今日は厄日だ

「はぁ………とりあえずこんな場所で立ち話もなんだな、濡れる一方だ。お前時間大丈夫か?雨宿りがてら、どこかの店にでも入るか」



「マジっすか!?神さんには置いてかれたけど、牧さんとアフターするなんて俺感げ」

ゴスッ!!



「変な言い方するな、清田。ほら行くぞ」




首根っこを掴んで、沈黙した清田を引きずりながら訪れた喫茶店は、こんな天気にも関わらず異様な客の入り様だった



店員達も、どちらかといえばもう閉店してしまおうかと話が出ていた所に来た客達に、急いで注文された品を用意していた



客達はもちろん皆ずぶ濡れで、さすがに見かねてマスターに言われたバイトがそれぞれにタオルを差し出す

心の中で(お前らが来なきゃ帰れたけどな!!)と思ったのは顔に出さないようにした



それにしても………濡れた制服を気にしながら席に着く全員が高身長である

いや、一部はそうでもないが、その美形の顔立ちに濡れた下睫毛がなんとも………

そう思いかけたところで、バイトはマスターに呼び戻された




「ふひ~……びちょびちょっすね、牧さん。制服乾くかなぁ……………あれ?ちょっ、牧さん!あっち見て下さいよ!神さっ…………ってボスザルも!?」




あ?と、髪を拭きながら清田に指を差された方に視線を移す牧

チームメイトの神はすぐさま立ち上がり、先輩である牧の方に歩いてきた

が、その後ろで同じテーブルについていた藤真と仙道の方が気になる牧は、若干頭を混乱させながら神に問い掛けた




「神、お前も雨宿りか?妙な連中と」



「ははっ……たまたま会ったんですよ」




苦笑いの神の後ろで「妙とはなんだ、妙とは」と、唇を尖らせながら藤真も席を移動させる



もちろんツンツン頭も同様に




「牧さん、こんにちは」




そう言うと、仙道は自分の先輩である魚住達も合流させた




「マスター………なんなんすかね、あの団体。本当に学生すか?」



「若い時に苦労したんだろう、あの一番デカイの。大人になってからの高校生活も大変だろうに……」




マスターがこぼした一言に耳を赤くした魚住を余所に、自分はそう見られてないんだとほくそ笑む牧がいた
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