ほぼ無人島~脱出SOS!~(その3)
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……………………………
深夜の森林を、うら若い男女が息を切らしながら駆け抜けている。
少年は片手で少女の手を引きながら、反対の手には魚を獲る時に使うモリを持ち、辺りを警戒しながら険しい表情をして走っている。
一方、少女の方は、頭にきらびやかな装飾のついた髪飾りを付け、白い上質な布地で作られたローブを着ていた。
月明かりに照らされた彼女の姿は、人間とは思えないほど肌が青白く幻影的だったが、よくよく見てみると着用しているローブはところどころ土にまみれ、破損箇所もあった。
馬「…ハァハァ…タケルくん、このまま村から出て本当に大丈夫…かな。」
タケル「バカ!アイツら馬を皆の嫁にするって言ってただろ!!」
少女は少年をタケルと呼び、対する少年は少女を馬と呼んだ……そう、当時の馬とその弟タケルだった。
馬「え…?それって…」
タケル「さっきみたいなんを村中の男にされんだよ!」
馬「……!」
それだけは嫌だ……
馬はタケルの言われるがままに村から逃げ出すことを決意した。
馬「…ハァ…ハァ…ごめんタケルくん、いつもより走るの遅いや……」
タケル「良いから走り続けろ!見つかっちまう!!」
馬の着ているローブは運動性に欠けて走り難いため、裾を持ち上げるしかない。
不慣れな姿勢でなんとか走り続けている状態だ。
この時の馬は14歳になったばかりで、小さな漁村の巫女として仕えていた。
そんな馬の手を引く弟のタケルは12歳だった。
村に存在している馬の唯一の家族である。
タケル「あの村は雛婆が死んでからおかしくなったよな…」
馬『……雛婆ちゃん……』
馬達姉弟に優しくしてくれた人の名前を久々に聞くと、馬の不安定な心に染み入り、涙が滲んできた。
タケル「もうすぐ森を抜けれる!そしたら何処か都会へ行こうな!!」
馬「…うん。 都会にはお母さんがいるかもしれないね。」
タケル「アイツのことは忘れろ。」
馬「……でも、」
タケル「……………」
馬「じゃあ、ナデシコねぇちゃんはいるかな?」
タケル「……ねぇちゃんならいてほしい。」
タケルはニッと笑った。
やっと笑顔になってくれた弟を見て馬は安堵した。
その時だった。
「いたぞっっっっ!!」
森の出口方面から声が聞こえた。
「やっぱり弟が手引きしてるぞーー!!!」
森の出口には先に待ち伏せをしていたであろう村の男衆がいた。
松明の火が次々に灯されていく。
タケル「くそっっ!」
タケルのモリを持つ手に力が入る。
馬『タケルくんはケンカは強い……強いけどこの人数相手じゃ…』
やはり逃げるなんて不可能な話だったのだ。
今の馬に出来ることは、これから起こる禍々しい事を全て受け入れ、男衆に弟だけは赦してもらえるように乞うことだった。
馬「…タケルくん、もういいよ。」
タケル「馬、一緒に逃げるんだ。絶対に俺が守るから!」
タケルの手が馬の手を強く握る。
こんなにも優しい弟をこれ以上傷付けるわけにはいかない。
馬はますます決意を固めた。
馬「タケルくんは弟でしょう? ……馬ねぇちゃんが守ってあげるからね。」
タケル「馬っっ!!」
村の男衆が集まる中、1人の年老いた男が2人の前に出てきた。
村で一番の権力を持つ長である。
長「タケル、どういうつもりだ?」
タケル「それはこっちのセリフだ!!姉貴をどうするつもりだったんだ!? さっき、そこにいるヤツに襲われかけてた!!」
タケルは男衆の中の1人を指差した。
馬はその指先の男を見て自分に起こった出来事を思い出し、ギュッとタケルの手を握りしめた。
長「馬は幸黄泉の力がある特別な海巫女だ。 海巫女は村の男共で囲って生涯外に出さないのが決まりだ。」
タケル「そもそも俺らは村の人間じゃねぇだろ!!」
長「言い伝えの海巫女は元は外の人間だったそうだ、馬と同じ条件だ。」
タケル「…んなもん知るかっっ!!」
長「……タケル、馬を渡せ。さもなくばお前を潰すぞ。」
長の目は冷ややかどころか殺意まで含んでいる。
本気でタケルを殺すつもりでいるらしい。
馬『これ以上刺激したらダメだ…』
馬は全てを覚悟した。
ここまで生きてこれたのは弟と共にいたからだ。
その大切な弟が殺されるのをみすみす看過するわけにはいかない。
馬「待ってください、長さん!!
私は全てを受け入れます!!だからタケルを、弟を殺めないでください!!!」
タケル「馬ダメだっっ!!」
タケルは馬の手を引き、来た道を引き返した。