湘北クエスト⁉︎
「ダンナ、
どーしてダンナはこの旅に参加したんです?」
西へ向う道すがら、ミヤギがアカギに訊ねた。
「この旅をすれば、
とてつもない経験値が手に入るからな」
太い声で静かに答える。
「なるほどねぇ」
「アカギの夢は全国制覇なんだ
この旅はその夢を叶える為に不可欠なのさ」
隣でコグレが補足した。
「お前はなぜ参加した」
今度はアカギがミヤギに訊ねる。
「え?オレ?
オレは、これですよ」
2人に向かって右の手のひらを見せた。
「ん?なんだそりゃ」
「…『No.1 ユーシャ』??」
「エヘヘ、アヤちゃんが書いてくれたんだ
やるっきゃないだろ?」
「「 ……… 」」
「酒場の女主人の事だ
こいつ、あの女に惚れていやがる」
後ろからミツイが話に加わった。
「あれ?
気付いてました?
ミツイさん」
「たりめーだろ、バーカ
バレバレだっての」
「まいったなぁ」
2人が行きつけの酒場の話らしい。
「ミツイはどうしてこの旅に?」
コグレが訊ねると、彼の表情が一瞬曇る。
「あ、すまん
変な事訊いちゃったのかな?」
「……いや、そんな事ねぇよコグレ
オレはずいぶん無駄な時間を過ごしちまったからよ
この旅でそいつを取り戻せればと思ってな」
「そうか…」
前の4人がしんみりしていると、突然背後から怒声が響いた。
「何しやがる
このどあほうっ!!!」
振り返るとルカワが馬から落ちている。
「うるせーキツネ男っ
てめーが馬の上で居眠りしてやがるからいけねーんだよ、ナ~ハッハッハッハ
ざまぁみやがれ」
どうやらサクラギにやられたようだ。
「…にゃろー」
怒ったルカワの蹴りがサクラギの横っ腹にヒットした。
腹を押さえ馬から落ちるサクラギ。
「ルカワぁ
てめー、勝負だっ!!!」
サクラギが背中のアックスを振り上げた。
それを受けてルカワも無言で腰のソードを引き抜く。
2人の間を一陣の風が吹き抜け、緊張が走った。
と……
「いい加減にせんかぁ!!」
2人の頭にアカギの拳骨が落ちた。
「全く、何度同じ事を繰り返せば気が済むんだ!!」
頭を押さえた2人が渋々馬にまたがると
一行は再び西を目指した。
「お前ら、何でこの旅に来る気になったんだよ」
ミヤギの冷やかし半分の問いかけに2人は無言のままだった。
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