あれから17年後


司会者が閉宴の言葉を述べ
手締めで披露宴はお開きとなった。

新郎新婦と双方の親からは一足先に退場し、出口に並んで招待客を見送る。

 「晴子ちゃん
 次はあなたの番よっ」

彩子は持っていたブーケを手渡した。

 「彩子さん…」

涙ぐむ晴子。

 「いいわね、桜木花道!!」

 「わ、わーってらいっ」

耳まで赤くした桜木が照れ捲っていると、横から藤真が声を掛ける。

 「桜木、決勝リーグで待ってるぞ」

 「ぬっ、
 そっちこそ覚悟しとけよホケツくん!!」

互いの視線がぶつかり火花が飛び散った。

 「ご旅行はどちらへ?」

マリがマイクを模したグーを彩子に向ける。

 「ハワイよ
 ちょっとのんびりしてくるわ」

 「頑張りなさいよ、ハネムーンベビー
 もう若くないんだから」

 「あら、独身のマリに言われたくないわね
 アンタこそそろそろ腹決めなさいよ」

 「……そーね
 今日はちょっとだけ結婚もいいかなって思った」

学生時代から何かと張り合って来た2人が笑い合う。

 「いい式だったよ、ありがとう」

 「専務、またいい情報をお願いしますね」

ドラジェを渡して牧にウインクする彩子に宮城がハラハラしている。

 「本当にいい式だったね
 俺もまた結婚したくなっちゃったな」

新婚の神の意味深な発言にすぐに清田が反応した。

 「え?ちょ、マジっすか
 奥さんめちゃくちゃイイ人じゃないっすか!!」

 「アハハ、ノブ
 冗談に決まってるじゃないか、…………多分ね」

 「…………」

クロークから手荷物を受け取る流川の背中に、同じ絵柄の袋を持つ仙道が声を掛けた。

 「よう、
 どーすんだ、これから」

 「……帰る」

 「二次会、出ねーのか?」

 「……あぁ
 はぇーから、…明日」

 「そっかぁ……
 でも、ちょっとだけ飲んでかねーか?」

 「………」

 「ま、無理にとは言わねーけど?」

 「……別に、いいけど」

 「よしっ!!
 じゃ、行くか」

仙道に肩を組まれそうになって、流川は慌てて振り払った。

それぞれの思いを胸に
宮城と彩子の前途に幸あれと横浜MM21の日が暮れて行く。

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