災難
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腹が出ており、角が生えて全身が黒。
間違いない、この悪魔の名前は。
「怠惰を司る悪魔、ベルヘェゴールね」
「べるへぇごーる?」
「悪魔の名前くらい分からないの?」
「私、ハリーポッターしか読まないもん。あと自慢じゃないけど、夢小説ではかなり人気だったのよ私!
あるあるに乗っかって書いて、1年早々夢主とスネイプがくっ付いて」
ベラベラなんか勝手に喋るナズを放っておき、ベルヘェゴールに目を向ける。
ベルヘェゴールと分かった今、成る程確かにそう見えなくもない。
腹が出ているのは、怠惰を司るからだろう。名前の通り、何もしない悪魔。
ベルヘェゴールはじっとナズを見ている。まるで。
「その子、貴女を知りたいみたいだけど」
「え?」
「召喚された使い魔は、マスターの素性を先に知りたいもんだ。
お前、大方自己紹介も無しに、ベルヘェゴールから逃げ出したんだろ?
知りたいと思うのも、当然だ」
ストレンジの背後に隠れたまま、テスカトリポカが言うが、正しくその通りだ。
ベルヘェゴールは、マスターを知りたい目で見ていた。
うぐっとナズは言葉に詰まったが、やがて何か閃いた様に口開く。
嫌な予感しかない。
「互いの使い魔、交換しましょうよ!」
「いいですよ」
突拍子も無い発言に、否定するどころか肯定する彼女にテスカトリポカが困惑した声をあげる。
「ま、マスター!? そりゃあ、ないだろう!?」
「ストレンジ先生の背後に隠れたまま言われたら、説得力ありませんよ」
だな、と頷いたストレンジが身体を逸らすと、苦虫を噛み潰したような表情をしたテスカトリポカがいる。
そんなテスカトリポカに歩み寄り、彼女はヒソヒソと話す。
「この条件飲まなきゃ、毎日来ますよきっと」
「で、でもよ」
「それに私は、あの悪魔に興味ありますし。磨けばナズが納得するくらいの美形になりますよ」
そんなもんか、とテスカトリポカはベルヘェゴールに視線を向けた。
相変わらずナズを見る目は変わらない。でもこの条件を飲まなければ、ナズは毎日来る、多分!
その度にテスカトリポカを、欲に塗れた目で見られるのだけは御免被りたい。
いや別にテスカトリポカが好きな訳じゃないけど。
渋々納得したテスカトリポカを見て、ナズが歓喜の声をあげる。
「やった! セブルスもかっこいいけど、貴方もかっこいいわね!」
「ああ、マジでかよ、ダッリィ………」
こうして、ホグワーツの夏休みが終わるまで、互いの使い魔を交換する事に。
ちなみに夏休みは、あと半分だ。
さて、ナズと使い魔を交換してようやく、ホグワーツの夏休みの終わりが近づいてきた。
それまで魔法をいくつか覚えてみたが、日常的に必要な魔法を覚えるに留めている。
他の魔法も学びたいが、なにせあまり多く覚えられない。
だが魔法の中でも興味を持ったのは、変身魔法。
名前の通り、どんな姿にもなれる魔法である。
「悪魔って、変身とか出来るのでしょうか?」
「出来なくはないだろう。
美女に化けて人を襲う悪魔もいるくらいだしな」
ユイの部屋で勝手に寛いでいたストレンジがそう言った。
「なに人のソファーの上で寛いでるんですか?」
「元は俺の部屋だ。
それに、ベルヘェゴールとやらがいつ、お前を襲うか分からんだろ」
ストレンジが鋭い目を、部屋の隅にいるベルヘェゴールに向ける。
怯えた様にベルヘェゴールが縮まっているのが見えた。
彼女の元へ来てから、ベルヘェゴールは怯えた猫の様にずっとこんな感じだ。
部屋の隅にただ立って、じっとしているだけ。害無しだから構わないが、いい加減怖いのでやめてほしい気持ちありである。
明日にはナズの元へ戻る訳だが、このままと言うのも忍びない。
悪い意味でナズを驚かせたいと思い、ベルヘェゴールに近づく。
「貴方、変身とか出来ますか?」
ベルヘェゴールは言葉が分かるらしく、まぁ一応と言う様に頷いている。
一応と言うのは、マスターの命令無しに出来ないと言う事か。
「可能ならしましょうか。
ずっと黒い外見じゃ、あのアホの所へ戻っても虐められるだけだし。
ほれ、これならどう?」
ユイは、1枚の紙をベルヘェゴールに見せた。その紙をいつの間にか近くに来ていたストレンジが覗き込み。
「何だ、この絵は? 下手にも程が………アデッ!」
「画力は自分でも分かってますよ! 相手に伝わればいいんです!
で、どうでしょうか?」
いい加減な事を言ったストレンジに1発お見舞いし、ベルヘェゴールに問い掛ける。
まじまじ見ていたが、やがて理解した様に頷き。
瞬間、ベルヘェゴールの身体を白い光が包み込む。
仄かな明るい光が収まると、そこに銀髪の灰色のスーツを纏った美形の青年がいた。
角と尻尾は悪魔のままだが、ベルヘェゴールは違う外見に変身出来たのだ。
「あ、あの、私………変でしょうか?」
まだ幼さが残る柔らかい声音で、怖々問い掛けるベルヘェゴールに、グッと良い意味での親指を立てたユイである。
間違いない、この悪魔の名前は。
「怠惰を司る悪魔、ベルヘェゴールね」
「べるへぇごーる?」
「悪魔の名前くらい分からないの?」
「私、ハリーポッターしか読まないもん。あと自慢じゃないけど、夢小説ではかなり人気だったのよ私!
あるあるに乗っかって書いて、1年早々夢主とスネイプがくっ付いて」
ベラベラなんか勝手に喋るナズを放っておき、ベルヘェゴールに目を向ける。
ベルヘェゴールと分かった今、成る程確かにそう見えなくもない。
腹が出ているのは、怠惰を司るからだろう。名前の通り、何もしない悪魔。
ベルヘェゴールはじっとナズを見ている。まるで。
「その子、貴女を知りたいみたいだけど」
「え?」
「召喚された使い魔は、マスターの素性を先に知りたいもんだ。
お前、大方自己紹介も無しに、ベルヘェゴールから逃げ出したんだろ?
知りたいと思うのも、当然だ」
ストレンジの背後に隠れたまま、テスカトリポカが言うが、正しくその通りだ。
ベルヘェゴールは、マスターを知りたい目で見ていた。
うぐっとナズは言葉に詰まったが、やがて何か閃いた様に口開く。
嫌な予感しかない。
「互いの使い魔、交換しましょうよ!」
「いいですよ」
突拍子も無い発言に、否定するどころか肯定する彼女にテスカトリポカが困惑した声をあげる。
「ま、マスター!? そりゃあ、ないだろう!?」
「ストレンジ先生の背後に隠れたまま言われたら、説得力ありませんよ」
だな、と頷いたストレンジが身体を逸らすと、苦虫を噛み潰したような表情をしたテスカトリポカがいる。
そんなテスカトリポカに歩み寄り、彼女はヒソヒソと話す。
「この条件飲まなきゃ、毎日来ますよきっと」
「で、でもよ」
「それに私は、あの悪魔に興味ありますし。磨けばナズが納得するくらいの美形になりますよ」
そんなもんか、とテスカトリポカはベルヘェゴールに視線を向けた。
相変わらずナズを見る目は変わらない。でもこの条件を飲まなければ、ナズは毎日来る、多分!
その度にテスカトリポカを、欲に塗れた目で見られるのだけは御免被りたい。
いや別にテスカトリポカが好きな訳じゃないけど。
渋々納得したテスカトリポカを見て、ナズが歓喜の声をあげる。
「やった! セブルスもかっこいいけど、貴方もかっこいいわね!」
「ああ、マジでかよ、ダッリィ………」
こうして、ホグワーツの夏休みが終わるまで、互いの使い魔を交換する事に。
ちなみに夏休みは、あと半分だ。
さて、ナズと使い魔を交換してようやく、ホグワーツの夏休みの終わりが近づいてきた。
それまで魔法をいくつか覚えてみたが、日常的に必要な魔法を覚えるに留めている。
他の魔法も学びたいが、なにせあまり多く覚えられない。
だが魔法の中でも興味を持ったのは、変身魔法。
名前の通り、どんな姿にもなれる魔法である。
「悪魔って、変身とか出来るのでしょうか?」
「出来なくはないだろう。
美女に化けて人を襲う悪魔もいるくらいだしな」
ユイの部屋で勝手に寛いでいたストレンジがそう言った。
「なに人のソファーの上で寛いでるんですか?」
「元は俺の部屋だ。
それに、ベルヘェゴールとやらがいつ、お前を襲うか分からんだろ」
ストレンジが鋭い目を、部屋の隅にいるベルヘェゴールに向ける。
怯えた様にベルヘェゴールが縮まっているのが見えた。
彼女の元へ来てから、ベルヘェゴールは怯えた猫の様にずっとこんな感じだ。
部屋の隅にただ立って、じっとしているだけ。害無しだから構わないが、いい加減怖いのでやめてほしい気持ちありである。
明日にはナズの元へ戻る訳だが、このままと言うのも忍びない。
悪い意味でナズを驚かせたいと思い、ベルヘェゴールに近づく。
「貴方、変身とか出来ますか?」
ベルヘェゴールは言葉が分かるらしく、まぁ一応と言う様に頷いている。
一応と言うのは、マスターの命令無しに出来ないと言う事か。
「可能ならしましょうか。
ずっと黒い外見じゃ、あのアホの所へ戻っても虐められるだけだし。
ほれ、これならどう?」
ユイは、1枚の紙をベルヘェゴールに見せた。その紙をいつの間にか近くに来ていたストレンジが覗き込み。
「何だ、この絵は? 下手にも程が………アデッ!」
「画力は自分でも分かってますよ! 相手に伝わればいいんです!
で、どうでしょうか?」
いい加減な事を言ったストレンジに1発お見舞いし、ベルヘェゴールに問い掛ける。
まじまじ見ていたが、やがて理解した様に頷き。
瞬間、ベルヘェゴールの身体を白い光が包み込む。
仄かな明るい光が収まると、そこに銀髪の灰色のスーツを纏った美形の青年がいた。
角と尻尾は悪魔のままだが、ベルヘェゴールは違う外見に変身出来たのだ。
「あ、あの、私………変でしょうか?」
まだ幼さが残る柔らかい声音で、怖々問い掛けるベルヘェゴールに、グッと良い意味での親指を立てたユイである。