナギ「………」
ルームメイトに似ているチビ馬にそんな目で見られると悪い気はしなかった。
少し照れ臭く感じながらも、ナギは次の作業に移る。
馬「…………」
チビ馬も、次は何をするんだろう、といった顔でナギの行動を観察している。