ワスレジノ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
案内された部屋は、如月の景色を見通せる和室だった。
遠くに如月湾界が見えるのがまたいい。
歩き疲れたユイは、畳の上でゴロンと寝転がる。
「はしたないぞ」
「疲れたんです。ちょっと寝たら、温泉に向かいます」
畳の上で寝転がった途端に、今までの疲れを思い出した様に、急激に眠気が襲い来る。
その所為で、少し変な言い回しになってしまったが、ストレンジは気にする事もない。
「じゃあ先に行ってるぞ。
起きたら風呂に入れよ」
「はーい、そうさせてもら……います」
限界に達した彼女は、暗い眠りの淵へと落ちて行く。
気持ち良さそうに眠ってしまった彼女を呆れ気味に見た後、ストレンジは部屋を後にした。
それからどれぐらい眠ったのか。
寝て起きたら夕方近い。
「やばい、めっちゃ寝てました。
チェックインして部屋に入ったのが、お昼頃だったから……」
計算すると、もう軽く7時間以上は寝た気がする。
いくら別世界とは言え--故郷に帰って来たからと言ってこれは駄目だ。
「何してんのかな、私。ストレンジ先生に温泉待ってますよとか言っててさ。
でも」
こう言ってなんだが、ストレンジといると安心するのだ。
故郷も大事だが、彼も大事。
この気持ちは、何なのだろう?
ふとユイは、部屋の隅にある細長い鏡に目を向けた。
全身が写るその鏡に、変わり映えない自分がいる。
のだが、鏡の中の自分は妖艶に笑みを浮かべた。
は? と思い鏡に向かい触れるが、硬い感触は本物だ。
つまり夢でない。本当に鏡の中の自分が笑っている。
「あ、貴方は誰?」
「ん? アタシは貴方よ。
アタシなのに、その質問は変じゃないかしら?」
同じ声音なのに、同じユイではない。
寧ろ鏡の中の自分は、まるっきり別人にさえ思う。
「それより、貴方自覚してしまったのね」
「な、何を?」
「ふふ、分かってるくせに。
あの男をモノにしたいんでしょ」
ユイと同じ容姿、それなのにそいつはナズが口にしそうな事を言った。
「私がストレンジ先生を」
モノにしたいとは、どういう事か。考えて合点がいく。
こいつは自分と同じ容姿をした奴--ナズとスネイプの様な関係を言っているのだ。
「違う! 私はストレンジ先生をそんな風に思ってないわ!」
「思ってるわよ。安心するんでしょ? つまり好きって事よ。
今夜にでも誘ってみたら?」
艶やかに鏡の自分は、笑う。今まで彼女でさえ、こんな笑みを浮かべた事などない。
そもそも、現実でも恋愛など皆無。ストレンジに恋心を抱いていたとして、誘えるなど無理だ。
「この世界にいる事でしか、果たせない事よ。
現実を忘れて、貴女はこの世界で生きるしかない」
「ふざけるな、ふざけるな!
私は帰るんだ! だから大切な人なんて、絶対に作らない!!」
「お前、そんな事思ってたのか」
目を瞑って否定すると、今度は自分の姿がストレンジの姿に。
鏡の中のストレンジは、心底絶望した様にこちらを見ている。
「あ、あ……」
「絶望した。俺にとってお前は、そんな存在だったとはな。
これならナズの方がいい」
「ち、違う! 違うのストレンジ先生!!
私、私は!!」
こぼれ落ちる涙が頬を伝う。それでもストレンジの表情が変わる事はない。
いよいよ意識を失いかけたその時、聞き覚えのある声が。
「なんとも悪趣味な鏡だ。
地獄に堕ちるに限る」
鏡の中のストレンジの背後に、あの巌窟王がいた。
巌窟王は手の平で起こした蒼い炎を、躊躇う事なく鏡に一撃を加える。
鏡は呆気なく、不思議と音を立てずに消し炭になって消え去った。
遠くに如月湾界が見えるのがまたいい。
歩き疲れたユイは、畳の上でゴロンと寝転がる。
「はしたないぞ」
「疲れたんです。ちょっと寝たら、温泉に向かいます」
畳の上で寝転がった途端に、今までの疲れを思い出した様に、急激に眠気が襲い来る。
その所為で、少し変な言い回しになってしまったが、ストレンジは気にする事もない。
「じゃあ先に行ってるぞ。
起きたら風呂に入れよ」
「はーい、そうさせてもら……います」
限界に達した彼女は、暗い眠りの淵へと落ちて行く。
気持ち良さそうに眠ってしまった彼女を呆れ気味に見た後、ストレンジは部屋を後にした。
それからどれぐらい眠ったのか。
寝て起きたら夕方近い。
「やばい、めっちゃ寝てました。
チェックインして部屋に入ったのが、お昼頃だったから……」
計算すると、もう軽く7時間以上は寝た気がする。
いくら別世界とは言え--故郷に帰って来たからと言ってこれは駄目だ。
「何してんのかな、私。ストレンジ先生に温泉待ってますよとか言っててさ。
でも」
こう言ってなんだが、ストレンジといると安心するのだ。
故郷も大事だが、彼も大事。
この気持ちは、何なのだろう?
ふとユイは、部屋の隅にある細長い鏡に目を向けた。
全身が写るその鏡に、変わり映えない自分がいる。
のだが、鏡の中の自分は妖艶に笑みを浮かべた。
は? と思い鏡に向かい触れるが、硬い感触は本物だ。
つまり夢でない。本当に鏡の中の自分が笑っている。
「あ、貴方は誰?」
「ん? アタシは貴方よ。
アタシなのに、その質問は変じゃないかしら?」
同じ声音なのに、同じユイではない。
寧ろ鏡の中の自分は、まるっきり別人にさえ思う。
「それより、貴方自覚してしまったのね」
「な、何を?」
「ふふ、分かってるくせに。
あの男をモノにしたいんでしょ」
ユイと同じ容姿、それなのにそいつはナズが口にしそうな事を言った。
「私がストレンジ先生を」
モノにしたいとは、どういう事か。考えて合点がいく。
こいつは自分と同じ容姿をした奴--ナズとスネイプの様な関係を言っているのだ。
「違う! 私はストレンジ先生をそんな風に思ってないわ!」
「思ってるわよ。安心するんでしょ? つまり好きって事よ。
今夜にでも誘ってみたら?」
艶やかに鏡の自分は、笑う。今まで彼女でさえ、こんな笑みを浮かべた事などない。
そもそも、現実でも恋愛など皆無。ストレンジに恋心を抱いていたとして、誘えるなど無理だ。
「この世界にいる事でしか、果たせない事よ。
現実を忘れて、貴女はこの世界で生きるしかない」
「ふざけるな、ふざけるな!
私は帰るんだ! だから大切な人なんて、絶対に作らない!!」
「お前、そんな事思ってたのか」
目を瞑って否定すると、今度は自分の姿がストレンジの姿に。
鏡の中のストレンジは、心底絶望した様にこちらを見ている。
「あ、あ……」
「絶望した。俺にとってお前は、そんな存在だったとはな。
これならナズの方がいい」
「ち、違う! 違うのストレンジ先生!!
私、私は!!」
こぼれ落ちる涙が頬を伝う。それでもストレンジの表情が変わる事はない。
いよいよ意識を失いかけたその時、聞き覚えのある声が。
「なんとも悪趣味な鏡だ。
地獄に堕ちるに限る」
鏡の中のストレンジの背後に、あの巌窟王がいた。
巌窟王は手の平で起こした蒼い炎を、躊躇う事なく鏡に一撃を加える。
鏡は呆気なく、不思議と音を立てずに消し炭になって消え去った。