今日は厄日だ

──亭主関白



現代の日本では絶滅したに等しい夫婦形態。



それを大柄とは言え、まだ幼さの残る少年たちが見事に体現しているとは……


日本もまだ捨てたもんじゃないっ……!



古き良き夫婦の在り方を目の当たりにし、神は目頭を熱くした。



「フッ、感動するにはまだ早いぞ……
あいつらの持っているポテンシャルはこんなもんじゃない!」



「「え…?」」



急にドヤってきた赤木に多少困惑気味の仙道と神だったが、『これだけじゃない』部分は相当気になる。



「そ、それは一体……」


「勿体ぶらずに教えて下さい!」



二人から注がれる、乞うような眼差し。

まるで自分がBLの権威にでもなったような気分だ。



……うん、満更でもない。



つい小鼻がブンッと膨らむ赤木だったが、あくまで平静を装い、落ち着いた低音ヴォイスで語り始めた。



「臨機応変型とは言うものの、奴らの基本スタイルはやはり流川×桜木……
これは一見『流川の攻撃性が強すぎるため、最終的に桜木が受けに回ざるをえない』と
安易に考えでしまいがちだが、事の本質はそんな単純なものではない。
では、このカップリングにおける本質とは何か……」



──ゴクリッ

……

興奮のあまり喉が鳴る。



短い沈黙の後、赤木はカッと目を剥きゴァッと口を開いた。



「流川と桜木は──ガッシャーンッ!!



話の腰をバッキバキに折るタイミングで鳴り響いた損壊音。

その場に居た全員の視線が音源へと集中する。



「ヤベッ……」



「何やってんだ清田!」



「すいません、肘にひっかけちゃって…」



犯人は海南テーブルに座していた清田。
どうやらグラスを落として割ってしまったらしい。

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