今日は厄日だ

「隣、いいか……?」




三井の安西への敬い方に一行が気を取られているさ中、意を決した赤木が仙道の真横に位置付けた




「え、あっ………お、俺!?」




仙道の隣に腰掛けていた池上は、上から睨みを利かせてくる赤木に戸惑いの表情を見せる



そこをどけ

赤木の目はハッキリそう告げている




「わ、わかった……」




小声で答えると、赤木が座っていた椅子にそそくさと移った







ふぅ……



これで準備は整った
あとはどう切り出すかだ



しかし………ここは公の場
他の人間に聞かれて不快な気持ちにさせるわけにはいかない



うむ、それだけはマナーだからな




オタク文化が世間に根付いてきたとはいえ、まだまだ腐文化は異端だ

同性同士の恋愛に興奮を覚える自分に酔いしれてはいけない



世間の冷たい目を認識し、秘密利に萌え悶えることが必要なのである



だがしかし、最近の馬鹿な腐女子共が大っぴらになんの恥じらいもなく腐話に花を咲かせているのも事実だ



こういう輩のおかげで、腐文化は世間のバッシングを受けることを避けられない



俺は、俺達は……

ただ純粋に萌えたいだけだというのに……




目を閉じ眉間にシワを寄せた赤木が軽く頭を振った



やはりここは隠密に事を進めなくては



そう自分に言い聞かせ、テーブルの端にある紙ナプキンとアンケート用のボールペンを手に取る



ここに自分の性癖をさらけ出し、それを仙道と共有したい有無を書き記す



あとはこれを奴に渡すだけ………


右手で紙ナプキンをテーブルの上に滑らせ…………







「三井サン萌えるわぁ」



「言ったぁああああああ!!!」




マナーを重んじる赤木の隣、仙道が欲望を解放した


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