今日は厄日だ

「あーぁ、こんなに散らかして……」



「わっ、いいっすよ牧さん!俺自分で拾いますから!!」



片付けようと席を立つ牧を止め、清田は割れた硝子片に手を伸ばした。



「待て、素手で拾うと危な……」


「痛っ!」



案の定な展開に「言わんこっちゃない」と内心呆れる牧だが、指先の切り傷は深いと厄介。

すぐさま清田の手をとり状態を確認した。



「何だ、思ったより大した傷じゃないな」



「えぇ!?結構血ぃ出てるじゃないっすかぁ!?マジで痛いんすよ!?」



「だから『待て』と言っただろ!自業自得だバカモノ!!」



ピシャーンッと雷が直撃。



「まったくお前はいつもそうだ!
人の話を聞かないですぐに……ブツブツ」



落雷の後に小言の雨まで降る始末。

色黒な雷様はいつもこのパターンで怒るのだ。

すっかりショボくれモードの清田だが、ホントに自業自得だからしょうがない。



「……す、すいません……」



叱られてクゥ~ンと耳を下げる犬の様に反省するだけだ。

そんな様子を気にも止めず、牧は掃除用具を持ってきた店員と一緒に後片付けを始める。



「あぁ!牧さん、やっぱ俺がやりますからっ……」



「いいよ、お前が触るとまたケガするだろ?」



「……むぅ」



「何だその顔は…………まぁいい。
ほら、俺の鞄に絆創膏入ってるから……ちゃんと貼っとけよ?」



「っ!!…………はい///」



いつも厳しくされてばかりだが、最後は優しさで包んでくれる牧……

そんな彼を清田は心底敬愛している。



「牧さん、ありがとうございます……」



周囲に聞き取れないくらい小さな声で呟くと、床を拭く牧の横顔をジッと見つめた。



この一部始終を見ていた腐男子たちは──



「ちょっ!?何だこの甘酸っぱさはぁぁああ!!
これはっ……下手するとウチの流川×桜木を越えるぞ!?」

 

「ノブナガ君の後輩気質&ワンコ指数ヤバすぎるぅぅううっ!!ブッ(←鼻血)」



新カップル発見に猛烈大興奮の赤木&仙道。

流川×桜木の件は何処へやら……ハスハスピスピス(*´Д`)=3(*´Д`)=3 と奇妙な呼吸音が止まらない。

その一方で黙りこくる神が気になるが……



「どうして今まで気付かなかったのだろう、牧×清田の魅力に!!」



「見た目的には完璧に歳の差カップルですしねぇ……ズズッ(←鼻血をすする音)
いやぁ~何よりノブナガ君のヤンチャ健気な感じがそそりますよぉぉ~(*´Д`)=3」



「ヤンチャ健気っ!?ぬぅぅう何て甘美な響きっ……」



二人のテンションは上がるばかり。

特に赤木は『ヤンチャ健気』とゆうワードが妄想のツボに入ったらしく……



「うおぉぉぉ神よぉぉぉうっ!!牧×清田本、一冊くださぁぁぁい!」



普段、重んじている礼節をスパーンッと取っ払い、思いの丈を爆発させた。

しかし、牧×清田本の販売を迫られた神の答えは……

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