彼方に火をつけて(*)
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此処は何処だろ? 白く何もない空間に立っているユイは、そう自分に問い掛ける。
ああ、恐らく夢だ。私はホグワーツが燃え盛っていたのを見て、そして。
ようやくあの呪われた場所から解放されたのだと、そう安堵して眠りについたのだ。
早く帰ろう、と足を踏み出したところで、何かが行かせまいと彼女の足を掴む。
「アンタだけ、幸せになるのは許せない」
ナズだ。服や髪もまるで整えていないかのようにボロボロになっていたが、見間違える筈ない。
恨んだ目で見上げられ、悲鳴を上げる。
と、どこからかあの如月にて、巌窟王から貰ったマントが、足を掴んでいたナズに覆い被さった。
それが蒼い炎をあげて燃え上がると、痛さに絶叫する。
「い、イッたい! 嫌よ、これ以上醜くなりたくない!
夢小説の夢主は、幸せにならなきゃ……」
「もう私に関わらないで下さい」
燃え盛る炎の中、尚意味分からない事叫ぶナズを残して、ユイは前方の白い光に向かって歩みを進めた。
きっとこの夢の終わり……そう彼女は予感していた。
ふと彼女は、巌窟王はこの事を予想して、あのマントをくれたのかと思った。
確信などないが、あの巌窟王ならこの予想くらいついた筈。
いやもう構わないかと、彼女は考える。
とにかく、この夢を終わらせる為、光に向けて意気揚々と歩みを進めたのだった。
車を自宅前に停めた途端に、後部座席で眠っていたユイが苦しそうな声を出した。
何事だと振り返るストレンジ耳に、
「いや来ないで、お願いだからナズ」
名を聞き、夢の中でさえ彼女をナズは苦しめるのかと思う。夢小説あるあるだとか訳の分からない事を口走っていたナズに苦しめられるのは、あってならない。
「待ってろ、ユイ。必ず俺が救い出してやる」
初恋など医者になったとある出来事で捨てていた。
だがユイと出会って、全てが変わった。スネイプに聞かれたら、ほら我輩と同じでないかと言われるかもしれないが。
しかしスネイプとナズの様な、歪で歪んだ愛ではない。お前らと一緒にするな!
いもしないスネイプに心の内で吐き捨て、車を車庫に入れストレンジは彼女を抱き上げ、玄関に向かう。
玄関に鍵を掛けていた筈だが、恐らく一足先にチャールズがテスカトリポカと戻って来たのだろう。
チャールズはその後、カルデア学院に戻ったに違いない。
ユイをリビングにあるソファに寝かせ、毛布を掛ける。
彼女の頭を撫でながら優しい声音で、彼は語り掛けた。
「もう頑張らなくていいんだ、ユイ。
夢の中のナズの野郎に負けるな。
お前はもう………自由なんだから」
瞬間、ユイの苦しい表情が和らいだ。
呻いていたユイは、穏やかな寝息を立て始める。
どうやらナズに圧勝出来たらしいと判断したストレンジは、目覚めた彼女に何か作ってやろうと決めて側を離れた。
彼女が微かにありがとうと言った事に、ストレンジは気付かなかった。
ああ、恐らく夢だ。私はホグワーツが燃え盛っていたのを見て、そして。
ようやくあの呪われた場所から解放されたのだと、そう安堵して眠りについたのだ。
早く帰ろう、と足を踏み出したところで、何かが行かせまいと彼女の足を掴む。
「アンタだけ、幸せになるのは許せない」
ナズだ。服や髪もまるで整えていないかのようにボロボロになっていたが、見間違える筈ない。
恨んだ目で見上げられ、悲鳴を上げる。
と、どこからかあの如月にて、巌窟王から貰ったマントが、足を掴んでいたナズに覆い被さった。
それが蒼い炎をあげて燃え上がると、痛さに絶叫する。
「い、イッたい! 嫌よ、これ以上醜くなりたくない!
夢小説の夢主は、幸せにならなきゃ……」
「もう私に関わらないで下さい」
燃え盛る炎の中、尚意味分からない事叫ぶナズを残して、ユイは前方の白い光に向かって歩みを進めた。
きっとこの夢の終わり……そう彼女は予感していた。
ふと彼女は、巌窟王はこの事を予想して、あのマントをくれたのかと思った。
確信などないが、あの巌窟王ならこの予想くらいついた筈。
いやもう構わないかと、彼女は考える。
とにかく、この夢を終わらせる為、光に向けて意気揚々と歩みを進めたのだった。
車を自宅前に停めた途端に、後部座席で眠っていたユイが苦しそうな声を出した。
何事だと振り返るストレンジ耳に、
「いや来ないで、お願いだからナズ」
名を聞き、夢の中でさえ彼女をナズは苦しめるのかと思う。夢小説あるあるだとか訳の分からない事を口走っていたナズに苦しめられるのは、あってならない。
「待ってろ、ユイ。必ず俺が救い出してやる」
初恋など医者になったとある出来事で捨てていた。
だがユイと出会って、全てが変わった。スネイプに聞かれたら、ほら我輩と同じでないかと言われるかもしれないが。
しかしスネイプとナズの様な、歪で歪んだ愛ではない。お前らと一緒にするな!
いもしないスネイプに心の内で吐き捨て、車を車庫に入れストレンジは彼女を抱き上げ、玄関に向かう。
玄関に鍵を掛けていた筈だが、恐らく一足先にチャールズがテスカトリポカと戻って来たのだろう。
チャールズはその後、カルデア学院に戻ったに違いない。
ユイをリビングにあるソファに寝かせ、毛布を掛ける。
彼女の頭を撫でながら優しい声音で、彼は語り掛けた。
「もう頑張らなくていいんだ、ユイ。
夢の中のナズの野郎に負けるな。
お前はもう………自由なんだから」
瞬間、ユイの苦しい表情が和らいだ。
呻いていたユイは、穏やかな寝息を立て始める。
どうやらナズに圧勝出来たらしいと判断したストレンジは、目覚めた彼女に何か作ってやろうと決めて側を離れた。
彼女が微かにありがとうと言った事に、ストレンジは気付かなかった。