「へぇー、結構かっこいいじゃない」

「それはどうもありがとうございます」


のぼの素直な褒め言葉に、ユイは殆ど棒読みで言った。


のぼが、ボーに好奇心を向けているのは、恐らく気の所為でない。


当のボーは、棚に飾られたのぼと彼氏の写真を眺めている。


こちらに背を向けて見ている為、ボーがどの様な感情で眺めているのか把握出来ない。


現在ユイは、のぼと彼氏が住まう自宅に来ていた。


お金持ち特有の広々としたダイニングルーム(普通の家では、居間にあたる)に通され、のぼと彼氏と向かい合って腰掛けている。


とてもユイでは買えない様な高級ふわふわソファに、のぼがどれくらい生活を満喫しているか嫌でも理解出来た。


ちなみにのぼの彼氏は、派手な金髪にちゃらけた様な印象。


「なぁ、あのボーだっけ？　俺らに挨拶しない訳？」

「そ、そうよね！　来てから一言もね、喋ってないもんね！」


彼氏の言葉にのぼは、当然とばかりに頷く。


言い出すタイミングが無く、ようやっとその時が来たと言いたげだ。


確かにのぼの言う言葉に一理ある。


「ボーさん、ちょっとでも挨拶お願いします」


正直、のぼのボーに対する感情が気になるのでなるべく話させたくなかったが、挨拶だけでもしないと印象悪いだろう。


こちらを振り返ったボーは、ああそうでしたと言いたげにため息を吐き、ユイの隣に座る。


「ユイの彼氏のボー・シンクレアで……」

「きゃあ、声イケメン！！」


ボーの低音ボイスを聴くや否や、のぼは好奇を目に見えて露わにした。


流石にまずいのではと思って、のぼの彼氏を見るが興味無そうに見ているだけ。


「なんだ、こいつ」

「ねぇねぇ！　今夜泊まりなさいよ！
部屋も用意するしさ！」


引き気味のボーにお構いなしに、のぼは提案とばかりに発言する。


泊まっている最中、嫌な事でも引き起こす気だ。


止めようとする前に、のぼの彼氏が言う。


「お前さ、昨日もそうやって別の男を襲おうとしただろ」