怒りと幕間
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「何、何の音? アンタ達、見て来なさい!!」
外の異音を聞き付けたナズは、慌てて部下2人に指示を出した。2人は不安を露わにしながらも、外へと繰り出して行く。
顔色を青くするナズに、ユイはほら言ったでしょ? と顔を向ける。
「だから言ったじゃないですか。助けは来てくれるって。
だって私は」
「黙らっしゃい!」
力強くナズは、ユイの頬を叩く。その拍子に唇の端が切れ、血が流れ出た。
しかし全く平然と身構えている彼女を見て、ナズは更に手を上げようとするが。
突如、彼女らの背後にある壁に何かが叩き付けられた。
思わず2人は、そちらの方へ顔を向ける。
土埃が晴れ、そこにあったのは。
「うえっぷ、何よあれ?」
「……」
辛うじて人だと分かるような残骸。だが手も足もバラバラで、原型を留めていない。
ナズは戦慄し、彼女に掴み掛かる。
「何、何よあれ! あんなグロテスクな」
「よぉ、なんか楽しそうな会話してんなぁ。
俺も混ぜてくれよ」
遺体を投げ付けたであろう本人が、呑気に声を掛けてくる。
ナズは彼女から手を離し、恐る恐る声の主を見た。
彼を見た瞬間、言葉を失う。
だって彼は。
「かっこいい」
金髪にサングラスを掛けた、美青年がそこにいた。
だがしかし、折角の美貌も返り血で台無しになっている。
ズルズルと、力無さそうに歩く姿は、まるで傷付いた獣の様だとナズは思った。
敵でしかも、自分の部下を皆殺しにされたにも関わらず、ナズはゆっくり美青年に歩み寄る。
美青年に夢中なナズには、ユイの近付くのはやめた方がいいと思うけど、と言う呟きは耳に入らなかった。
「あの、アンタ名前は? 私は愛川ナズで」
「アイツに何かしたのか?」
「へ」
「何かしたのか、って聞いてんだ。耳悪いのか、お前さん」
んん? と何処か怖い笑みを浮かべて美青年は、ナズに顔を近付けて問い掛けるが、血の匂いが鼻につこうとも彼女は気にしない。
カッコよければ関係ない。それも髪の長い男性なら、尚更である。
ナズは美青年に触れようと手を伸ばしたが。
「触んな、汚い手で」
「ぐぎゃ!?」
力強く手を掴まれて、ナズは悲鳴を上げる。
「アイツを殴った手は、こっちか?」
「あ、あたし、殴ってな……」
「しらばっくれるな。俺がここに入った時、乾いた音が聞こえたぞ」
明らかに殺意を含んだ表情で言われ、ナズは嘘を付けなかった。
ナズは嘘を付いたら益々酷いことになる、と本能的に悟った。
そう、さっき見た肉片に変えられるのでは? と嫌な想像が付いたのだ。
だからナズは正直に話す。
「アイツを殴ったのは、今貴方が掴んでる手よ! だから離し……」
「よし、分かった」
「いや、ちょっ、痛い! いたぁーーッ!!」
ぼきぼきと骨の砕ける音が、工場内にこだまする。
どこからそんな力が? と問いたくなるくらいに、美青年に掴んでる手を折られたのだ。
あまりの痛さに絶叫し、ナズはとうとう。
白目を剥いて、意識を手放した。
「状況を説明するのに、生かしておく必要があるからな。
肉片にならなかっただけ、マシだと思え……さて」
気絶しているナズに言葉を投げた後、美青年ーーテスカトリポカは、ユイの方へと足を向ける。
あれだけ凄惨な場面を見せられたにも構わず、ユイは至って平静にテスカトリポカを見ていた。
「今の俺が怖くないのか?」
「何で? 助けに来てくれたじゃない」
「そうじゃなくて。俺は血の味を知ってしまって、いっ時我を忘れてたんだ。
お前さんがいなきゃ、更なる獲物を求めていたかもしれん」
なんだそんな事、と彼女はテスカトリポカに笑い掛ける。
「テスカトリポカは私の前で、そんな姿見せなかったじゃない。
だから怖くないよ。助けに来てくれてありがとう、テスカトリポカ」
最後の言葉を言い終えると同時に、彼女は「痛い」と顔を顰めた。
テスカトリポカは彼女の右端の唇が切れている事を思い出した。
「痛むのか?」
「少し、ね。でも平気よ。私がナズさんに、変な事を言って殴られたから。
治るまで数日かかると思うけど、大した事ないし」
彼女はにへらと笑いながら言うが、テスカトリポカがそんな返答で満足する筈ない。
ずいっと彼は、ユイに顔を近付ける。
端正な顔を近付けられ縛られたままのユイは、へ? と狼狽する事しか出来ない。
囁きかける様にテスカトリポカは言った。
「これが終わったら縄を解いてやる。
だからもう暫しの辛抱だ」
「どういうこ……うぇっ!?」
頬を両手で優しく包まれ、いきなり切れた唇の端をテスカトリポカがそっと舐め始めたのだ。
外の異音を聞き付けたナズは、慌てて部下2人に指示を出した。2人は不安を露わにしながらも、外へと繰り出して行く。
顔色を青くするナズに、ユイはほら言ったでしょ? と顔を向ける。
「だから言ったじゃないですか。助けは来てくれるって。
だって私は」
「黙らっしゃい!」
力強くナズは、ユイの頬を叩く。その拍子に唇の端が切れ、血が流れ出た。
しかし全く平然と身構えている彼女を見て、ナズは更に手を上げようとするが。
突如、彼女らの背後にある壁に何かが叩き付けられた。
思わず2人は、そちらの方へ顔を向ける。
土埃が晴れ、そこにあったのは。
「うえっぷ、何よあれ?」
「……」
辛うじて人だと分かるような残骸。だが手も足もバラバラで、原型を留めていない。
ナズは戦慄し、彼女に掴み掛かる。
「何、何よあれ! あんなグロテスクな」
「よぉ、なんか楽しそうな会話してんなぁ。
俺も混ぜてくれよ」
遺体を投げ付けたであろう本人が、呑気に声を掛けてくる。
ナズは彼女から手を離し、恐る恐る声の主を見た。
彼を見た瞬間、言葉を失う。
だって彼は。
「かっこいい」
金髪にサングラスを掛けた、美青年がそこにいた。
だがしかし、折角の美貌も返り血で台無しになっている。
ズルズルと、力無さそうに歩く姿は、まるで傷付いた獣の様だとナズは思った。
敵でしかも、自分の部下を皆殺しにされたにも関わらず、ナズはゆっくり美青年に歩み寄る。
美青年に夢中なナズには、ユイの近付くのはやめた方がいいと思うけど、と言う呟きは耳に入らなかった。
「あの、アンタ名前は? 私は愛川ナズで」
「アイツに何かしたのか?」
「へ」
「何かしたのか、って聞いてんだ。耳悪いのか、お前さん」
んん? と何処か怖い笑みを浮かべて美青年は、ナズに顔を近付けて問い掛けるが、血の匂いが鼻につこうとも彼女は気にしない。
カッコよければ関係ない。それも髪の長い男性なら、尚更である。
ナズは美青年に触れようと手を伸ばしたが。
「触んな、汚い手で」
「ぐぎゃ!?」
力強く手を掴まれて、ナズは悲鳴を上げる。
「アイツを殴った手は、こっちか?」
「あ、あたし、殴ってな……」
「しらばっくれるな。俺がここに入った時、乾いた音が聞こえたぞ」
明らかに殺意を含んだ表情で言われ、ナズは嘘を付けなかった。
ナズは嘘を付いたら益々酷いことになる、と本能的に悟った。
そう、さっき見た肉片に変えられるのでは? と嫌な想像が付いたのだ。
だからナズは正直に話す。
「アイツを殴ったのは、今貴方が掴んでる手よ! だから離し……」
「よし、分かった」
「いや、ちょっ、痛い! いたぁーーッ!!」
ぼきぼきと骨の砕ける音が、工場内にこだまする。
どこからそんな力が? と問いたくなるくらいに、美青年に掴んでる手を折られたのだ。
あまりの痛さに絶叫し、ナズはとうとう。
白目を剥いて、意識を手放した。
「状況を説明するのに、生かしておく必要があるからな。
肉片にならなかっただけ、マシだと思え……さて」
気絶しているナズに言葉を投げた後、美青年ーーテスカトリポカは、ユイの方へと足を向ける。
あれだけ凄惨な場面を見せられたにも構わず、ユイは至って平静にテスカトリポカを見ていた。
「今の俺が怖くないのか?」
「何で? 助けに来てくれたじゃない」
「そうじゃなくて。俺は血の味を知ってしまって、いっ時我を忘れてたんだ。
お前さんがいなきゃ、更なる獲物を求めていたかもしれん」
なんだそんな事、と彼女はテスカトリポカに笑い掛ける。
「テスカトリポカは私の前で、そんな姿見せなかったじゃない。
だから怖くないよ。助けに来てくれてありがとう、テスカトリポカ」
最後の言葉を言い終えると同時に、彼女は「痛い」と顔を顰めた。
テスカトリポカは彼女の右端の唇が切れている事を思い出した。
「痛むのか?」
「少し、ね。でも平気よ。私がナズさんに、変な事を言って殴られたから。
治るまで数日かかると思うけど、大した事ないし」
彼女はにへらと笑いながら言うが、テスカトリポカがそんな返答で満足する筈ない。
ずいっと彼は、ユイに顔を近付ける。
端正な顔を近付けられ縛られたままのユイは、へ? と狼狽する事しか出来ない。
囁きかける様にテスカトリポカは言った。
「これが終わったら縄を解いてやる。
だからもう暫しの辛抱だ」
「どういうこ……うぇっ!?」
頬を両手で優しく包まれ、いきなり切れた唇の端をテスカトリポカがそっと舐め始めたのだ。