湘北クエスト⁉︎
「キスだ
茨姫の唇にキスをすれば呪いは解ける」
ルカワの言葉にサクラギは全身が硬直する。
「キ、キ、キ、キ……
キスだとぉぉぉぉお!!!」
あっという間に赤面すると耳から蒸気を吹き出した。
サクラギは意外にウブだった。
「ほ、本当なのか
まさか、オレを騙してるんじゃねーだろーな」
「本当だ
せっかく教えてやったんだ、さっさとキスして褒美を貰え」
「ぬ、ぬ、ぬ、ぬ……」
「早くしろ…」
「うぬ、ぬ、ぬ、ぬ…」
「どうした、どあほう」
「………ぶ、
ぶわぁぁぁぁぁぁあ!!!
だ、だめだっ
それだけは出来ねー!!!
例え褒美のためとはいえ
このサクラギ、
ハルコさんを裏切るような真似は死んでも出来ねぇぇぇぇええ!!!!
サクラギのファ、ファーストキッスはハルコさんに捧げると当の昔から心に決めてるんだからよぉぉぉぉお!!!」
取り乱したサクラギはそのまま部屋を飛び出して行った。
「ハァ~、やれやれ
やっとこれで静かになったな」
ルカワはグルリと首を回した。
そして、改めて美しい茨姫の顔を覗き込む。
「フン、…よく寝てやがる」
ルカワは姫の長い睫毛にフーッと息を吹き掛けると
何の躊躇も無く彼女をゴロリと床に落とした。
それでも茨姫はピクリともしない。
代わりにベッドに潜り込んだルカワが大きくひとつ伸びをする。
「……思った通り
最高の寝心地だな」
そう……
ルカワの旅の目的はまさにこれだった。
満足そうに目を閉じるとルカワは深い眠りについたのだった。
[完]
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