今日は厄日だ

野球拳



それはジャンケンで勝敗を決め、負けた方が自らの衣服を一枚ずつ脱いでいくという、至高の自虐プレイ!!



何故安西監督が勝負に野球拳を選んだのかは謎だが、野球拳と聞いて目の色を変えた男がいた




長谷川一志



彼の目は血走っている



獲物を捕らえて離さない視線の先には、三井寿しかいなかった




(三井……三井の裸……ゴクリッ!!)




その生唾を飲む音は、チームメイトの藤真まで確実に聞こえた




「か、一志?どうしたんだ?お前……鼻息が荒いぞ」



「いや、なんでもない………藤真、俺が先鋒でいいな?」



「!?」




先陣を切って前に出た長谷川を、藤真は驚きの表情で見つめた




(こ、これがあの一志か……?自分の感情を表に出さない……あの一志なのか!?)




嬉しい半面、戸惑いを隠せない藤真は、わかったと言って身を引いた



大丈夫だ、
今の一志に敵う奴などここにはいない


己を信じて……大将の俺まで回すことなく圧勝してみせろよ!一志!!(二人しかいないけどな!)




他のチームが順番決めに手こずる中、長谷川は余裕の表情でその時を待っていた




(ふふ………この時を待っていたんだ…この時を……!三井丸裸大作戦んん!!!)



「じゃあ湘北は木暮からだ!!」



「ははは、よろしくな、みんな」




丸眼鏡のなよなよした男が笑いながら前に出てくると、長谷川一志はシャウトした




「テメェはすっこんでろよ!!!」




あの一志が、男になった

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