ボクの好きな人
リングをくぐったボールを拾い流川くんが再び近付いて来る。
その射抜くような強い視線に動けなくなった。
そして僕の前に立ち、視線だけ下に動かして言った。
「自分を信じろ
テメーがテメーを作ってる、…それを忘れんな」
「僕が、……僕を?」
「…あぁ」
無表情のまま相づちを打つと、流川くんはボールを僕に手渡し体育館から出て行った。
そうか……
道端の小さな石ころがダイヤモンドになれる方法。
あの時の僕の声、ちゃんと届いていたんだね。
まずは信じられる自分を探す事から始めよう。
諦める事なんてないんだ。
だって流川くんもそうやって生きてるんだよね?
僕は、僕が作る僕の人生を精一杯生きて行こう。
そして、必ずキミに胸を張って真っ直ぐなボールを投げ返すよ。
いつか、きっと……
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