湘北クエスト⁉︎
ジッと物陰から様子を見ていた見張りのコウモリが
慌てて魔女の住みかに侵入者の報告に行った。
「ええぃ!!!
人間の分際で結界を破るとはこしゃくなっ
ワシの恐ろしさを思い知らせてやる!!!」
激怒した魔女は箒にまたがると、矢のように茨の城に向かった。
そして、城の中庭に降り立つと同時に巨大なドラゴンに姿を変える。
ギャオォォォォ―――ンン!!!!!
ドラゴンは空に向かって吠え、口から真っ赤な炎を吐き出し6人の若者を襲う。
戦いは今まで彼らが経験した事がない程の過酷な物となった。
コグレの「癒しのエール」で体力を回復させながら、3日3晩に渡る激しい攻防の末
最後は、ミヤギが囮になりドラゴンの気を引いた隙にミツイの矢がその両目を貫き
アカギがハンマーでしっぽを叩きつけ完全に動きを止めると
すかさずルカワがソードで手足を削ぎ
サクラギがアックスで首を切り落としてトドメを差した。
こうして彼らは見事に勝利を勝ち取ったのだ。
魔女が死んだので城を覆っていた茨がみるみる枯れて行く。
やったやったとハイタッチを交わす若者達。
「呪いは解けたな
これで茨姫も目を覚ますだろう」
アカギはクールに笑うと塔に背を向けた。
「お、おぃゴリ
あそこに登らねーのか」
サクラギの言葉に頷くアカギの顔は何故か赤い。
「そーゆぅのは苦手だ…
若いお前らに任せる
茨姫に宜しく伝えてくれ
おかげでいい経験をさせてもらったってな
オレは一足先に帰ってるぞ」
「じゃ、オレもここで」
アカギの後にコグレも続いた。
「なんだゴリの奴
ゴリラのくせに恥ずかしがりやがって…
で?ミッチーとリョーちんはどうするんだ」
「悪いがオレもここで別れさせてもらうぜ
アンザイ老師を捜して、弟子にしてもらうんだ!!」
希望に満ちた顔のミツイは白馬にまたがると更に西へ向かった。
「オレも他の女には興味ねーからなぁ~
茨姫んとこ行くの、お前ら2人だけで大丈夫だろ?
やっぱ、オレももう帰るわ、わりぃな」
ミヤギもその場から立ち去った。
「なんだよアイツら…
せっかく勝ったのに
褒美も貰わねーで行っちまうなんてよ」
サクラギの独り言が未だに静まり返ったままの城に響く。
ふと見ると、ルカワが1人で塔に入って行くところだった。
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