あれから17年後
翔陽テーブルは藤真、花形の他に長谷川一志の顔もあった。
長谷川は「自分が呼ばれた理由が解らない」としきりに首を傾げ、食事もほとんど手を付けていない。
「いいんじゃないのか?
気にすんなよ、長谷川
めでたい席なんだから遠慮しないで食え」
「そうだ一志
だからこうして俺達も久しぶりに会えたんだしな」
「………」
「そーいや長谷川
実家の酒屋をコンビニにしたんだったな
どうだ?上手く行ってるのか?」
「あぁ、おかげさんで…」
「じゃ、次はいよいよ嫁さんか」
「……ッッ」
「一志はおとなしすぎるのが欠点だ
欲がなさすぎる
昔とちっとも変わってねーな」
藤真が爽やかに笑うと長谷川は頬を赤くして俯いた。
湘北は人数が多いので二手に分かれている。
三井、木暮、安田、潮崎、角田のテーブルと
流川、桜木、晴子、石井、佐々岡、桑田のテーブル。
「木暮さん、この半年で少し痩せました?」
安田が訊くと、木暮は照れ臭そうに腹周りを擦る。
「わかるか?嬉しいなぁ
この間みんなと会ってからちょっと心を入れ替えて毎朝走ってるんだ」
「へぇ、感心じゃねーか
メタボなんていい事ねーだろ?
第一、女にモテねー」
「アハハ、三井には敵わないなぁ
潮崎、角田 お前達はどうだ?その後」
「や、俺は変わりないっす
彼女いない歴更新中で」
潮崎が頭を掻いた。
「なっさけねーなぁ
今度、俺様が遊びに連れてってやる
まぁ今日はいいから飲め」
三井が瓶ビールを傾ける。
「角田は?」
「はい……
木暮さんのアドバイス通りやってみたんですけど、やっぱりダメでした
嫁さん、子供連れて出てっちゃいました」
「え……、ホントに!?」
「木暮ぇ、お前、角田に何いい加減な事吹き込んだんだ?」
「や、ご、誤解だよ三井
お、俺はただ一般論をだな
「いいんです、もう…」
「諦めるなよ角田っ
俺が悪かった!!」
「そうだ、今度は俺様に相談してみろ
諦めの悪さじゃ天下逸品だぞ」
「……はい」
「めでてー席で湿気たツラすんな
ほら、飲め」
角田は頭を下げると三井にビールを注いでもらう。
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