入りますよ、と言いながらユイは、ボーの部屋に入る。


キチンと整理整頓されていて、服も綺麗にクローゼットにかけられていた。


当のボーは、ベッドで気持ち良さそうに眠っている。


「ボーさん、起きて下さい」

「…………ん、ユイか？」

「そうです、ユイですよ。
晩御飯出来たので」


キッチンに来て下さいと言うが、ボーは眠そうに後で行くと駄々こねる。


これだと折角ヴィンセントが作ったシチューが、冷めてしまう。


「カーリーさんも来るんですから！　せめてそれまでには、起きて下さい！」

「ならまだいいだろ」

「だから……ちょっ！？」


ボーに突然腕を引っ張られ、そのままユイは彼の腕の中に、すっぽり収まってしまう。


「カーリーが来るまでこうしてる」

「ちょっ、本当やめて下さい！　後で私もヴィンセントさんに、怒られちゃいますから！」


ボーを起こしに来たのに、カーリーが来るまでこの状態だと、絶対怒られる。


折角ヴィンセントが、温かい料理を作ったのに！


ヴィンセントの名を出しても、ボーは全くユイを離す気などない。


それどころか、益々力強く抱きしめられる。


「カーリーが来るまでだから、な？」

「う、うう……」


耳元で優しく囁かれ、おまけに額にそっとキスを落とされたら、もうボーの言いなりになるしかない。


なんだか、私も眠くなって来た様な……。


互いの体温と、優しい息遣いのせいか、段々と眠気が襲って来る。


ボーの今の眠いという気持ちが、ユイにも伝わってしまい……。