今日は厄日だ

3年前、お前を知った時から思ってたことがある



綺麗な顔してるな……



荒れてから人相は変わったものの、その土台は揺らいでいない


その顎の傷痕さえも萌えポイントだ




近づいた三井の顔を見ながら、想いを馳せる木暮



「いいから早く行けよ、漏れんだろうが!」

なんて、言葉は荒いがそれは三井の不器用な優しさ



まったく……素直じゃないんだから……




「わかったよ三井、先に行かせてもらう」




そう言って三井をかわそうとした木暮より先に、そこに現れた影があった













1分前―――


例の如く、来店を告げるベルが鳴ると勢いよく入ってきた人物がいた




「あ、お客様!今日はもう閉店でして……」



「スンマセン、便所だけ貸してもらえないスか?雨に濡れて冷えたら我慢出来なくなっちゃって……」




店長の返事も待たずに通路の案内を見るとトイレに走った男

そいつを見るや、赤木が「キタコレ!!」と叫んだ












そしてトイレ前―――




「ちょっとトイレ入りたいんでそこいいスか………………って、あれ?三井、サン……?」



「み、宮城……!!」




壁についた手を離し、思わず宮城に向き直る三井

目の前の小柄な男は、尿意も忘れてワナワナ震えだした




「……何ヤッてんスか三井サン……木暮サンとこんな………へぇええええ………」



「違う!宮城、勘違いすんな!!これはトイレの順番をだなぁ!」



「トイレの順番決めで壁ドンて。苦しい言い訳ですね、三井サン」



「本当だって!!な!?木暮!!」



「…………………………」



「木暮!?いや、何で黙ってんだよお前!!」



「もういいですって……見苦しですよ、三井サン。これは………あとでお仕置きが必要みたいですね」



「お、お仕置き!?」




その瞬間、三井の頬が紅潮するのがハッキリ見てとれた



成る程……と、眼鏡の奥を光らせる木暮に対して、一連の出来事を覗いていた長谷川は震え上がった




(ま、まさか三井……あんなヤンキー上がりの三井が……M属性なのか……!?)




宮城の登場で三井争奪戦は混戦を極める



三井の反応からして宮城が一歩リードというところか……



長谷川はその競争率の高さに愕然とした


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