君と過ごす夜
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デイビットが帰った後、策をテスカトリポカ達と話したが、結局良い案は出てこなかった。
いや出て気はしたが、出たとこ勝負な感じだ。
「うう、マスターなのに情けないよ私」
夜、寝巻きに着替えてベッドに突っ伏し、不満気に呟く。
当たり前だが、人生で魔女と戦うなんて初めてだ。
良い案が出て来ないのは、仕方ないではないか。
もし私が敵で、マセルがマスターだったらどうしただろう……とか、そんなネガティブな考えばかり浮かんで来る。
あれこれ考えている内に、軽くドアをノックする音が。
ふぁい、と気のない返事をすると、テスカトリポカが入って来た。
「何だ、その気のない返事は」
「わ、わわ! テスカトリポカ……さん」
驚きのあまり呼び捨てで呼ぼうとした彼女は、慌てて最後に「さん」を付ける。
風呂上がりだったのか、髪が所々濡れていた。
「さんは、要らない。もう長い付き合いだろ」
「ところで何しに来たの?」
無かった様に話すユイに、テスカトリポカはため息を吐く。
「なに、人生最後の夜になるかもしれねぇんだ。
お前と過ごそうと思ってな」
にやりと今にも襲い掛からんとする、獰猛な笑みを浮かべて言った。
「あの、何で隣に」
「だから魔力補給だよ」
取り敢えず話からとベッドに腰掛けたユイだが、その隣にテスカトリポカが何食わぬ顔で座って来る。
怖い笑みを浮かべてお前と過ごす、なんて言われたからてっきり。
考えを振り払う様に頭を振った後、ユイは魔力補給ねと納得した様に言う。
「そうだよね、マセルと戦うなら必要だよね。
魔力補給ならシャーロックでやった事あるから……頭を撫で」
「そうじゃない」
彼女の言葉を遮る形で、テスカトリポカが真剣な目をして言った。
「手を繋いで、それで魔力補給だ」
はい? とユイは疑問符を浮かべた。
「あのテスカトリポカさん」
「何だよ」
「手を繋ぐって、これ違いますよね!?」
互いにベッドに座って向き合いながら手を繋いでいるが、普通の繋ぎ方ではない。
お互い片手で握り合っているが、指を絡める形である。
俗に言う、恋人繋ぎだ。
「本当にこの握り方で、魔力流れてるんですか?」
「魔力があまり無いお前からは分からんだろうが、ちゃんと流れてる。
ほら、しっかり絡めろ」
大真面目な表情で叱咤されるが、ユイにはそんな度胸など無い。
若干荒い息をしながら、おずおずと指を絡める。
ユイの指を追うようにしっかりと指を絡み返し、テスカトリポカはぎゅっと手を握って来た。
男性とのアレな経験は皆無だが、この動作は俗に言うあの深いキスを連想させ……。
思わず身震いし、ユイは「はっ……」と息を漏らす。
快感の息を吐く彼女に、テスカトリポカは笑みを浮かべて。
「ただの魔力補給に、そんな反応を見せるとはな。
その反応を見たら、これ以上の事をやりたくなってくるだろ?」
「う、うるさいですよ。明日に必要な魔力を補給出来たなら、もう離して下さい」
息も絶え絶えに呻くユイに残念な視線を向けた後、テスカトリポカは素直に手を離す。
離された後も、ユイは彼に握られた手が甘さを帯びた様に感じられた。
心なしか、甘い痺れも……。
その痺れを無くす様に、ギュッと拳を握り締める。
当のテスカトリポカは、満更でもないように言った。
「うん、まぁ最後の夜にしちゃあ満足だな。
お前の良い反応も見れたし」
「縁起でもない事、言わないで下さい。
私達は絶対に負けませんから」
毅然と言い放つ彼女に、テスカトリポカは感心した眼差しを向けた。
「言うな、お前。でも策がねぇんだろ?
あいつを倒す手段が」
テスカトリポカの的を得た言葉に、ユイは項垂れるしかない。
分かりやすい奴だな、とテスカトリポカは思ったが、口には出さなかった。
「俺がもし、策を見つけたと言ったらどうする?」
「えっ」
「ちと危ない戦いになるかもしれねぇが、勝算はある。
どうだ、聞くか?
お前が苦手な部類に入る作戦になるが」
再びまじめ腐った顔をしたテスカトリポカに聞かれ、ユイは頷く。
そして彼は語り始めた。
勝算のある戦い方を。
いや出て気はしたが、出たとこ勝負な感じだ。
「うう、マスターなのに情けないよ私」
夜、寝巻きに着替えてベッドに突っ伏し、不満気に呟く。
当たり前だが、人生で魔女と戦うなんて初めてだ。
良い案が出て来ないのは、仕方ないではないか。
もし私が敵で、マセルがマスターだったらどうしただろう……とか、そんなネガティブな考えばかり浮かんで来る。
あれこれ考えている内に、軽くドアをノックする音が。
ふぁい、と気のない返事をすると、テスカトリポカが入って来た。
「何だ、その気のない返事は」
「わ、わわ! テスカトリポカ……さん」
驚きのあまり呼び捨てで呼ぼうとした彼女は、慌てて最後に「さん」を付ける。
風呂上がりだったのか、髪が所々濡れていた。
「さんは、要らない。もう長い付き合いだろ」
「ところで何しに来たの?」
無かった様に話すユイに、テスカトリポカはため息を吐く。
「なに、人生最後の夜になるかもしれねぇんだ。
お前と過ごそうと思ってな」
にやりと今にも襲い掛からんとする、獰猛な笑みを浮かべて言った。
「あの、何で隣に」
「だから魔力補給だよ」
取り敢えず話からとベッドに腰掛けたユイだが、その隣にテスカトリポカが何食わぬ顔で座って来る。
怖い笑みを浮かべてお前と過ごす、なんて言われたからてっきり。
考えを振り払う様に頭を振った後、ユイは魔力補給ねと納得した様に言う。
「そうだよね、マセルと戦うなら必要だよね。
魔力補給ならシャーロックでやった事あるから……頭を撫で」
「そうじゃない」
彼女の言葉を遮る形で、テスカトリポカが真剣な目をして言った。
「手を繋いで、それで魔力補給だ」
はい? とユイは疑問符を浮かべた。
「あのテスカトリポカさん」
「何だよ」
「手を繋ぐって、これ違いますよね!?」
互いにベッドに座って向き合いながら手を繋いでいるが、普通の繋ぎ方ではない。
お互い片手で握り合っているが、指を絡める形である。
俗に言う、恋人繋ぎだ。
「本当にこの握り方で、魔力流れてるんですか?」
「魔力があまり無いお前からは分からんだろうが、ちゃんと流れてる。
ほら、しっかり絡めろ」
大真面目な表情で叱咤されるが、ユイにはそんな度胸など無い。
若干荒い息をしながら、おずおずと指を絡める。
ユイの指を追うようにしっかりと指を絡み返し、テスカトリポカはぎゅっと手を握って来た。
男性とのアレな経験は皆無だが、この動作は俗に言うあの深いキスを連想させ……。
思わず身震いし、ユイは「はっ……」と息を漏らす。
快感の息を吐く彼女に、テスカトリポカは笑みを浮かべて。
「ただの魔力補給に、そんな反応を見せるとはな。
その反応を見たら、これ以上の事をやりたくなってくるだろ?」
「う、うるさいですよ。明日に必要な魔力を補給出来たなら、もう離して下さい」
息も絶え絶えに呻くユイに残念な視線を向けた後、テスカトリポカは素直に手を離す。
離された後も、ユイは彼に握られた手が甘さを帯びた様に感じられた。
心なしか、甘い痺れも……。
その痺れを無くす様に、ギュッと拳を握り締める。
当のテスカトリポカは、満更でもないように言った。
「うん、まぁ最後の夜にしちゃあ満足だな。
お前の良い反応も見れたし」
「縁起でもない事、言わないで下さい。
私達は絶対に負けませんから」
毅然と言い放つ彼女に、テスカトリポカは感心した眼差しを向けた。
「言うな、お前。でも策がねぇんだろ?
あいつを倒す手段が」
テスカトリポカの的を得た言葉に、ユイは項垂れるしかない。
分かりやすい奴だな、とテスカトリポカは思ったが、口には出さなかった。
「俺がもし、策を見つけたと言ったらどうする?」
「えっ」
「ちと危ない戦いになるかもしれねぇが、勝算はある。
どうだ、聞くか?
お前が苦手な部類に入る作戦になるが」
再びまじめ腐った顔をしたテスカトリポカに聞かれ、ユイは頷く。
そして彼は語り始めた。
勝算のある戦い方を。